2017年9月読書メモ(大豊作) | あざみの効用

あざみの効用

或いは共生新党残党が棲まう地

 

リベラルに関する混同がある。マイノリティー・弱者保護という観点と、自由擁護という観点が混同されるのは欧米同様によくあることだけど、少なくとも個人に対する仁義はあってしかるべきというのは私も歳を食っただけだからかもしれないけどね。

同ブログ当初に記した通り元々は少女漫画について、否もはや―慣れし故郷を放たれて 夢に楽土求めたり―かな。あとのTweetは今月読書より―。

 

 

 

 

行動経済学については人口に膾炙したが、学問の中身もさることながら提唱者であるカーネマンと、トヴェルスキーに焦点を合わせた書物。天才の栄光と孤独が染みる―私が気に入ったのは心理学か、哲学を専攻するかを迷った際に心理学を選んだ理由が、哲学はプラトンの時代に既に干上がった油田であり、かつ標本数「1」(=自分)の学問であると談じた下り。

現在、大学(教育)改革の一環として、文系特に文学や哲学の有用性に疑義が突きつけられる中、まさに歴史、政治、思想、教育といった学問横断的に「教育問題」を分析し尽くした一冊。現時点で、おそらくここ前後10年のスパンで考えてもこの一冊で教育問題は論じられるだけのデータと、問題点の指摘に溢れた一冊。皮肉ではなく哲学者が書いた書籍とは到底思えない、Tweetの通り教師も追い詰められている―。

これは直近の一番関心があるテーマ。こうやって何冊も読むことで腸内微生物が免疫系に働きかけ、免疫系は脳の発達に繋がる―さらに言えば遺伝子の乗り物としての人間としたときに、それはヒトのDNAだけではなく、水平遺伝子伝播を可とする圧倒的多数の微生物の乗り物としての進化、シンビオジェネシスとして考える必要がある。糞便移植からプロバイオティクスのような健康文脈で語られている「何か」も、ヒトの思考・自我にも影響を及ぼしうるグランドセオリーたる可能性を真剣に考えるべき地点にたった。

これは今年の一冊確定。この書はタイトルよりサブタイトルの「エビデンスにもとづく幸福改革」の方が誤解なく手に取ってもらえると思う。タイトルだけ見るとスピリチュアルな印象を与えかねないが、内容はEBMとしての心理学、そして統計・福利厚生としてのEBMに基づく精神医療の効用検証、英国の社会的実験(IPAT:心理療法アクセス改善)から成り立つ。この手の議論は全て日本でも、精神病院大国である日本の場合尚更参照すべき議論となっている。

上、3冊と比すれば若干推奨度は落ちるが、進化生物・人類学として「キレる」という現象を考える。ポイントは「キレる」というリアクションは全てマイナスであれば残らない(肥満と同じ)。キレるに至る機序としてLIFEMORTSと称されるポイント、生命の危機、無礼、家族、環境、仲間、秩序、資源、部族、抑圧というポイントを理解することで、現代社会において進化史に反し怒りを制御すべきポイントを知ることから第一歩を記すべし。