★オイルの事、うんちく少しだけ | 一郎のだまされ日記

一郎のだまされ日記

チーム黒山レーシング 黒山一郎でございます。



オイルは、以下の三種類に分けられます


①100%化学合成油→最高級、でも高い
②部分合成油→真ん中の位置、値段も中くらい
③鉱物油→性能それなり、でも値段は安い

●2stのミッション室オイルのこと

1.トライアルでは、2stのミッション室オイルにひと昔前は「鉱物油のミッション室専用オイル」を使うのがベストでした。最近まで、私もそう思っていました。
2.でも、この鉱物油のミッション室専用オイルは、安いのは安い(1,000円/Lくらい)のですが、しょせんは鉱物油ですので耐熱性も耐久性も、そんなにはありません。
3.ですが、まあ、おのおの方のように一生慣らし運転のトライアルではこのオイル価格が安くてよろしいのです。でもね、近年のクラッチをガンガン多用するトライアルでは、この鉱物油ギァオイルではとても対応できず使えなくなってきているのは事実。
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4.クラッチの遊びが変わる、レバーを握ってもクラッチが切れない、半クラ部分しかないようになる、これらの多くの原因はミッション室オイルの熱変化が原因なのがほとんど。
5.2stのミッション室専用オイルの目的は、1番はギァ摩耗防止で、クラッチ性能は2番手だから、いた仕方ない部分もありますが、これ以上のクラッチ性能アップはこの鉱物油では無理。
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6.こうなると今のトライアルでは、各種添加剤配合の100%化学合成油/4st2輪専用のエンジンオイルを使う方がベスト。
7.この100%化学合成油の4st2輪専用のエンジンオイルでも、金属摩耗に強いのか、クラッチに強いのか、つまりクラッチ系統に良い成績が出るオイルと、そうでないオイルとに分かれます。これはメーカーの考え方の違いでしょう。
8.当社のおすすめは、うちのテストライダーのテストでクラッチ性能に良い成績を出した4stオイル/Mosul-300V4Tですね。
9.Motul-300V4Tのうち、最軟「5W-30」と最硬「15W-60」の使い方違いは単純で、冬場は5Wの方、夏場は60Wの方を使います。
10.まかりまちがっても、4st4輪専用オイルは使っちゃダメですよ。

●2stのガソリン混合オイルのこと

1.2stガソリン混合オイルは、レース用と称する「100%化学合成油/最高レベルの2stオイル」を使ってはいけませんよ。
2.多くの民間人おのおの方は「一生慣らし運転」で、おばちゃんのスクーター運転みたいなもの。
3.このおばちゃんスクーター運転に高回転用のレース用オイルは必要ありませんどころか、排気系にカーボンがたまってどうにもならなくなります。だから、ワンランク下の部分合成油、おばちゃんスクーター用オイルでいいのです。
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4.うちのテストライダーが10年前に4stに乗り換える以前、トライアルを始めた時からずっと2stですが、始めに書いたレース用と称する「100%化学合成油/最高レベルの2stオイル」は使ったことはありません。
5.いつの時代も、契約メーカーから2st最高級化学合成オイルの支給提示を受けますが、必ずワンランク下の部分合成油を支給していただき使っていました。
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6.参考までにスポンサーも何もつかない現在の、女子部のBeta-Evoも、孫の乗るエンジンぶん回しのRTL50Sも、2st混合オイルは日曜大工の店で買ってきた“SUZUKI.CCIスーパー2stオイル”を「70:1」で使っていますね。もちろんこのオイルは、FC規格の部分合成油です。

●2stのガソリンとの混合比のこと

1.ガソリンとの混合比ですが「100:1」とか「80:1」と申しますが、当社では長い経験から「70:1」をおすすめします。
2.ひと昔前はこの100:1〜80:1なんかでよかったかもしれません。ですが今は、一番負担のかかるクランク軸左右メインベアリングが、エンジンの小型化にともない、ベアリングも小型化になっており、でも、パワー負担は今まで以上。
3.だから、オイルを多い目に供給する方がベスト。ちなみに公道をかっ飛ばすSSDTは「50:1」で、皆さんやっています。
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4.100:1と70:1は、ガソリンの量が100:1の方が多いからパワーが出る、と申すやからがいますが、これは机上の理論で、実際にそのパワー差がわかるのはまずいません。
5.それよりも100:1と70:1のエンジン音の違いは、民間人でも分かるほど違うのです。荒っぽく言うと100:1は乾いた音、70:1はいい感じの湿った音、という表現でしょうか。
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6.今のトライアルエンジンは、クランク軸左右のベアリングに相当無理のくる設計ですので、このベアリングはごく普通に乗っていても「シャ〜」という音が出始めて、2年か3年で焼きつき現象が出ることがよくあります。
7.70:1の混合比にすると、これがなくなる、とは申しませんが、かなり焼きつきまでの期間が改善されるのは本当です。

●オイルメーカーのこと

1.豆腐を作る過程で出来る残留物がおからです。ですから“豆腐屋さんのおから”が一番美味しいのです。同じように、どの用途のオイルでも、荒っぽく言うと、オイルは「原油からガソリンを製造する過程」で出る残留物で作ります。
2.ということは、どの種類のオイルでもガソリンメーカーのオイルが一番と考えています。オイルの原料のその残留物が豊富にあ り、実験と試作品を作る材料が無限にただで手に入るガソリンメーカーのオイルが、一番性能に優れ高品質ということです。例 えば「エネオス.Motul.BP.エルフ.シェル.TOTAL」とか等々ですね。
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3.二輪メーカー純正オイルは、例えばヤマハ純正オイルは「ヤマハ製造」ではなくて、製造元はガソリンメーカーで⇒販売元がヤマハです。
4.産油国アメリカのアメリカ製では“オイルのみを製造販売”しているメーカーが多数ありますが、これも良いのが多いのは事実。老舗ではValvoline(バルボリン)やBelray(ベルレイ)等ですが、世界で最初にエンジンオイルを作ったのはValvoline(バルボリン)を雑学として知ってください。  
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5.オイル選びのもうひとつに“性能に関係のない”見た目目立つ目的で色を付けているオイルがありますが、これもやめてくださ いね。赤い色のオイルなんて、気持ちが悪い以外の何ものでもありませんよ。

以上、イワシの頭も信心から、信じるものは救われる、のお心で気持ちよくお信じくださいね〜♪


イチローより