9月6日(金曜日)


いつの間にか、小学校の夏休みも終わってしまい1週間が過ぎました。

新学期が始まって1週間、子供達はやっと生活のリズムを

取り戻せたようです。



夏休みに伊東に帰省して、祖母とゆっくり過ごしました。

もしかしたら、一番暑かった時に帰省したのかもしれません。


りゅうちゃんは、祖母が沢山童謡を歌えることが不思議でなりません。


→りゅうちゃん


「伊東ばあちゃん、どうしてそんなに沢山、お歌を知っているの?」


→祖母


「おばあちゃん、幼稚園の先生だったから、子供達と沢山歌ったからだよ。」


祖母は目を細めて、ひ孫を見つめています。

子供の姿を見ることが大好きな祖母・・・。

戦時中を過ごし、大家族の中、家電機器もほとんどない時代に

子育てと家事を一身に担いながら、幼稚園で定年まで働いた祖母。


ひ孫を見つめる暖かいまなざしに、幼児教育という仕事にかけた祖母の情熱が

ことの歳になって、孫の私にもわかるようになりました。


「一番のおしゃれは、きちんと洗濯された服を着ることだよ」

大学生だった私に、祖母はそう言いました。


洗濯機ではなく、洗濯板をつかって洗濯し、家族に清潔な服を

着せる大変さ・・・・・主婦としても、職業人としても、私は祖母の足元に及びません。



ある夜の夕食時、はるちゃんはかなり偏食があるので、

おかずのお肉をほとんど残していました。


→祖母


「はるちゃん、歯が悪いからおばあちゃんもお肉が食べられないの。

 それだからね、こんな腕になっちゃったの。

 はるちゃんもお肉を食べないと、こうなっちゃうよ。」


祖母は袖をまくって、二の腕のお肉をプラーンと見せました。

40代の私の二の腕だって、どうしたって重力に勝てず

何したって、たるんたるんなのです。


93歳になる祖母の二の腕は・・・・・それは表現しがたい

寂しさを感じさせるものでした。



はるちゃんは、黒目がちな瞳をまん丸にして、まばたきもしません。

口は少し開いたまま閉じることもできず、プラスチックの子供用茶碗を

もった左手と、お箸を持っている右手は、かすかに震えてしまっています。


誰が見ても、その4歳児は「恐怖」を感じていて、祖母の二の腕は

偏食のひ孫を心の底から「震撼」させたのだと分かる状況でした。


!!!・・はるちゃんは祖母から視線を外し、

ガツガツとお肉を食べ始めました。


よく噛んでいないのに、飲み込んで、またお肉を口に運ぶ。

おかずだけを直視し、文句も言わず、ガツガツ食べる様子。

笑い出してしまいそうなのですが、笑ったらそれはあまりに

祖母に失礼だと思う気持ちで、おなかが苦しくなりました。


なんて、シュールな時間・・・・。


祖母だけが、その様子におなかを抱えて大笑いしています。


しかし、父達ももちろんパパも・・・・・笑えるはずはありません。


それは、暑い、暑い夜だったのにもかかわらず、

四谷怪談に負けないぐらいの涼しさが流れた時間でした。