アギーレジャパンの変化 | ふせい白書

ふせい白書

あらあらまたこんなことを?よろしくないわねえー。ちょっと成敗してあげましょうよ。

アギーレジャパンの変化

渦中の?アギーレジャパンがアジアカップでグループリーグ初戦を勝利で飾った。メディアでは、果たして勝てるのか、厳しい戦いになる、など様々な憶測が飛び交う中、
「ランキングが倍くらい違うから絶対日本勝つに決まってるじゃん」
と小学2年生の次男坊が言ってたのが妙に心に響いたのだが、子供の予想通りだったので、大人の愚考をあらためて実感した。

ほぼ勝利を確信したのは本田のPKのシーンだ。本田がうまい、というのではなく、相手キーパーが早く動きすぎて、余裕で逆をつけたところだ。日本に対してか、ACミランの10番に対してかわからないが、キーパーの焦りがああいうタイミングになったのだろう。
どちらにしろサッカー強国の試合では近年あまり見たことのないプレーだった。

アギーレジャパンになって進化したのかどうか、ネットでも色々書かれているが、私は、進化まではないが変化を明確に感じている。

まず守りは明らかに安定感が増した。攻撃に関しては、ドイツやイタリアと比べるとまだまだだが、以前よりもリスクを冒してでも点を取りにいく、という姿勢が見えるようになった。

ザックジャパンの攻撃では相手のウィークポイントを突くのがうまかった。事前に相手チームのデータをこれでもか、というくらい研究し、攻略法を絞り込み、試合中は終始相手のウィークポイントを突くことに時間を費やした。それが歴代の日本代表最高の勝率7割を越えたやり方だった。しかし、あまりにルール付けを厳しくしすぎて、攻撃の仕方が偏り、物足りなさ感が見ている側のストレスや不安になった点は否めないだろう。

ザックジャパンでは日本らしいというと、短くパスでつなぐことだったが、ドイツのそれと比べるとスピードが違っていたし、パス回しからの縦パスなどが徹底されていなかった。
無難なパスが多く、ミスを恐れてスルーパスなどは非常に少ない、相手のミスを待つパターンの回し方だった。パス回しの先に得点が見えなければ、あるいはパス回しが目的になってしまっては、得点は取りにくくなるし、見ているファンを飽きさせるリスクがある。

一方、アギーレジャパンでは相手のウィークポイントをつくのはもちろんだが、攻め方を固定せず、大まかな流れだけを決め、個人の判断に任せているように思える。以前と比べると、あそこが空いてる、縦パスが欲しい、と見ている側の要望に合う攻め方が多くなったように感じる。

なんでもいいから、というわけではないが、点をとれるときは、多少はルールを無視してもいい、といったように、勝ち方の発想が、以前と違ってきたように感じる。

また、ザックジャパンの時には見られなかった、クロス、ロングの縦パス、そしてミドルシュートを使った攻撃が多くなった。

アギーレジャパンの場合、ウィークポイントを突くことに徹するのではなく、自分達の攻撃パターンを作り、自信を持って突き進もうとする気概を感じる。

クロスには賛否両論ある。
日本人は身長が他国と比べると低いのでそもそも合わないという考え方もあるだろう。
クロスやロングパスが決まらなければ相手にボールを奪われる確率が上がるだけだ。そこがリスクであり、ザックジャパンではリスクは極力排除して戦っていた。

ただクロスやミドルシュートもある、と思わせるのと、細かいパス回ししか無いと思われるのとでは、守る方は守り方を変えないといけないので、相手からするとクロスがあるだけでも非常に守りにくいといえる。

精度はさほど高くはないが、精度が低いという理由で使わなければ、ずっとものにならない。個人的にはクロスやロングパス、ついでに言えば、相手のゴール前のワンツー、ゴール前のドリブル突破など、失敗すれば文句を言われるようなことをしなければ点は取れないと思っているので、まだ精度は低いが、これからそういった攻撃をどんどんしかけて、精度が上がることを期待している。

センターライン越えたあたりからのクロス、香川や遠藤のミドルシュート、森重が得意とする、右サイドからドリブルで切り込んで、クロスに合わせるのではなく、味方を壁がわりにして、味方に当てるだけの超ショートクロス、岡崎へのスルーパス、こういったリスクを恐れない攻め方を相手がかわっても普通にできるようになることで、日本らしい攻め方が確立せれてきた、と言われるのではないだろうか。

問題の守りであるが、守りについても、ルールはもちろんあるが、攻撃同様、自由度が高くなったと感じる。先日の試合では日本のディフェンダーが臨機応変に動き、相手を封じた感が非常に強い。

点を入れられないためには多少はルールを無視してもいいという発想だ。

昨年のW杯でコートジボワールと戦ったとき、左サイドが崩されて、同じクロスを本当に何回も入れられ、挙句、ビデオを見ているような全く同じパターンで2点を献上してしまった。
あの試合では長友がサイドバックではなくセンターバック近くまでズレて下がっていたので、左サイド中盤をMFの香川1人で守りきらなければならなかったという風に、崩されるべきして崩された試合だった。センターからのシュートもあったので、長友にはセンターからの侵入を止めるという使命が課されていたのではないだろうか。

先日のアジアカップの試合では、フォワードの位置まで上がった長友が、一旦香川の少し後方で守備をして定位置に戻る場面が何回か見られた。

また、相手のカウンターに対しても全員が一気に下がるのではなく、ボールに近い選手がしっかりマークし、かつ取りにもいかず、守りが整備されるまで相手のスピードを落とすことに専念している。

この辺りに守備の安定感を感じる。
こういった対応の仕方は基本ではあるものの、以前はルールを守ることが基本より優先されていたのではないだろうか。
ザックジャパンではカウンターで一気に抜かれる場面が多かった。

勝つには、自分たちが点を取って、相手に点をとらせなければいい。当たり前のことだが、アギーレジャパンでは勝つために、試合でそれぞれが何をすればいいのかということが、あらためて浸透されてきているように感じる。ルールよりも選手の判断が優先されているように思える。

アギーレジャパンでは選手の選考にしっかり時間をかけた。ブラジル戦では主力選手を先発で使わず非難を浴びた。しかし、真の狙いは、ここにあったのではないだろうか。
ルールを無視しても正しい判断ができる選手を探すこと。
自分を信じてルールを無視できる選手を探すことに。

昨年11月に行われたホンジュラス戦で、守備に下がってこようとした本田に「下がらなくていい」と言った内田のように。その直後に長谷部からのロングパスが本田につながりゴールにつながった。
猛烈な勢いで下がってきているあの顔の本田に、下がるな、と言える右サイドバックは他にいないだろう。

代表監督はクラブ監督と違い時間がないので選んだ選手のパフォーマンスが自分の戦術に影響を与える。自分の戦術に染め上げることは不可能に近い。

いちいちゼロから教え込まなくとも、多少の指導で自分の戦術に合わせられる選手を探すことが、勝つための近道になる。

そう考えると、まだまだ過ぎた時間は少なすぎる、これからも選手の見極めは続いていくに違いない。

話を戻そう。

なんとか初戦を勝利で飾ったアギーレジャパン。
ただ、次男坊が言ったように、先日の相手はランキングが倍くらい違っていた。
強国を相手にした時が、真価を見極めるときだろう。
上記のように本当に変化しているのかどうかは今後の試合を見なければわからない。
次は強国イラク戦。果たしてどうなるか。

その前に、次男坊にランキングを見せて、ご意見をいただこうか、迷っている。