王様基準。 | 明け行く空に…。  ~ひねもすひとり?~

王様基準。

基準ってあるじゃない?
何事にもとりあえず満たさなければならない条件みたいなやつがさ。
とりあえず希望の高校に合格するためには、5教科で400点以上は必要だぞーとか、付き合うんだったら身長180cm以上なきゃ嫌だとか。

まぁアレだけどさ。
結局コンスタントに400点取ってたヤツが不合格で、一度も基準点をマークできなかったヤツが合格したり、彼氏できたーとかって言いながら紹介された友達の彼氏が、おいおい180に達するのにどんだけシークレットなブーツ履かなきゃならんのだよと言いたくなる様な、ちんちくりんだったりと、意外とそんな基準の定め方が曖昧だったりするのが世の常でありますよね。
 
まぁいいや。
 
先日の話ですがね、会社の後輩が昼時にオレのところにやって来て言う。
 
「先輩、近くに美味いラーメン屋ができたんすよ!今日の昼飯にどうですか、一緒に?」
 
ほう、美味いラーメンとな。
彼は会社の後輩といえども、その付き合いは学生時分からの腐れ縁であるので、オレの趣味嗜好についてそれなりの理解を持っている。
オレは間髪入れずに問い返す。
 
「そうかい。ならば基準を超えているってことか?」
 
後輩はニヤリと不敵な笑みを浮かべ言う。
 
「ええ、味噌はともかく、醤油はいい勝負ってとこです。醤油派の先輩でですからここは攻めるべきでしょう!?」
 
オレは後輩と握手を交わし、そそくさと出掛ける準備を整える。
そうすると、オレたちの会話を近くで聞いていた一人の同僚が口を挟む。
 
「お、なになにあそこのラーメン屋って美味いんだ?俺も一緒に行こうかなぁ。ところで基準ってなに?」
 
オレは後輩に目配せをして、同僚に説明するように促す。
 
「田中先輩、そりゃラーメンの基準って言ったらアレですよ。百獣の王がライオン、そして昆虫の王がカブトムシならラーメンの王はまさしくラ〇!ラーメンの王ラ〇!」
 
それを聞いた同僚の田中は眉をしかめる。
 
「そっか、ラ〇といい勝負なのか……」
 
 
 
結局オレは後輩と2人で勝負を挑むこととなった。
 




『本日休業』
 



 
そしてオレたちは小雪の舞い散る路地を、肩を窄めてトボトボと歩き職場へ戻る。
 
途中、コンビにに立ち寄りラーメンの王様を購入して。
 
「先輩、やっぱカップ麺なのにラ〇は高すぎるので、俺はぺ〇ングにしますね!」
 
 
あぁ……。
 
 
そんな感じで。