2016年10月読書メモ | あざみの効用

あざみの効用

或いは共生新党残党が棲まう地

 

 

「非正規雇用の増加は、しばしば若い世代の価値観の変化と結びつけて論じられることに不満を持っていた。なぜなら、非正規雇用の増加は労働市場の変容によるもので、個々の非正規労働者の価値観を強調することはしばしばミスリーディングであるとつねづね感じてきたからである。しかし、日本における世代による価値観の違いについては、少数の事例に基づく印象論か、年齡による違いを出生コーホートによる違いであるとみなした研究がほとんどで十分に信頼できる研究は非常に少なかった」

 

上記のTweetと重ね合わせると研究はある種の牽強付会的議論を産出しがちなため、読者は面白い・面白くないではなく冷静に議論の「根拠」を眺める必要がある―。

 

…将棋ファンとしては見るに堪えない事件が起きているが、ノイズを廃して純粋に竜王戦を楽しみたい(今年初めて週刊文春に苛立ちを覚える)。「見る将」という言葉に代表されるような対局を丸ごと楽しむというのは昨今の動画、棋譜サイトのおかげでそれまでは新聞や雑誌の一部を切り取った観戦記が主流だったことを思い出しました。同書から一本選ぶなら「善悪論評に及ばず」が沁みます。

 

読者を淵源たる人物まで謎解きの旅に誘う構成が見事―、ただ構成があまりにも巧みすぎて「生長の家」からの内部告発を疑いたくなった。