私は現実の政治には(あまり)興味が無く、もろもろの社会現象の一つとして見ています。ただ、人々のために(それが偽善であろうが)活動又は援助している方々には(私がやっていないだけ)頭が下がります。また、「何もしないほうが世の中のためになる」という人もいるように思われる。そして「マニフェスト」という言葉を覚えた。
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「私のマニフェスト」はだいぶ前にブログで宣言した「バッハ全曲踏破」で、自己評価は「着手し努力しているが、いつぃ達成するかわからない」という、どこかの政党と同じものです。なお、その過程で「バッハ全曲踏破」の意味そのものも変わってきた。当初は、器楽曲以外の宗教曲の豊富さを知り、図書館で全集を発見したので全部聞いてみようと安易に考えたのがはじまりですが、その過程で読んだ音楽関連の本の世界に引き込まれた。そして、今は「簡単に出口に出てしまうには(あまりに)もったいない」ので、「バッハ全曲踏破は遅いほど良い」と考えています。そして、これは、モーツアルトでも、ベートーベンでも、ソルでもタレガでもなく、やはり「バッハ」でなければならなかったと思っています。
  ★西部戦線異状なし-プレスティ
以前、銀座山野楽器で(ひさしぶりに)立ち読みした現代ギターで「イダ・プレスティ伝」をやっていた。彼女は私にとっては特別なな存在であり、その生い立ち等におおいに興味があります。図書館で借りて、その部分をコピーし読んでおこうかと。おそらく、私の知らないプレスティを知ることができると思う。



●聖書時代史 新約篇/佐藤 研/岩波現代文庫西部戦線異状なし-聖書時代
「バッハ全曲踏破」の一環で、首記の本を読んでます。
この本は、ローマ皇帝の迫害にもかかわらずローマ帝国に浸透しキリスト教が公認され440年にローマカトリック体制が確立するその前の時代、イエス誕生から、ユダヤ教イエス派(「原始キリスト教」ともいうらしいが、この本ではこの時代は「キリスト教」ではないとしている)の変遷と、パウロが殉教した以降、聖書の収集、編纂がなされ「キリスト教」が形作られる西暦200年頃までのことを、当時の支配者の動向と合わせて時代史としてまとめている。
本の構成は下記。
●第1章 ナザレのイエスの生と死(BC30年~AD30年)
この時代のイスラエルの政治状況やパレスチナ・ユダヤ教の流れ、イエスの生家の状況、史実として「イエスの洗礼」の話、当時の常識では「結婚」していたかもしれないということなども書いてある。
●第2章 「ユダヤ教イエス派」の活動
第1章、第2章を読むと、やはりキリスト教はユダヤ教の一派から成立したというのが良くわかる。そして有名なパウロの回心について「神の鞍替」えではなく「イエスの復活(体験)」を受けて神の救いの認識から、いままで迫害してきた人々に対する価値の逆転が生じたということが淡々と書いてある。そして、ユダヤ教とイエス派の住み分け(イエス派はユダヤ人以外に布教を行った)の話などが書いてある。
●第3章 パウロの伝道活動とパレスチナ・ユダヤ教の滅び(AD45年~AD70年)
この本は、各章で当時のローマ帝国の政治動向を概観し、その対比でエルサレムの状況とイエス派の状況を記しているので、判りやすい。この時期、大きな出来事は、ローマから独立を指向するユダヤとローマ帝国の抗争で、これは、ユダヤ教の終末思想(滅亡のとき神が降りてきて最後の審判を行う)も関連していた。そして、抗争の結果、AD70年には、エルサレムは徹底してローマ帝国に破壊され滅亡にいたる。その後しばらくはエルサレムへのユダヤ人は入れなかったらしい。このとき、崩壊したエルサレム神殿の壁が有名な「嘆きの壁」らしい。なお、パウロ自身は、自分を「ユダヤ教」と同じ神を信じる「ユダヤ教の一派」と考えていて、「キリスト教徒」とは思っていなかった。それ故に、パウロはイスラエルに戻りそこでつかまり、ローマに送られ(2年後に)処刑される。
●第4章 キリスト教の成立(AD70年~AD100年)
このユダヤ戦争のとき、イエス派は非戦を唱え、絶望的な終末思想に走るユダヤ教徒から、異端視された。そして、エルサレム壊滅を機に、イエス派がユダヤ教から独立し自立の道を歩みはじめる。著者はここからが「キリスト教」と言っている。そして、「キリスト教」のアイデンチティ確立をめざして、種々の文献を収集、編纂がおこなわれる。そして、イエスの凄惨な没落と死と再生の伝承的物語「福音書」が成立たし、「パウロの手紙」の収集され、聖書の原型が形成された。
●第5章 キリスト教の伝搬・迫害・内部抗争(100年~200年)
・・・あとで記載。

この本はいわゆるキリスト教成立過程で教団がいかにしてその苦難を乗り越えたかというような、宗教的啓蒙書ではない。おそらくかなりあいまいな情報から、初期のキリスト教成立過程を、当時の社会動向と合わせて淡々と歴史教科書風に記述している。それ故に、ニュース映画を見る感じがしたが、(この世界を私が全く知らないだけに)バッハの宗教曲の背景が少し理解でき、参考になった。
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ただ、この本のあとがきに、「キリスト教を標榜しながらもあまりに交戦的な超大国・・・、現代のキリスト教は将来に対するビジョンを与えることができないでおり、自己変革の岐路に立たされている・・・」という記述がある。こんなことは「いまさら」かと・・・。

●ベートーベン交響曲第7番/カルロスクライバー指揮バイエルン国立(州立?)管弦楽団西部戦線異状なし-クライバー
先週、お茶の水の中古クラシックCD店のSACDコーナーにで見つけ、特に探していたわけではなかったのですが、ひさしぶりにベートーベンの交響曲でも聞いてみようかと思ったことと、値段(1200円)で購入。第一印象は、う~~ん、なんか私の記憶の感じと違うな~と言う印象でした。HPで調べると名演らしいが、あっさり弾きすぎているように思われる。いわゆる「シャープで現代的な演奏」ということになるのだろう。家にはこの7番は2つほどCD(チェリビダッケと後は忘れた)を持っていたはずなので、聴き比べてみようかと。

・・・ということで。