★★★★

 

「繰り返す男」
「猫に憑かれた女優」
「トンネルとマヨイガ」
「物の怪の出る廃校」
「対決・仏像怪談」
「生霊を追って」
6話収録の連作短編集。

主人公は、警視庁・深川署の刑事課から、警察庁に属する『第二種未解決事件整理係』に転属命令が下った只倉恵三・55歳。

娘の恋人で怪談師の関内炎月と共に奇怪な未解決事件を追っていく。

数々の怪奇現象めいた事件は人ならざる者の仕業なのか?
怪談嫌いの只倉が科学的根拠で真相を暴いていく姿は流石の一言。

普通はゾッとする怪談も全く怖くないのがミソ。
ミステリ×怪談+ユーモア小説。

装丁もイケてる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

★★★★

 

「街頭インタビュー」
「カエル殺し」
「追想の家」
「速水士郎を追いかけて」
「ルナティック・レトリーバー」
5話収録の独立短編集。

前作の『バイバイ、サンタクロース 麻坂家の双子探偵』より更に面白くなっていた。
1999年生まれ、東京大学大学院在中のまだ若い作家さんだが、1話読み終えるごとに上手さに唸ってしまう。

真相に辿り着いたかと思えば鮮やかな反転、注意深く読み進めていても、裏をかくその手腕にやられっぱなし。

第十九回ミステリーズ!新人賞受賞作に輝いた最終話も良いが、全話秀逸で文句なしの面白さ。

今後に期待しかない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

★★★

 

「私はヒロインになれない」
「ただそれだけのこと」
「愛とセックスはイコールだと思ってた」
「君との未来のために」
「サレカノ」
「沼恋の先に」
6話収録の恋愛短編集。

自分とは正反対のキラキラ女子を彼女に持つ男に片思いする女性、レスに悩む男女、『一番』になりたい女子など、20代女性の恋愛事情が赤裸々に描かれる。

誰かモデルがいるの?と思えるリアルさ。

自分の気持ちを押し付けて玉砕したり、自己嫌悪に陥ったり。
20代~30代の女性が読めば共感を覚えると思う。

この年代ならではの必死さが愛おしくも懐かしい。

恋愛迷子達の処方箋。