ここんとこ、環境の変化にかまけてまったくブログを更新できていなかった。いったん遠ざかるとかくも復帰が難しいものかと、今更ながら実感する。私が愛読している数々のブロガーの方々が、毎日コマメに更新しているのを見て、自分も努力しよう、短文でもいいからスパイスの利いたコメントを残していきたいと殊勝に思うこのごろである。


さてさて、巷の話題はオリンパス一色で、大王製紙の大王様のスキャンダルもどこに行ったのか。しかしかし、ここ最近は企業の不正ニュースが馬鹿に多い。発覚が今になっただけで、不正自体がこの頃増えたわけではないのだろうが、いやはや企業トップの破廉恥な行動ぶりには恐怖を感じる。


最近目に付いただけでも、

①オリンパス・・・言わずもがな。
②大王製紙・・・同じく言わずもがな。
③九州電力・・・開き直りクソ社長。第三者委員会の郷原さんもブチギレ。
④ゲオ・・・粉飾、意味不明な莫大な費用計上
⑤UFO・・・売上の95%が架空(この比率の高さは、あのエフオーアイ以来か?)。まさに未確認不正物体といったところか。ちなみに、UFOの社名変更前は「ユーエフオー」。何か似ています。



相当キツイとこだけ選んでも、こんなに出てきてしまった。監査人として思うのは、非上場の⑤はいいとして、①②④の監査人は責任が問われるだろうなぁ、ということ。もしこのへんについても監査人の責任が曖昧なものに終われば、本当に監査人というのの存在意義が問われる事態ではないだろうか。ちなみに監査法人を調べると、①は新日本(MA前はあずさ)、②はトーマツ、④は三優(当時)である。

改めて思うのは、企業をどん底に突き落とす(=投資家にとって損失を受ける)こととは、最先端の会計処理や開示処理を誤ったりするのではなく、従業員が行う矮小な業務プロセスの欠陥でもなく、経営者自身がガバナンス不在の中で独断で行いうる不正ということだろう。はじめの2つは監査人の大好きな分野で、進んでチェックするのだが、こと経営者不正について真正面から立ち向かう監査人っているんだろうか?

私も、監査人として頑張っていたころはパートナーをはじめ、監査人は一丸となって経営者不正に立ち向かうものと思っていた。だが、多くの現場において、現実は違う。

パートナーは社長となんか年に数回しか「表敬」としてのディスカッションしかしないし、監査の現場トップは経理部長から面倒なことを言われるのを回避すべく見なかったフリをするし、現場なんて業務プロセスの小さな不備やどうでもいい注記のあら捜し(句読点が抜けているとか、インデントがずれているとか、金融商品注記の表の網羅性とか)しかしないし。あげくに、究極的には監査人は社長から対価が支払われているのだから、社長にノーなんて構造的に言えないのである。

長くなったが、会計監査は経営者不正にはまったく無力である。それが露呈した、最近の不正事例だったのではないか。カネボウみすずショック以来の監査業界激震が来るかもしれないが、監査業界は果たして期待に応えていけるのだろうか。業界の理屈で責任を回避しようっていっても、さすがに限界が来てしまった。そりゃ、こんな通達も出るだろうに。

「上場会社を巡る最近の諸問題を受けた要請」