「僕のいうことを信じないでくださいね」の意味 | やまびこDr.の診療日記

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「僕の言うことを信じないでくださいね」

 

色々な講座を全国でしていた時、話の最後によく言っていた言葉です。

 

信念や正義は人により違い、全く同じ人は世の中には存在しません。

 

自分の中においてさえ、昨日と今日とでは自分の考え方が違うことだってよくあることです。

 

誰かが言う「正解」はその人のその瞬間にとっての「正解」でしかなく、他の人から見た「正解」とは違って当然です。

 

でも、何が「正解」か分からなくなった時、「正解」を知っているであろう人にその「正解」を聞きたくなります。

 

その「正解」を自分の「正解」だと思い込むことで安心しようとするのですが、でも他にも違う「正解」を主張する人と出会うとまた「正解」が分からなくなり、「正解探し」を繰り返すことになります。

 

世の中に「絶対的正しさ」があったとしても、「正解」を教えてくれる人がその「絶対的正しさ」を知っているかどうかは分かりませんし、「絶対的正しさ」を知っている人に巡り会えるかどうかも分かりません。

 

つまり、「正解」を教えてもらおうとしても、「正解」は教えてもらえない可能性が高いのです。

 

でも一つだけ「正解」が分かる方法があります。

 

それは、自分の感覚です。

 

自分は、今自分にとって必要な情報を絶えず教え続けてくれています。

 

体の水分量が少なくなったら「喉が渇いた」という「感覚」で教えてくれて、体温が下がって来たら「寒い」という「感覚」で教えてくれます。

 

知りたいことがあれば「本を読みたい」という「感覚」で、話を聞いてもらいたければ「友人と会いたい」という「感覚」で、学びたい学問があれば「○○大学に行きたい」という「感覚」で、全て自分が自分らしく快適に過ごすための何かを、自分にしか分からないけれど自分には分かる「感覚」で教えてくれています。

 

でもその「感覚」に従うことはわがままであり、「感覚」に従わずに決められたルール通りにするのが立派な人間であると教えられているため、「感覚」のセンサーを封印している場合が多いのです。

 

一番大切であり一番正確な感覚は「違和感」です。

「理由は分からないけれど、でもどうしても払拭できない違和感」こそ、自分を「正解」に導いてくれるサインです。

 

その違和感を出発点として自分なりに色々調べ、自分の「正解」を見つけた時、「納得した」「腑に落ちた」という「感覚」で、自分が自分に教えてくれます。

 

だから、僕の言う事は単なる「誰かの正解」の一つでしかないため、「僕の言うことを信しないで下さいね」と伝えていたのです。

 

「絶対的正解」を知りたいというのは人間の本能かもしれませんが、でも多分誰も知りません。

それでもみんな元気に過ごして来たし、これからも過ごしていくはずです。

 

そういうわけで、「正しいこと」を追い求めてつらくなっているなら、「楽しいこと」をした方がいいんじゃないかなあと、思っているのです。