月のうさぎ 太陽の切り餅。 | 明け行く空に…。  ~ひねもすひとり?~

月のうさぎ 太陽の切り餅。

子どもの頃ってさ、年末って言うとどこか特別な雰囲気があったと思うんだ。

テレビでは年末のアニメ特番を放映したり、家中では大掃除が始まったり、正月に向けての餅つきがやお節料理を母が作ったり。

何より冬休みってスペシャルなイベントがあったじゃない。

 

それが今じゃどうだ。

不況だ不況だと言われ、年末も年始もギリギリまで働かせられる。

正に働けど働けど我が暮らし楽にならず……ってのを体現しているようじゃないか。

 

閑話休題。

 

とりあえず休日の本日、オレは愛車軽No.1で買い物に出掛けた。

年末の酒の肴を求めて市場へと向った。

もちろん子牛を荷馬車には乗せていない。

まぁいいや。



「さぁさぁ、正月飾りが安いよー」

 


とか


 

「マグロのいいところ、ブロックでこの値段、買わなきゃ損だよー」

 


威勢のいい声が辺りにこだまする。

この雰囲気、嫌いじゃない。

自然と財布のヒモが緩む。

勢いに呑まれ必要のないアレとかコレとか買ってしまう自分に苦笑いしつつも、満更ではない顔で闊歩するオレ。


さて、そろそろ帰るかと、両手に荷物を持って帰路に着こうかと思うと、あるフレーズが目に飛び込んできた。

 

 

「月のウサギがついた餅の福袋1万円!」

 

 

なに!?

月のウサギだと!

オレは目を見張る。

そして自然とその足は、当該広告を掲げた店舗へと向けられた。

 

 

「お、お兄さんさすがだね!おっと、こいつは福袋、中を覗くなんて野暮なことはしちゃいけないぜ!」

 

 

一体何が入っているのだろう。

オレの好奇心はマックスに達する。

だがコイツの正体を知るには金1万円を散財せねばならない。

迷いに迷った挙句、オレはついに財布の口をあけた。

つーか、まだ年も明けていないのに、福袋購入という暴挙に出る。 


 

「毎度!いい年迎えてよー!!」

 

 

そういう店員に後押しされながら、オレは急いで車へと向かい、購入した福袋の中を確認した。

月のウサギがどんな仕事をしたのかを確認すべく、ビリビリと袋を破くようにして中身を取り出す。

 

そうすると、中から佐○の切り餅が。

およそ食いきれないほどの○藤の切り餅の群れがオレを襲う。

 

なるほど、この餅を製作している会社ってのは、月のウサギが経営していたのかと己に言い聞かせ帰路に着く。

 

 

まだまだあの頃、冬休みマンガ劇場を楽しみにしていた自分と変わらないメルヘンチックな心は失っていないことを、最後の諭吉を散財して確認することが出来た、有意義な一日だった。

 

くそがっ!

 

 

そんな感じで。