怪盗あらわる!
先輩、あれを見てください!
電車に揺られながらピコミクっていると、渡辺君がなにやら有り得ないモノを発見したらしく、血相を変えてオレに言ってくる。
一体何事だ!と、渋々ゲームを中断して振り返ると、そこにはすらっと背の高い清楚な女性が、吊革につかまりながら立っている姿が見える。
そうじゃないですよ!彼女の足、足元を見てください!
そう言われて視線を足元に落とすと、彼女はあろうことか左足に黒のロングブーツ、そして右足にはナイキのスニーカーという有り得ないいでたちであることが確認できた。
まぁアレだ、何らかの事情でみぎのブーツだけはけなくなったのだろう。
右だけ壊れたとか、右だけ怪我したとか、右足だけ急に太くなったとかそんな感じ。
一体彼女の身に何があったんですかね?
気になったら末代まで…が信条の渡辺君がうるさいので、オレは適当に受け流す。
あぁ、きっとお洒落泥棒にでもやられたんだろうよ…。
そうすると犯人はこの電車の中に!?
あぁ、そうだな…。
お姉さん、事情があるのは分かりますが、出来ることなら両方スニーカーにしてください。
でないと渡辺のヤツがうるさいので…。
そんな感じ。