自動車保険料が一斉値上げ 一般会計の赤字補てんが問題に | ☆___________「財界」日本経済を斬る!!!

自動車保険料が一斉値上げ 一般会計の赤字補てんが問題に

自賠責保険は2年ぶりの値上げ



2013年4月から、自動車損害賠償責任(自賠責)保険が値上がりしている。平均で13・5%の引き上げ、2年契約の自家用乗用車(沖縄・離島を除く)では11・6%の引き上げで、2万4950円の保険料が2890円上がって2万7840円となっている。



自賠責保険は利潤や不足が生じないように設計されているが、02年以降は黒字が続いたため、その還元のために08年に5年間の予定で24%の大幅値下げを実施。だがその間、軽度の障害への支払いが増大、累積赤字が5128億円にも達する見通し。そのため、11年に続き、今回2度目の値上げを行うことになった。



自賠責保険料の引き上げを決めているのは、金融庁長官の諮問機関である自賠責保険審議会。自賠責保険は被害者救済を目的とした強制保険のため、その料率は自動車損害賠償保障法第25条によって定められている。これに基づいて、損害保険料率算出機構が、基準料率を金融庁長官に届け出る。その結果今回、金融庁は値上げが必要と判断。



だが、国に積み立てられた保険料の一部が国土交通省と財務省との申し合わせで一般会計の赤字を補うために貸し付けられているが、この返済が18年まで延長されているという問題も指摘される。この返済があれば自賠責の値上げ幅は抑えられたのではないか、というのだ。



損害保険の大手3メガグループは、13年3月期決算で、そろって大幅増益を記録したが、主力の自動車保険は赤字が続き、生命保険や海外事業で利益を出している状況。任意保険料は事故を起こすと負担が増す仕組みになったため、運転者には二重の負担。自賠責保険は損保各社の裁量ではない分野だが、物価が上がるタイミングでの値上げとなっただけに運転手からは非難の声も挙がっている。



疑問の声が上がる理由は、交通事故件数が減少しているから。警察庁の統計によると、12年の死亡事故は4280件で、10年前より約5割減、重傷事故は4万4467件で約4割減、軽傷事故は6391件で約3割減少しているのだ。「事故が減少しているのに、保険料が上がるのはおかしい」というわけだ。