日本郵政社長に元東芝社長の西室氏「政府出資」で手足を縛られての船出 | ☆___________「財界」日本経済を斬る!!!

日本郵政社長に元東芝社長の西室氏「政府出資」で手足を縛られての船出


低収益体質で成長シナリオ描けず



日本郵政グループの新経営体制が6月20日発足、持ち株会社・日本郵政社長に就いた西室泰三氏(元東芝会長)は会見で「2015年秋をメドとする(日本郵政の)株式上場計画をできる限り前倒ししたい」と表明。



西室氏は傘下のゆうちょ銀行とかんぽ生命上場も「今年度中に道筋を付けたい意向」(関係筋)といい、停滞した郵政改革の再加速に強い意欲を見せる。



しかし、仮に安倍・自民党が参院選で大勝したとしても、政治に翻弄されてきた郵政改革がすんなり進む保証はない。政府出資の枠を外れ、新規分野への進出を確保するとしても、西室郵政が民営化を急げば、自民党内の政局に巻き込まれる恐れさえある。



とにかく、今の郵政は「低収益体質で成長シナリオが描けない」(大手証券幹部)。日本郵政の13年3月期の連結純利益は5627億円と民営化以降で最高だったが、傘下の各社の業績を詳細に見れば成長性の無さは歴然。日本郵便は郵便物取扱数減少に歯止めがかからず、稼ぎ頭とされる金融2社も低収益体質が鮮明だ。これも、元金融相の亀井静香氏らが「弱者救済」の名の下に、正社員化を進めてしまったが故の「負の遺産」。



ゆうちょ銀は三菱東京UFJ銀行の1・5倍以上の資金量を持つが、純利益は6割程度。かんぽ生命も日本生命保険の約1・7倍の総資産がありながら、純利益に当たる剰余金は半分以下。資金運用を低金利の国債に依存しているのが主因で、日本郵政は融資業務や保険新商品参入で現状打破を目指している。



しかし、金融2社の新規業務参入には、環太平洋経済連携協定(TPP)に絡んで米政府が「政府出資の日本郵政の業務拡大は、民業を圧迫する」と反対。金融庁も解禁に慎重姿勢だ。



さらに、日銀の異次元緩和で長期金利が上昇傾向にある中、金融2社が新規業務拡大で国債運用を減らせば「長期金利上昇リスクがある」(財務省筋)。



東芝社長・会長や東京証券取引所社長を務め、日米財界人会議議長など財界要職も歴任した西室氏の手腕が注目されるが、「旧郵政族」「米政府」「国債管理政策」と立ちはだかる壁は厚い。