ラーメン大好きなのは、なにも小池さんばかりではない。 | 明け行く空に…。  ~ひねもすひとり?~

ラーメン大好きなのは、なにも小池さんばかりではない。

インスタント食品ばかり食っていると体に良くないとよく耳にします。
なぜ体に悪いのか、食いすぎるとどうなるのか。
そんなことは知りませんが、ガキの頃から親からもそういい聞かされて育ったのは間違いない。
とは言っても、高校生の時分母が毎日作ってくれていた弁当にはしっかり便利な冷凍食品やらインスタント食品が、弁当箱の中に連日鎮座していたのは間違いない。
まぁいいけど。
 
そもそもオレのような低所得者にとって、インスタント食品ってのは結構高額で手が出にくいって場合が多い。
よほど安売りの特価で販売される時以外はなかなか口には入らないんだよな。
 
でもね、同じインスタントとは言っても、インスタントラーメンってことになるとこれちょっと事情が異なってくる。
だってオレ、インスタント、しかもカップラーメンが大好きなんだもの。
もうね、なんなら寝起き1分以内で出来立てのカップラーメンすすったところで我が五臓六腑はそれを受け入れる体制が整っている。
バッチコーイだな。
なので仕事中の昼飯は
コンビニ弁当 + カップラーメン
おにぎり + カップラーメン
カップラーメン + カップ焼きそば
なんて組み合わせが自ずと多くなる。
更に言うなら、弁当がトンカツ系でラーメンがトンコツ系ならば最早言葉はない。
この組み合わせは神をも凌駕する。
 
だがしかし、そんなオレの食生活に待ったをかける輩がいた。
 
「なぁおい、トンカツとトンコツとかって有り得ないだろ。見ろよこの数値、トンでもないことになってるぜ。お、うまいこと言ったな」
 
そう、我が家の体重計が語りかける。
さすがにオレもいい歳だ、ここはとりあえずヤツの警告を受け入れ、食生活を見直すか……。
 
そうしてオレは大好きなカップラーメンとのしばしの別れを誓った。
 
 
そうして、3月11日を迎えた。
被災地石○市在住のオレも、文字通り被災者となった。
 
食べるものも、飲み水も確保できず、正に塩をなめる生活を余儀なくされた。
支援物資としていただいたおにぎりの味に涙した。
炊き出しとして振舞われた味噌汁の味に涙した。
 
ある日、カップラーメンが支援物資として振舞われた。
オレは己の誓いを思い出し一瞬差し出した手を止めたが、程なくしてそれを受け取った。
そして、久々のその味と温かさに感動を隠せなかった。
 
○巻市在住とは言えども、沿岸部から離れた地に住むオレは、ライフライン復旧と共に日常を取り戻した。
ガソリンが自由に手に入るようになった。
買い物が以前と同じくできるようになった。
近所のスーパーではカップラーメンも数量制限なく買えるようになった。
でも必要以上の買い溜めはやめよう、何より己の体のため食事には気をつけようとカップラーメンの購入はやめようと誓った。
 
がしかし、そんな日常が戻りつつあるとある日、我が家に宅急便が届く。
箱を開けると、そこには沢山のカップラーメンと乾電池が山ほど入っていた。
そういえば、こちらの事情を察して連絡をくれた友人たちがメールで必要なものがあったら遠慮なく言えと手を差し伸べてくれた時、カップラーメンと乾電池と返事をしていたことを思い出した。
ありがたいことだ。
 
ところが、同じようにカップラーメンと乾電池が詰まった箱が、連日我が家にどんどこ届いた。
どうやら最初に連絡が付いた友人が他の沢山の友達にもそのメールを転送してくれていたらしい。
 
もはや健康のため、などと言っている場合ではない。
未だ困っている沿岸部の知人にその大半を譲ってもオレの部屋の大半に山積みになっているカップラーメン。
今宵もその一つを夕飯として食した。
 
うまい、やっぱうまいぜトンコツは。
 
この感動を忘れないように心に刻み、明日も被災地復旧のため仕事へと向います。
 
 
そんな感じで。