術後2年、CT検査の結果を聞いてきました。
いつもの診察室3では、やや神妙な面持ちでY先生が待っていました。
この空気感はあまり芳しくないぞ、あぁ、再発かなぁ、と、これまでの経験から察知しましたが、Y先生は「問題ないよ」と言った後、ニッと笑いました。
最後に幼い演出をしてくれちゃって。
「今日で最後だよ。」
Y先生がそう言い終える前に、涙が頬をつたいました。
先生との4年9ヶ月、診察室3での一瞬一瞬は、連綿とした映像として強く脳裏に焼き付いていて、今でもその映像が流れると、心にガシンと衝撃が走ります。
「成長したな。最初は、学生だったのに良く頑張ったな。」
「よく怒られましたよね。私が甘かったんですけどね。」
「ボーっと生きてんじゃねーよ!ってな!ハハハ」
「特に、再発してからは、生き方そのものが変わりましたね。夢もできたんですよ。」
………。
家族以外で、自分の人生を一緒に振り返ってくれる人がいること。
とんでもない幸せだ。
病気になったことは、もちろん私の人生の中でダントツトップ1の一大イベントで、そこから学んだことは、どんな参考書やビジネス本に書かれていることよりもダントツトップ1で尊くて、
それで、そこにオマケみたいなかんじで人との出会いがあって、って思っていたけど、
オマケなんかじゃない。
宝物。
先生にとっては、数多いる患者のワンオブゼムかもしれないけれど、私にとって先生は、一生心の中で輝きを放つ存在です。
きっと、私が道を誤りそうになったり、クヨクヨしたりした時は、レーザービームのように強烈な光を内側からあてて、また、ボーっと生きてんじゃねーよ!って叫ぶはず。
先生はよく、私に、先生が診ていた患者さんの話をしました。
こんな患者さんがいて、こんなにパワフルで、今はこんなことをしている。
この患者さんは、こんな仕事をしていて、キャリアウーマンで格好いい。
私も、「ボーっと生きてんじゃねーよ!」って喝を入れられて、ちょっとだけど強くなった女性として、先生の会話の中に登場していたら、嬉しいなぁ、なんて思いました。
先生への感謝は、言葉でうまく伝えられる自信がなかったので、手紙にしたためました。
伝わっているといいなぁ。
またどこかで会えるといいなぁ。