2021年10月31日に衆議院議員総選挙が行われました。この選挙に於いて立憲民主党・共産党・国民民主党・社会民主党(社民党)・れいわ新選組の5党が野党統一候補を擁立しました。その結果はどうだったのでしょうか?野党が共闘しなかった2017年の衆院選と比較してみます。

 まず小選挙区から。2017年の衆院選では、立憲民主党・希望の党(≒国民民主党)・共産党・社民党の小選挙区での当選者数は合計38議席でした。それに対して2021年の衆院選では、立憲民主党・共産党・国民民主党・社民党・れいわ新選組の小選挙区での当選者数は合計65議席です。これは間違いなく候補者を1本化したことで共倒れを防いだ効果です。

 一方、比例代表はどうでしょうか?2017年の衆院選では、立憲民主党・希望の党(≒国民民主党)・共産党・社民党の比例代表での当選者数は合計81議席。それに対して2021年の衆院選では、立憲民主党・共産党・国民民主党・社民党・れいわ新選組の比例代表での当選者数は合計56議席。何と比例代表では獲得議席が激減しているのです。これは一体どうしたことでしょうか?

 恐らく、比例代表の獲得議席が激減した理由は野党が共闘したからです。

 例えば2017年の衆院選では、A選挙区とB選挙区があると仮定して、両選挙区にそれぞれ立憲民主党と共産党が立候補しました。するとA選挙区で立憲民主党候補は「小選挙区では私に、比例代表では立憲民主党に投票してください!」と演説し、共産党候補は「小選挙区では私に、比例代表では共産党に投票してください!」と演説します。同様にB選挙区では立憲民主党候補は「小選挙区では私に、比例代表では立憲民主党に投票してください!」と演説し、共産党候補は「小選挙区では私に、比例代表では共産党に投票してください!」と演説する訳です。

 しかし2021年の衆院選では、A選挙区では立憲民主党が、B選挙区では共産党が立候補しました。するとA選挙区で立憲民主党候補が「小選挙区では私に、比例代表では立憲民主党に投票してください!」と演説し、B選挙区で共産党候補が「小選挙区では私に、比例代表では共産党に投票してください!」と演説することになります。

 ということは、A選挙区では「比例代表では共産党に投票してください!」と演説する候補者は不在となり、B選挙区でも「比例代表では立憲民主党に投票してください!」と演説する候補者は不在となります。これでは比例代表の獲得議席が激減するのは当然です。つまり、野党が共闘したせいで野党の比例代表における獲得議席が激減したということです。