前代未聞の企業のスキャンダルになることはほぼ間違いない情勢となった、本案件。タイプとしてはカネボウに似た粉飾キャリーオーバー型。本業が充実している点はカネボウとは違うところだが、日本の粉飾決算史の最上位に入ることが間違いない。それは保障する。


自分で本当の事実をリサーチすることはできないが、観念した会社側のIR素材や、様々な優良な取材等があるので、それらを整理していこうと思う。ついでに、会計士ならではの特技として、有価証券報告書の読み込みから更なる検出事項を探していきたい。


オリンパスという会社、世間一般ではカメラ屋という認識がもたれているが、売上や利益の構成を見ればその見方は正しくない。メインは医療周辺(内視鏡や顕微鏡)であり、その光学技術をカメラにも転用して一時期成功したのである。このカメラ事業は90年代後半に菊川前会長が主導して参入し大成功を収めたことが、その後の菊川氏の立場を不動にしたようだ。セグメントを見ると、医療系(近いライフサイエンス含む)で売上の5割、利益の9割(年度によっては10割以上)を占めるのだが、その源泉は世界シェア7割を握る内視鏡ビジネスである。当社の競合としてはカメラを作る総合電機というよりは光学系(HOYAや富士)などが近いか。


オリンパスの企業説明はこのくらいにして、今回の騒動は論点が入り乱れている。8日に粉飾騒動が明らかになったことである程度ストーリーは確かなものになったが、論点を改めて下記のように整理してみた:


①ジャイラス買収の報酬妥当性(2500億買収に、700億の報酬)
②アルティス等3社の買収自体の妥当性(ごみ会社に700億の投資)
③粉飾決算スキーム
④会計制度の不備(監査、ディスクロージャー)
⑤各種団体の調査の進展(日本:第三者委員会、証券監視委員会、英:SFO、米:FBI、SEC)や訴訟
⑥オリンパス社の将来(事業価値、買収ターゲット)
⑦ウッドさんの社長就任の謎
⑧大新聞の報道の弱腰


この順番通りにではなく、またすべてをというわけではないと思うが、順次取り上げていきたい。