つまんないことばっかりして…。

今まで信じてた気持ちも
一緒にすごしてきた想い出も
脆く崩れてなくなってしまいそうだよ。
ヤキモチ焼かせたかったんなら
その作戦は成功です。
でも毎回、同じ女の子との写真だと
なにが本当なのか全然わかんない…。
隣で映ってる彼女の嫌がらせとか?
それなら手が込みすぎでしょ?
よっぽどあたしのジヨンが欲しいんだね…。

彼に直接聞きたくて連絡しようにもこんな時間だし
写真を見ては、その度に色んなコトを考えてしまう。
それも悪いほうに考えが流れていく。
連絡は取り合っていても、なかなか会えてなかったのは
コノ子と遊んでたから?とか。
そして考えながら気持ちが萎えてゆく
だって初めてのことじゃないもん!
何度かあったってことは
これからもあるってことではないでしょうか?
それに耐えられる気力が、まだ残ってると思われてるんなら。
あたしのこと分かってくれてないってことだよね?

胸が苦して、涙がこぼれる。
写真を見たときよりも
今のが苦しい。

今すぐ声が聞きたい。
せめてメールだけでも…。
深夜まで作業してることも多いから
気がついて。
あたしに、気付いてください。

そう祈りながら

『起きてる?』
とだけメールをする。
こんな時間。
いつになく短いメール。
彼ならきっと…。

ほんの数分で携帯が鳴り出して。
「はい」
と出ると
「もしもし?ミチ?大丈夫?」
って大丈夫なわけないじゃん。
でも彼の声を聞けたらほっとして
ますます涙がでてきちゃう
泣いてるの知られたくないから返事できなくて
「ミチ?」
って名前を呼ばれても、言葉がうまく出てこない。
上手く隠していたはずなのに
泣き声、漏れてたんだね
「泣いてるの?」
って…誰かさんのせいでもう何回も泣かされてるの!
「ごめん」
って理由もいわずに謝られても
不安になるだけ
「どうしてあやまるの?」
…なにか悪いことしたの?
と続けたいけど、言えないバカなあたし。
「画像見たんだろ?すぐに連絡すればよかったのにそうしなかったから」

そう…。
あたしが目にする前に言ってくれたら
こんなに悲しくならなかった。
不安で心が折れてしまう前に
説明してくれたらよかったのに。
そうしなかったのはやましい事があるから?
ほらまた悪く考えてるあたし。
「どうして連絡してくれなかったの?」
と聞くと
「分ってくれると思ってたから。俺の気持はミチに届いてると思ってたし」
「言ってくれなきゃ分らないこと、あるよ」
「うん」
「分ってても、何度も言って欲しいこともあるもん」
「うん」
「それに前のも彼女とだったでしょ?」
「前???」
「誤魔化さなくてもいいよ、二人で居たから撮られたんでしょ?」
「・・・」
急に黙り込む彼に不安を感じている。

「待ってて、今行くから」
ジヨンは一言だけ言うと一方的に電話を切った。

今から?もう朝の4時だよ?
彼のことだ、本当にやってくるのだろう。
逢ってちゃんと話し合いたいと思っていたのは
あたしだけじゃなかったんだ、
それが嬉しい。

明るくなってきた空を見ながら
彼を待ってる。

これからのことは、彼と逢ってから。
ふたりで決めればいい。

そこからまた考えればいい
ねえ、そうでしょ?



☆★☆END☆★☆
伸びてきた両手で腰を押さえつけられて
逃げることもできない、けど
視線だけは外さない。
どんな表情してるのか全部見逃したくなくて
ジーット見つめてる。
笑ってても、真剣な顔してても
したい事はひとつなんだよね?
身体を背もたれギリギリまで引いてても
触れてくる手は、遠慮を知らない。
合わせたブラウスは
今すでに肩からズリ落ちてる。
腰か脇腹き伝う指の感覚が、でもこそばゆくて
体制を整えようと身体を起こしても
逆に距離が近づいてしまうから
これ以上、動けない

あたしの肩を掴んでそのまま強く背もたれに押し付けて
いつものように口の端を少し上げて、イタズラな笑顔
息が届く距離までゆっくりと近づいてくる。

このまま目を合わせてたら
じっとしていられなくなる。
やわらかそうな前髪をそっと掻きあげたり
そのくちびるに、噛み付きたくなったり…しちゃう。
そうならないように目を閉じたのに。
彼の指が肩からうなじにそっと這うだけで
そこからの熱がすぐに全身に回って思わず声が漏れた。

「…ユキ?」
あたしの反応を面白がって
耳朶を食み、そして舌でなぞられると
堪らなく…なっちゃうでしょ。
思わず彼の胸元にしがみついて
「待って」
って言っちゃってる。
待って欲しくなんてないのに。

うつむくと、ソファーに落ちてる自分のブラウスが
視界に入ってくる。
あたしだけ脱がされてるよね。
なんか悔しい…。
その気持ちだけで彼のTシャツを強く引いて脱がそうと企てる。

「あたしだけこんなんじゃ恥ずかしもん」
って拗ねスネ風に言ってみる。
「恥ずかしいの~?」
「当たり前でしょ?」
「…分った」
そう言うと、勢いよく上着を脱ぎ捨てて
「これでいい?」
って…大げさに両手広げてる。
ドキドキしてるから直視できないの分ってるクセに

正面から抱きしめられると
思ってたより筋肉質の腕が男らしくて
居心地がいい。
直接触れ合った肌からは
彼の鼓動が一層近く感じられて
胸が苦しいよ。
こんなに側に居るのに
目の前にいるスンリが恋しくて苦しい。

だからあたしからキスをする。
苦しい気持ちを直接ぶつけたら

少しは楽になれるはず
そして、もっと彼を知りたい…。

彼の肩に手をかける
もちろんキスは続けたままで。
首に抱きつくと彼はあたしの身体を強く引き寄せ
ソファーから身体を浮かせたまま
器用にスカートを脱がせてしまう。

「また、ずるいよ、自分だけっ」
って言って下唇に噛み付いたら
「ん~」
って良くわかんない返事してくる。
「スンリもこれ…」
と彼のベルトに手をかけると
「じっとしてて」
と穏やかな声で言われて何も出来なくなる。

彼は自分のベルトを引き抜いてボタンを緩めてる
けど脱いでるわけじゃない。

あたしの胸にそっと触れながら
くちびるを押し付けてくる。
「気持ちいい?」
と胸元で囁かれて。
触れている手はそのままで
彼の舌に胸の先を捕らえ瞬間
身体の熱が疼きに変わる。
ゆっくりとした舌の動きに身体が震える。
強めに胸を掴まれて、少し痛いくらい舌で責められても
押さえ切れずに声が出てしまう。
右手は彼女の内股から
薄い布で隠された場所にまでゆっくりと滑り
ユキの反応を楽しんでいる。
「ねえ気持ちいいって言って?」
って聞かれても頷くのが精一杯で
不意にくちびるが奪われ、深く探られる度に
彼のことだけを感じられる幸せに泣きたくなった。

離れるくちびる。
触れ合っていた肌からも
体温を感じ取れなくなって初めて
彼が側にいないことに気付く。
そっと目を明けようとするより前に
大きな布がそっと身体に掛けられると
「じっとしてて」
と彼の声が振ってくる。
布越しに彼があたしを抱き上げて
運ばれた先はスプリングのきいた大きなベット…。
身体に掛けられた布は真っ白なシーツで
もぞもぞともがいてそこから顔を出すと
すぐ目の前に不貞腐れた顔の彼。

あたし、なんかイケナイコトしちゃった?

心配がモロ顔に出ちゃってたよね?

目の前に投げ出されてる大きな彼の手
そっと指を絡めると
そのまま強く引っぱって来る
逃げられないように足まで絡めてきて
それでも不機嫌な表情はそのままで…。
「嫌なら何もしないから安心してて」
って…。

上手く答えられてなかった。
気持ちいいって言えなかったけど。
キスで感じてくれてるって思ってた。

「スンリ?」
彼の頬に手を置いてそっと顔を覗き込むと
何も映さない瞳であたしを見てる。
キスをするけど反応してくれなくて苦しくて
「好きなの」
って始めて口にしていた。

「ほんとに?」
「うん、でももう言わない」
「なんで?もっと言ってみて」
って何度もこういうの言わせたい人なんだね。

「気持ちのこもったキス、もっとしてくれたら言ってみてもいいけど~」
って言うと。
嬉しそうに顔近づけてきて
「はいチュゥ~」
って口とがらせてるから笑っちゃうw
迫ってくる彼のキスから逃げてキャッキャ言ってる
そういうのが今は楽しい。

彼の気持ちはわからないけど。
自分の気持ちは、もう隠せないから。
これからは素直に行動しちゃうので
覚悟しててね。



☆★☆END☆★☆
嬉しそうに支払いを済ませて
タクシーに乗り込む彼は
マンションに着くまでずーっと手をつないだままで。

これからのことを、考えると
ドキドキしすぎて吐き気がしてくるから。
今は、喉の渇きを癒す事だけ、考えよう。
冷たいビール、少し辛口のシャンパン。
泡がシュワシュワ~~~
それしか今は考えちゃダメだって。


カッラッポの冷蔵庫にビールを押し込んで
シャンパンは冷凍庫に…。
ぬるくなったシャンパンもこれですぐに冷えるだろう。

キッチンについて、簡単に説明しただけで。
彼女は引き出しを自由に開けて
食器やグラスを取り出し。
スモークサーモンとチーズをガラスの器に盛り付けている。
その流れるような動きに、目が離せなくなる。
輪郭を彩る髪色は明るいブラウンで
彼女が向きを変えるとサラサラと揺れる
柔らかそうなその髪そっと指でなでつけ
無造作に耳にかける仕草を目にして
「何か手伝おうか」
と近づいたのは

ただ、触れたくなっただけ。
「あとはチキン温めるだけだよ~、あっでもせっかくだからグラス運んでもらおうかな?」
と…彼女の髪を指で弄ぼうとして伸ばした手に
グラスが渡されてしまう。
「あと、サーモンも持ってってね」
と微笑んだと思ったら。

「なんか焦げてる匂いしないっ?ピザっ!!!」
と勢いよく、彼女は目の前から居なくなった。

焦る必要はない…。
しかし、なぜか調子が狂う。
いつもとは違う自分の反応に驚きながら
言われたとおりに皿を運びテーブルのセッティングを手伝う。
そして、もう料理なんてどうでもいいコトに気付く。
「シャンパンも冷えた頃だし乾杯しよう」
と音を立てて栓を抜きながらも
考えているのは『彼女のどっち側に座ろうか』だったし。
嬉しそうにグラスを掲げる彼女との距離を詰めながら
シャンパンを流し込むけれど。
絡み合った視線は、そのままで。
口に含んだ冷たい液体を
柔らかいキスとともに彼女に注ぎ込んで。
細やかな泡とすっきりとした甘味を、ふたり一緒に味わう。

「もうひとくち飲む?」
と再びシャンパンを口移しで与えると
こくこくと飲み下す彼女の動きがいとおしくて
思わず強く舌を絡め、吸い上げていた。
肩からうなじ、そしてそのまま背中を指で辿って
ブラウスの裾から中に手を差し入れ肌に触れる
それに気付いた彼女が
そっと身体を反らし距離を取ろうとしている。
…けど、させない。

両手を背中に回して強く抱きしめながら
ブラのホックを手早く外す。
なのに、離れようとするから…先を急ぎたくなった。
キスを続けながら、ボタンに手をかける。
指が微かに触れるだけで
息が漏れて…。


「シャンパン飲むっ」
と慌ててユキが言う。
少し時間が欲しかったからおねだりしてみる。
はだけたブラウスを合わせて
彼のほうを見上げると
「ん~~?」
って片方の眉を上げて、拗ね拗ね顔。

荒っぽく流れ込んでくるシャンパンが
くちびるから溢れ、雫は顎から胸元に落ちてゆく。
「もっとゆっくり~」
と言った彼女の言葉にふてぶてしく微笑んで
ユキが必死に前で合わせてるブラウスを強引に開くと
シャンパンの雫をゆっくりと舐め上げる。
胸元、鎖骨の下から首筋…まで上がってくる彼のくちびる
雫の落ちてないところにまで触れられて
時折チュっと音を立てるのはワザとでしょ?その度に
あたしの表情見上げてくるもん。
ダメだ。立ってられない。
声出しちゃうともっとドヤ顔されちゃいそう
その顔が好きすぎるから。
息を止めてる。
倒れこむように彼の肩に手かけて
その勢いで、あたしからキスしたのは。
これ以上、勝手にされたら何も考えられなくなっちゃうから。

「まだご飯も食べてないんだよ、ちょっと落ちつかなきゃ」
「なんで?」
「なんでって?お腹減ってるでしょ?」
「さっきまではそうだったけど、今食べたいのは~ユキw」
「っ!!!!」
「あたしはお腹減ってるんだけど」
「我慢できないくらい?」
「うん」
「…そっか、でも俺も我慢できないw」
って満面の笑みだよ、なにコレ?
言ってやったゼ的な顔!
笑っちゃうって。

「冷めちゃったけど、一切れだけ食べようよ」
ユキはソファー倒れこんで。
ピザを食べ始めた。
お腹減ってるっていうのはウソ。
でもこのまま終わっちゃうのはあっけなくて嫌だから。
どうせすぐに忘れられちゃうんだろうし…。
もう少し二人の時間を楽しみたかった
…ただそれだけなのです

喉に引っかかる乾いたピザを
温くなったシャンパンで飲み込む。
彼の重みで沈むソファー。
すぐ隣に座ってくるから
膝から太ももまで、ぴったりくっついちゃってるよ。
平常心、平常心…。
視線を感じてるけど、気付いてないフリ。
でも何かしていないと誤魔化せない状態なんです。
だから食べたくもないピザをもう一切れつまんでみる。
でそれとなく
「いる?」
って勧めたら、うんうん頷いてて…。
そのままじっとしてくれてればいいのに
彼は意味ありげに太ももに手をおいて
ユキの目の前に回り込む。
膝を着いて座り、彼女の膝を割って身体を滑り込ませて
彼女の持つピザを、手も使わずにくわえると
一口齧っただけで、残りを皿に戻す。

ユキを見上る視線はまっすぐで
やんちゃな口元からは楽しげな微笑がこぼれてる。
視線を外せないってコト、知っている顔。
肌蹴たブラウスを下から器用に引っ張りながら
ゆっくり体重をかけてくる。
今顔覗き込まれると耳まで赤いのがバレてしまう。
見て欲しくない空気感じ取って
あえて覗き込んでくる…んでしょ?
あたしが赤くなってるの確認してにまにま笑いながら
繋いでる手にぎゅーって力入れて
「痛いって~」
って言うの待ってるでしょ?
困った顔したら彼の思うツボ!

ほっぺはまだ火照ってるけど
顎を上げて余裕のある風を装って

「スンリの部屋に行こ」

って唐突に言ったのは
困らせたい気持ちになったから。
そして言ってから視線合わせてないのは
彼の困った顔を見てしまうと
「うそっ、嘘だよ~冗談だってw」
と引き下がってしまいそうだからです。

そんな心配をよそに
つないだ手に力を込めながら
「うんうん、いいよ~」
と変わらない口調で返してくる。
「買い物してかなきゃ、食べるものもないけど」
って嬉しそうなんですけど…。
全然困ってないよね?
それどころか喜んでる。
隣でニマニマしてるの見なくても
空気で分るってどんだけだよ。
困らせるつもりの当てが外れて
少し悔しいけど
部屋に行けるの決定~
そのうえあたしも楽しみだから、まいっか。

駅前のスーパーは
夕飯の買い物客で賑わっている。
お買い物カゴを手に、入ろうとしたら
「カート、カート~っ♪」
とと言いながら
あたしが手に持ってたカゴを
カートに乗せてくれるけど
そんな大量に買い物しないよね?

「何が食べたい?」
なんて聞く必要ないみたい…。
「このピザ旨そう~」
とカゴに入れ
「コロッケ…コロッケ?いやチキンだろう」
とチキンも放り込んでる

「ユキの手料理も食べたいけど、また今度にする~」
と勝手に決めてて。
「料理下手って思ってるの?結構上手いのに~何でも作るよ」
とアピールしてるのに。
「ビールとシャンパンとどっちがいい?」
ってカブせてくるし
なんか悲し~~~くなってきた。
それが顔に出ちゃってたよね。

あたしの肩に手を回して
自分の方に引き寄せると
「いちゃいちゃするから、料理してる暇ないって」
と耳元で囁いて、そのままさり気なくこめかみにキスしてくる。
誰かに見られてるかも!!って思ったら
恥ずかしくて、また顔が火照ってくるよぅ。

離れなきゃ、と少し身体を離して
「一緒に料理つくるってのはどうかな?」
と提案してみる。
「今は料理より、したいことあるから」
と即答スンリ、意味ありげにこっち見てる。

なにしたいことって何ナニなぁに~~~~????

ダメだ喉がカラカラになってきた。
「ビールもシャンパンも、もうどっちも飲んじゃう」
そう宣言して目に付いたスモークサーモンを
カゴに入れるあたし。
「了解~」
と満足げな彼
「できれば今飲みたいです」
と我侭を言うあたしに
すっごいキメ顔を近づけて来て
「…ガマンシテ」
っ…。
普通に言えばいいでしょ?
なんで吐く息、多め、しかも小声で囁くの?
息が耳にかかるでしょーが!

近すぎる顔を押しのけたら
ニヤニヤ…ニヤニヤ…し過ぎてる。
もしかし、またキスしようとしてたんですか?
ナニ?コノ動物…。
すっごく身の危険を感じるけど、憎めないのはナゼ?

あたしも負けてらんない!
一番可愛く見えるであろう角度と笑顔で
彼の頬に軽くかすめるようにキスをして
「我慢できないから早く帰ろ」
って耳元で囁き返す。
ほんの、冗談のつもりだったのに。
こぼれんばかりの笑顔で
うんうん頷いてる彼を見て

どうしよう?
気持ちの引っ込みがつかなくなってる…。

昨日からおっかしなメールしてきてるよね。
「今日は仕事早く終わるの?明日は?」
とか・・・さ。
「今日は残業決定だよ、明日は明日にならなきゃわかんないけどね」
って適当に返してみた。
今日は今日で聞いてもないのに
「俺午後からオフ~」
って一行だけ。

変だって!

予定聞くのはいつもあたしの方で
忙しいと返事くれない事も多くて
それに前もってオフって教えてくれたこと無かったよね?
だから何人も居るんだって思ってる。
友達以上恋人未満な女の子が何人もね、で休みの当日
自分の会いたい子にだけ連絡取ってるイメージ
確信はないけどそんな気がしてた。

そっか、スンリは午後からオフなんだ
何が言いたいメールなのかはわかんないけど
こっちは残業になりそうな予感・・・。
「仕事終わってからなら逢えるかも」
って返信したいけど。
何時に終わるかはわからないし
待っててくれそうもない。
『それなら他の子誘おう』
って思われるのが一番嫌だから
返事はしないって決めた。
でも逢いたい気持ちは消えてくれなくて
今日逢う約束してる訳じゃない…。
ケド、仕事は速く終わらせて、連絡したらもしかして…。
ってついつい考えちゃってランチも取らずに仕事してるあたし。
でもさ、絶対他の予定入れちゃってるよね

あぁぁ凹んできたぞ~。
それでもいいんだ。
目の前の仕事して終わったらメールしてみる。
そのことだけを考える。
流石にお腹が減ってきたので
買い置きお菓子を食べながら
甘めのコーヒーを何杯も飲んで誤魔化して。
やらなきゃならないこと全部を
超人的な速さで終わらせて時計を見た
と同時に、終業のチャイムが鳴り響く。

デスクの回りを慌てて片付けながら
「仕事終わったよ~何してるの?」
と右手でメールを打ちつつ、左手でカバンを掴んだら
「お先に失礼します」
と勢いよく外に飛び出した。
でも、どうしよう。

約束してるわけでもないし
待ってくれてるハズもない・・・。
なのに、もしかして会えるかもしれないって
一方的な気持ちだけで行動しちゃってる。

追い討ちをかける様に、急に雨が降り出して
会社の置き傘を取りに引き返そうか
迷い始めた途端、彼からのメールが届いた。

「雨降ってきたからむかえに来て~」
と甘えたメール。
「今ドコにいるの?」
と返すとすぐに電話が架かって来て。
「駅前のカフェだよ」
って楽しそうに話してくる。
「駅前?ココの最寄り駅?」
「うんうん」
「そこで何してるの?」
「ん?待ってたんだけど、もしかして都合悪かった?」
「!!!!っそんなことない!」

駅前のカフェに着く頃には
雨はすっかり止んでしまって
傘なんて必要なくなってた。
あたしの姿を見つけてカフェを出てきた彼が
「雨止んじゃったね」
と残念そうに言いながら
そっと傘を持ってくれる。

「七夕だから晴れてた方がいいよ」
とあたしが言っても
「う~ん」
としか言わない。
「何なにナニ?ふたりでひとつの傘さして歩きたかった、とか?」
思いつきで言ったのに
ニカっと嬉しそうに笑って
「そーそー」
と素直に認めるから、こっちが恥ずかしくなっちゃうよ。

傘を持ってくれたのと同じように
そっと手を伸ばしてきて
当たり前のように繋いでくる。
そしてその手をブンブンと大きく振りながら
「今日はユキの行きたいトコに行って、したいコトしよう」
って!
それってそれって!!!!