『THE GOOD COP/グッド・コップ』 | トンデモ・シネマの開祖

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『THE GOOD COP/グッド・コップ』



他の人のレビューを読むと判で押したように「良い脚本なのに打ち切りが残念。良いコメディなのに」と書いてある。
一見そう見えるが、果たしてそうなのか?
脚本は確かにプロらしい仕事と言える。
ドラマ部分の書き込みが多く、事件そのものの意外性が置き去りになるほどだ。
その為、コメディと認識させられるが、コメディとしては面白いとは言えない。
ライト・サスペンスぐらいだろう。

主役は真面目な刑事とムショ上がりの元刑事の父親。
途中、幾分かはブレるが基本はこの設定は重視。
此処で脚本家の苦悩が見える。
主役の真面目な刑事は基本、真面目すぎて面白くない。
どちらかというとワキ役だ。
実際、そういう回もある。
しかし父親は昭和親父というより、小物のチンピラという印象だ。
彼らの演技部分については、後で語る。

この二人が軸なので、当然、話は二人の差異に向けられる。
処が分かち合う事がない二人の話は永延に横ばいである。

しかもコレが大予算のネトフリなので、少々地味に見える。
そこでコメディタッチで落とし所を見つけた様にしか見えない。

スタッフは「名探偵モンク」のチームだというのでかなり期待したが、正直言って、ガッカリだ。

つまり、モンクの様な、非現実的とも言える特殊な能力の名探偵をリアリティを持ってコメディに出来たのは、俳優の力によるモノだ。
コレと同じ例としては、ピーター・セラーズのクルーゾー警部が活躍する「ピンク・パンサー」が良い例だ。
絶対に存在しないであろう名探偵を役者に細やかな演技でリアリティを持たせる事が出来れば、それは間違いなく、伝説になる。

しかし、その為には演技力以上の個性や演出が求められ、現在の段取り重視のドラマでは難しい部分もある。

そういう点では、視覚的には「ピンク・パンサー5」のスレイ警部を思わせるジョシュ・グローバンの意気込みは期待させるモノであった。
しかし元々俳優でなく歌手の彼には荷が重過ぎたかもしれない。
演技は普通なら満点だ。
しかし、このドラマでは200点を求められるのだ。

さらに父親役を演じたトニー・ダンザはベテラン中のベテラン。
彼は300点の演技をした。
つまりやり過ぎて、全く好感が持てないのだ。

本来なら足して200点だが、このドラマでは100点だ。
結果、なんとなく面白いけど、なくても気にならないレベルである。

その上、予算が掛かっているらしくテレビドラマとは桁外れのセットや照明、撮影はネトフリの負担になったらしく、第一シーズンで終了となった。

実に惜しいシリーズだ。