曇り空と忘れ物 | ふせい白書

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あらあらまたこんなことを?よろしくないわねえー。ちょっと成敗してあげましょうよ。

先日、子供のサッカーの試合があるというので見に行ってきた。


練習試合ではあるが、相手チームの上学年は全国大会でも上位に入賞するほどの強豪チームなので、どんな試合展開になるのか楽しみであった。


どちらも3年生なので、全国大会はまだない。来年からであるが、これまでの地域の大会を見ていて、間違いなく相手チームは全国大会に出るだろう。


前日までは暖かい日が続いていたのに、その日は一転して気温が低く、応援するのにも気合が必要な日であった。寒空の下で忘れ物をしたような気になった。が、その時は手袋を忘れただけだ、と思っていた。


1時間ほど練習し、いよいよ試合が始まった。
結論から言うと、ボロ負けであった。
全国レベルとの違いを見せつけられた、というところだろうか。


ただ、勝てるチャンスがなかったか、というと、そうではない、十分に勝つチャンスはあった。

さすがに相手は完成度が高くパス回しも早い。並のチームではボールを奪うのも難しい相手だと思う。
弱点があるとすれば、守備、攻撃ともにパターン化されているというところだろう。

全国レベルのチームだから非の打ち所が無いに等しいのだが、点は取れなくても攻撃を食い止めることはできるレベルであった。パターン化されたものほど崩しやすいものはない。


相手は○○ィという、今年ドイツに渡った日本代表選手が子供の頃に属していたチームだ。

○○ィは、サイドにボールを散らしゴール近くまで上がり、センタリング、もしくはサイドチェンジをしてゴールを奪う、という高度な攻撃を得意としていた。大人でも通用するパターンなのだが、繋ぐにはそれなりの足元の技術がもとめられる。1人でももたついたらこぼれてる間にボールを奪われたり、守備を固められたりするからだ。


○○ィの子供たちは普段からしっかり練習している成果を思う存分発揮しただけだ。

それに対し、我がチームはボール回しに翻弄され、追いかけ回すことを余儀無くされた。相手の思うつぼである。


では、この試合ほどうしたら勝てたのか。

前提として、ある程度のレベルがあればチームワークで勝てる、というのが私の考えだ。
レベルが並以下のチーム同士だと、1人のうまい選手がいる方が勝つことが多い。
今回の試合でいうと、チームワークで勝つチャンスはあった。

まず、○○ィは、無理をしないことを前提としていた。決してドリブルでの突破は試みないし、パスが通らないと見ると後ろに下げていた、まるで大人である。しかし、そこに活路は見出せたはずだ。


再度問う、この試合はどうしたら勝てたのか。


極論だがコーチの試合中の指導があれば、勝てた。
たらればの話はしたくないし、コーチの批判をするつもりは全くないが、以下を読んでいただければ、共感していただける人は多いのではないかと思っている。


まず、攻撃を相手のサイドバックに止められたとする。そこから相手のビルドアップが始まる。前につなぎサイドから真ん中、あるいは逆サイドにまわしゴールを奪う、というパターンがほとんどであった。全てサイドからの攻撃。

真ん中を突破され点を奪われたシーンは皆無に等しかった。


先ほども書いたが、相手は絶対に無理をしない。そこを突くべきである。

まず相手のサイドバックがボールを持ったら、2人でプレスをかける。そこまでは何回かみられた光景であるが、問題はそのあとである。


相手のサイドバックはその2人をドリブルで抜こうとはしない。無理をせずセンターバックに戻す。センターバックはすかさず逆サイドのサイドバックにボールを回す。しかも、さすが練習してあるだけあって、そこに迷いは感じられない。

そこが弱点である。


話をこちら目線で整理する。
相手のサイドバックがボールを持ったら、こちらの前衛は2人でプレスにいく。ボールが相手センターバックを経由し逆サイドのサイドバックに回るところをインターセプトする。わざと逆サイドバックにボールを出させてそれを奪う、という作戦だ。


もちろん逆サイドのサイドバックはわざと空けておかなければならなが、それくらいはこのチームならできたはずだ。

それを試合中にコーチが指示すべきなのだ。

また、それでもインターセプトできずにビルドアップされた場合であるが、逆サイドのサイドバックに回ったボールはそのまま前にいるトップ下の選手か前方のフォワード、あるいは逆サイドのフォワードにスルーパスを出されていた。サイドで持ったフォワードはその勢いでまっすぐ前にドリブルしセンターに上げ、ゴールを奪っていた。


こちらの選手がサイドに気を奪われすぎて、反対側、もしくはセンターのカバーができていなかった。

サイドから攻撃する目的は、相手選手の顔をそちらに向かせることにあるのだから、まんまと戦術にはまってしまっているのである。逆にいうと空いたセンターのスペースや、逆から上がってくる相手選手のカバーがしっかりできていれば点を取られる確率はかなり低くなっていたはずだ。

ゴール前で相手選手はほぼフリーで受けていたからだ。


もともとある技術、ボール回しで相手を崩していける試合もあるが、相手が強ければ強いほど、試合の中で考えて試合を変えていくことが求められる。


それをコーチは試合で使い分けていかなければならないのではないだろうか、それがコーチの仕事だと思う。練習メニューをこなすだけが仕事ではない。


私はコーチではないので口出しはしない。当コーチに言うつもりもない。


子供をクラブに預けた親は、大声で応援するしかないのだ。

試合が終わっても寒空は晴れることはなく、身体も冷えたままだった。

もちろん心は曇ったままだ。


そう感じたとき、忘れ物を思い出した。
次は拡声器を忘れないようにしなければ・・・。