ポーランド国立放送交響楽団with 角野隼斗 Japan tour 金沢公演 鑑賞記 | 寄り道だらけの日々〜いつも心に音楽を〜

寄り道だらけの日々〜いつも心に音楽を〜

心惹かれる音楽との出会い、日々のことなど
気ままに書いています。
クラシック音楽が大好き。
ピアニスト角野隼斗さんの
垣根を越えた類い稀な自由な音楽性に魅了させられています。

お久しぶりです。

半年前に書きかけた角野隼斗さんのラフマニノフを聴く遠征以来のブログです。


あれから幾度か素敵な演奏会に行く機会に恵まれましたが、

なかなかブログを書くに至らなかったのだけど

先日ずっと心待ちにしていた公演が終わったので

やっぱり記録に残しておきたくて、久しぶりに書くことにしました。


その待ちに待ったその公演は


ポーランド国立放送交響楽団 2022Japan tour


マリン・オルソップ(指揮)

角野隼斗(ピアノ)


バツェヴィチ/オーケストラのための序曲

ショパン/ピアノ協奏曲第1番(ピアノ:角野隼斗)

ドヴォルザーク/交響曲第9番「新世界より」 もしくは  ブラームス/交響曲第1番







大好きなピアニスト角野隼斗さんが、

ショパンの国のオーケストラとショパンのピアノコンチェルト1番を!

昨年ワルシャワで幻となった角野さんのショパコン1番。

何度も何度も想像では聴こうとしたけれど、どんな風に奏でられるのか想像しきれなかった曲。


しかも全国11箇所を巡る海外オケの大型ツアー。

指揮は今をときめくマエストロ マリン.オルソップさん✨

地元北陸では金沢歌劇座での公演があると知り、

春の告知からずーっとずっと楽しみにしていました。

9月に入ってからは、どうか何事もなく無事に!ツアーも私も、、、と祈るようにカウントダウン。


とうとうその日が来たのでした。

隣県住まいだけど、

このボリュームのあるプログラムでは7時開演だと、

最寄りの駅に停まる新幹線の最終には間に合わないと思い、「遅くなりそうだし明日泊まるね!ご飯は作っていくからね!←ここが肝心笑」と急遽宿泊もすることに。

しめしめこれでもう安心笑

慌てるのイヤだし、すぐに現実に戻らずじっくりたっぷり余韻に浸れるのは本当に嬉しい。

時々は旦那さんともコンサートに行くけれど本当に好きなものはおひとりさまが心ゆくまで埋没できるので

好きなのです。


そんなこんなで、さあ家を出たらこっちのもの。

夏のクラシックコンサート用に買ったワンピースでいつもよりちょっとおしゃれして。

一人だけど形は大事よね。

ホテルに荷物を置いて、いざ!


会場の金沢歌劇座は娘の吹奏楽の大会で応援に来たり、今は亡き佐藤しのぶさんのオペラ「夕鶴」を見た思い出深いホール。ステージの色が黒なのが印象的な伝統あるホールです。




着いた時にはもう会場していたけれど、入場待ちの列来ていて、心急ぐも、
演奏中お腹が鳴ったらイヤなので、ちょっと影で持ってきたクリームパンを飲み込んで笑
会場にはスムーズに入れ、パンフレットを購入。

今回は角野さんのファンクラブでチケットを購入したので席はお任せだったのだけど
三列目のど真ん中!ピアノが近ーい。
いつもは特にオーケストラを聴く時は10列より後ろを選ぶことが多いのだけど、
これは相撲的には砂被りの席ね!どんな風に聴こえてのかしら?とワクワク。



パンフレットをはじめ音の出るものはすべてカバンに押し込んで、携帯はオフ!
握る用のハンカチだけ膝の上に出したら、心静かにその時を待ちます。

オケのメンバーが登場されると大きな拍手で迎えました。
わぁーいっぱい!と声が聞こえてきます。
コロナ禍以来、海外のオケを聴くのは初めて。オケの方々の姿を見るだけでじーんとします。

チューニングが終わり、
拍手に迎えられ、マエストロ オルソップさんがにこやかに登場。
赤の袖口がアクセントのジャケットが印象的。

ポーランドの作曲家バツェヴィチ/オーケストラのための序曲で幕開け。
祝祭的な華やかな曲で一気に気分が高揚します。
すごく前の席だけど、真ん中だからかバランス良く音がストレートに伝わって自然な響きを感じられます。
やっぱりスピーカーやイヤホンを通さないアコースティックな音はいいなぁ。
この席オケの方々の表情もよく見えて楽しい!

序曲で会場が温まったところに、
大きな拍手で迎えられ、角野さんが登場。
トレードマークのフワフワショパンヘアはすこし抑えめがエレガントで素敵。

前奏が始まると
時々目を閉じてすごく集中している様子。
もう何度聴いたかわからない大好きな曲。
4分余りの前奏でもうその世界に引き込まれていきます。
角野さんの緊張感が伝わってきます。

いよいよその時が。
その導入の瞬間は想像より落ち着いて、まだ耳の奥に音が残っているような気がします。
第一楽章、煌めくような美しいピアノの音がロマンチックな主題を奏でていきます。
オルソップさんと、よくアイコンタクトして、また指揮でオケを制御しつつ、角野さんの音をよく聴く様子が見られ
信頼関係がしっかり築かれているのがわかります。
目眩くような第一楽章が終わると、会場で拍手が起こりましたがオルソップさんも角野さんも少し微笑んで、
静けさが戻るのを待ちます。

第二楽章、すぐそこで聴いているのに、遠くから聴こえるようなオケの音に
美しい美しい角野さんのピアノが、優しく入ります。最初の2つの音だけでもう胸がキュンとして
恋に落ちるような感じ。
時折金の粉が夜空から降るような美しいフレーズとフレーズの間、
ふわりと音の余韻を抱き抱えるようなまあるく静けさが入るのがとっても印象的。
いろんな演奏でこの曲を聴いてきたけれど、誰とも違う角野さんの唯一の表現。
ロマンチックな旋律だけど、甘すぎないとっても繊細で透明感のある表現。
そしてとにかく弱音が美しくて。
しっかり鍵盤を深く弾きながらの弱音がひとつひとつ空間に響いていて、うっとり。
しっかりコンタクトしながらのオケの寄り添い方も完璧で、本当に素敵でした。

会場がほうっとため息をつく間もなく、第三楽章に。
ここからは角野さんの真骨頂。すごく気持ちの良いテンポとリズム。民族衣装を着てのダンスステップが目に浮かぶよう。
オケの方々もイキイキとして。私の席からよく見えたコントラバスの方がめっちゃノリノリでついつい目ががいきました。
角野さんもオケパートでも膝の上で弾いて、脚ではリズム。音楽を楽しんでいるのが伝わってきます。
漫画「ピアノの森」で音楽が森を抜け大きな空に向かう(これわかりますか?)ように
音楽が爽やかにどんどん広がっていきます。
いよいよどんどん盛り上がるアルペジオは角野さんの真骨頂!盛り上りが凄い!終わってしまうーーまだまだ聴きたい!
目眩くようなクライマックス。
夢中で拍手をして、たくさんの方々がスタオベされていて、こんなに総立ちになるクラシックのコンサートってあるかしら?
角野さんもオケの方々も会場を嬉しそうに見上げてくださってさらに手が痛くなっても拍手をしたのでした。

このツアーの話題となっている角野さんの毎回違うソリストアンコール。
毎回違うアンコールって!しかもすごいやつ!ばっかり❣️そんな話聴いたことないですよー!
だいたいツアーだと毎回同じ曲、プラスマイナスアルファなのに。
毎日SNSでアンコール予測合戦が繰り広げられて、本当どこまでも斜め上をいく人だわ!とそんなところも魅力です✨
この日、金沢では
ショパンの「木枯らしのエチュード」でした。恩師の金子先生がこの会場にいらっしゃるということで、
ショパンかしら?と勝手に予測してだけど当たり❣️木枯らし、生で聴きたかったので嬉しかったです。
ショパンコンクールの配信で聴いた角野さんの木枯らしともYouTubeにある木枯らしとも違う、
もうそれは鬼気迫るような怖いくらいの集中と没頭感のある木枯らしでした。
木枯らしどころか、氷の欠片がビュンビュン飛んで来そうな迫力で
息をするのも忘れるくらいでした。
オケの方々もじーっと聴き入っていらっしゃるのがわかりました。

丁寧にお辞儀する角野さんに
割れんばかりの拍手とブラボーが言えない代わりにスタオベの嵐。
月並みだけど、感動して放心状態になりました。
あんまり放心したものだから、気がついたら休憩になっていたのでした。

休憩時間にピアノが下がり、次のプログラムは金沢ではドボルザークの「新世界より」。
私はブラームスの1番が死ぬほど好きなので、そっちも聴きたかったなぁとちょっと思いつつ
「新世界より」は生で聴くのは初めて。

ピアノがなくなったことで、オルソップさんの指揮がよく見えます。
本当にわかりやすい指揮で、どう表現したいのか聴いている方にも伝わってきます。
大地の香りがするような素朴でありながら、洗練されたサウンドで本当に素晴らしい「新世界より」でした。

第二楽章の「家路より」の旋律はさらりと早めのテンポでイングリッシュホルンがあのメロディを奏で、
次第にたっぷりと歌う音楽にやっぱりもれなく、夕沈みゆく美しい夕陽が浮かび、じーんとします
音楽を聴きながら、時々夕方散歩するのだけど、この曲で
夕陽を見ると涙が出てくるのです。琴線に触れるってこういうことよね。

散歩して撮った風景


知らない人はいないだろう第4楽章で盛り上がりは最高潮!

吹奏楽部出身なので、ラッパ隊の迫力ある曲が大好き!カッコいい!

素晴らしい「新世界より」でした。


万雷の拍手とスタオベ。オルソップさんもオケの方々もとっても嬉しそう。


アンコールは


ポーランドの作曲家モシユーシコの歌劇「ハルカ」より

マズルカと高地の踊り


とってもウキウキするようなダンスの曲でノリノリ。

すっごく楽しい曲で会場も盛り上がりました。


最後はみんな立ち上がって、オルソップさんはじめオケの方々の退場をお見送り。メンバーの方も「アリガト」と手を振ってくださったり、本当に幸せな気分でした。


このツアーで僕のショパンコンクールが完結する、

と語っていた角野さん。

コンクールの後は見守っていたファンも何か大きな忘れものをしたようなそんな気持ちになったけど、

ここで聴いたショパンのコンチェルト1番は

完結ではなくて、もっと先へ、遥か彼方へ行く光が見えたようなそんな希望に満ちていました。


その場で音楽を楽しむだけでなく、会場が一体となる多幸感に満ちた素晴らしい時間でした。













このリハーサル動画すごい期待感❣️



心に幸せをくれる。音楽って本当にいいものですね♡そして心惹かれる角野隼斗さんというよりピアニスト

に出会えたこと。


そしてこの次の日、今度は地元、それも家のすぐ近くのホールで

小林愛実さんのコンサートに行ったのでした。

こちらもとっても素晴らしかったので、近々まだ書きます。


久しぶりにブログを書いたらすごく時間がかかってしまったけど、

やっぱりこうして思い出を残しておくのはいいですね。

書かずに終わっているいくつかのコンサートやいろいろ。

メモは残ってるのでまた、ぼちぼち書こうかな?、、、、、、たぶん笑


お読みいただきありがとうございました😊かれん