落書きの王様、むしろお姫様。 | 明け行く空に…。  ~ひねもすひとり?~

落書きの王様、むしろお姫様。

携帯電話の普及がもたらした影響ってのは甚大である・・・。

まぁ今更オレが言うまでもないことですけどね。
おじさん的発言大爆発ではありますが、オレらがガキの頃ってのは当然のように携帯電話なんてハイカラなモンは存在してるワケも無く、通信の手段っていったら各家庭に設置された電話か公衆電話、もしくは手紙、ちょっと頭がイカレタ輩だったら鳩(新沼)なんか使ったかも知れない・・・。


大好きな女子とコンタクトを取ろうと、彼女の自宅へと電話をかけようなんてもくろんだ日にはもう大変!
ダイヤルを回すけど最後の一桁がなかなか回しきれず受話器を置く。ため息交じりで再度挑戦し、また最後の一桁を残し受話器を置く・・・。

はち切れそうなほどに高鳴る胸の鼓動を押し殺し、やっと呼び出し音を確認した時には緊張がピークに達すると同時に、もう勝利を確信したかのような安堵感があふれ出し軽くガッツポーズなどとったりしちゃっていたら、電話に出たのが彼女の親父さんだったりしちゃったりして奈落の底に叩き落される・・・。


猫も杓子も、それこそ女子も弱子もじじぃもばばぁもお兄ちゃんもお姉ちゃんも、とにかく誰彼かまわず携帯電話を所持しちゃってる昨今でありますので、そんな淡いブルーの季節の中で何かをみてるスターライト・スターライト♪なんて思いは皆無に等しいことでしょう。
一人にひとつづつ、もしくは二つ三つ電話番号が存在する時代ですので、ピンポイントアクセスが可能ですからねぇ・・・。



閑話休題。



今年中に取り壊し&移転することが決定している我が社のビル。
間借りで事務所を構えていた多くの企業は既に撤退を完了していて、現在ビル内は極めて閑散としている。フロアによっては人っこ一人いない状態となっているところもあり、昼間でも薄暗くまるでゴーストハウスのような雰囲気を醸し出している。
我々の撤退までのリミットはあと半年、オレは今のうちから地味に要らないものを処分したり、当面使わないだろう書類や機材などをちまちま梱包&倉庫へ移動などを行っていた。


先日、もう必要ない書類棚をビル1Fの粗大ごみ置き場へと運んだ。
そこには既に撤退完了した企業の置土産が多数鎮座し、足の踏み場も無い状態となっていた。
貧乏性なオレなもんですから、なんか使えそうなお宝ないかなーなんて物色していると、今や懐かしいあるものを発見した。
「伝言板」 とデカデカと書かれたホワイトボード・・・。


その昔、まだ携帯電話なんて便利なモンが世に普及する以前、これは駅だとかデパートなんかの入り口などに必ずといっていいほどに設置されていて、恋人たちの待ち合わせはもとより、営業マン同士の連絡手段や時に「人を探しています」といったような不特定多数に対しても情報を発信できる手段として、大変重宝がられた優れたアイテムであったことは記憶に新しい。
目まぐるしく発展を続ける科学技術の波は、新しい通信の手段として携帯電話を生み出し、今ではひとり一台持っているのが当然のようになってしまった。



学校帰りの最寄りの駅。

遅くまで部活を頑張る彼女に対してメッセージを送る。

「いつもの喫茶店で待ってます。ユキオ」

いつ来るかも分からない、それ以前に彼女がこのメッセージを読んでくれたかすら定かでない。

でもオレは彼女が来るのを待っている。

漱石の小説なんぞ読みながら待っている・・・。


そんな青い思い出に浸りながらオレは粗大ゴミと化した伝言板を見つめていた。

ふとある事を思いつく。

この伝言板をビルの入り口に設置したら誰かが使ってくれるかも知れない。

オレは期待に胸を弾ませながら、一度は粗大ゴミと化した伝言板を復活させてみた。



伝言板を設置します ご利用ください   経済事業部 ユキオ



この言葉を残し、太めの黒の水性マジックを添えて誰かがメッセージを残すのを待ってみた。

翌日の朝、はたしてどんなメッセージが書き記してあるのかと、オレはウキウキしながら伝言板を確認に行ってみた。

だがしかし、そこに残されたメッセージはアレだった。

そう、アレですよ。落書き…。

しかも、落書きの王道まっしぐらのアレ。

具体的に言いますと、女性器をモチーフにしたアレ。

まぁ早い話がマ●コマークがデカデカと書き殴られていたのでした…。



ちょっと前なら公衆便所ではお馴染みとなっていたマ●コマークの落書き。

きっとウ●コしながらの手持ちぶさたを解消すべく、人は落書きを施してきたのだろう。

だがしかし、携帯電話の普及によりその手持ちぶさたはめでたく解消され、人は落書きしようなんて考えを持たなくなった。

そう言えば最近落書きってあまり見ないなぁと思ったら、その答えはこんな所にあったのか…。



今回オレが学んだこと。

それは、どんなに優れた通信手段である携帯電話であっても、所詮伝言板には勝てないだろうってこと。


だって、多種多様な絵文字を用意してあっても、女性器を表現する記号って携帯には存在しないだろうって事ですよ。

手書き文化バンザイ!アナログバンザイ!

そして女性器バンザイってことです…。



以上。




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