立憲民主党代表に泉健太衆議院議員が就任されました。まずはお祝い申し上げます。泉代表は47歳にして既に当選8回と、政界では相当なエリートです。
 泉代表の過去の経歴を見ますと、旧民主党代表選挙で前原誠司衆議院議員(現在は国民民主党所属)、細野豪志衆議院議員(現在は自民党所属)の推薦人になっており、旧希望の党・旧国民民主党人脈に露骨に連なる人物です。
 一方、代表選挙の決選投票で敗れた逢坂誠二衆議院議員が所属する派閥が党内最大派閥である「サンクチュアリ」(=近藤派)であります。サンクチュアリの前会長は赤松広隆・前衆議院副議長であり、立憲民主党が国民民主党と合併する以前は、赤松衆議院副議長(当時)は立憲民主党でほぼ唯一の大御所議員として(当時は小沢一郎も中村喜四郎も岡田克也も野田佳彦も立憲民主党に入党していませんでした)枝野幸男代表の党運営に口を出していたと新聞報道で伝えられています。つまりサンクチュアリは旧立憲民主党の主流派だった訳です。
 サンクチュアリの特徴は、赤松前会長、逢坂議員の経歴を見ると分かります。赤松前会長は社会党OB、逢坂議員は1980年代に日本労働組合総評議会(=総評)傘下の全日本自治団体労働組合(=自治労)に加入しました。これが旧立憲民主党の主流派の姿であり、同時に立憲民主党らしさでもあった訳です。

 旧民主党の弱点は、社会党OB、民社党OB、自民党OBらが混在してバラバラだったことですが、現在の立憲民主党も旧立憲民主党出身者と旧国民民主党出身者が同居しているという点で旧民主党と同様の弱点を抱えています。泉代表は、党内最大派閥であるサンクチュアリの存在を無視することは出来ず、逢坂議員を代表代行に起用しました。泉代表が旧民主党のような党内のバラバラを防ぐ為にはサンクチュアリに配慮せざるを得ませんが、サンクチュアリに配慮すれば泉代表の独自色を発揮することが難しくなり、泉代表が独自色を発揮すればサンクチュアリとの距離感が生じ旧民主党のような党内のバラバラが再燃すると予想されることから、泉代表は党内のバラバラを防ぎ且つ独自色を発揮しなければならないというジレンマを抱えていると言えるでしょう。