『海神別荘』 シネマ歌舞伎 | ゆばー*短歌* ≪Ecoute! Ecoute! C'est Ondine≫

『海神別荘』 シネマ歌舞伎

今日は『海神別荘』(泉鏡花)の歌舞伎(を映像化したもの)を観に行きました。
『海神別荘』のお話は読んでも本当におもしろいですけれど、舞台もますますおもしろかったです。

泉鏡花を読むのが好きな人は、たぶん、はじめからあぁわかると思えてしまう人なのだと思うのです。
よくも悪くも深く考えずに、彼の書く言葉の調子や描かれる世界に、抵抗なく入り込める人というか。
わたし自身がそうなのですけれど。
でも、舞台にするためにはもっと具体的に創造しなければならず、その分、うまいなあと思いました。

『天守物語』の富姫に続いて今回もまた、海に住む公子の言うことはわたしの気持ちにぴったりします。
「あなたは女だ。蛇ではない。けれど、人には大蛇に見える。ただ、そのことは、少しも
幸せに影を落とすようなことではない。」と、海の公子のように声を大にして言いたいです。
それでも鏡花によれば、ちゃんと見ようとする人には真実に近いものが見えるようですし。

よい休日でした。

柚 葉