学習塾支援企業 代表者のブログ -2ページ目

大学や専門学校が迎える局面

学習塾のことではないですが、アジア戦略において重要なことを書きたいと思います。

以前より、教育産業の少子化対策の一環といて、日本への留学生の状況をみてきました。(主に中国)


中国でも学生の留学先は大学が中心です。


留学する理由の多くは、ライバルたちに差をつけて、将来の生活を獲得することです。
そのためには、国内の大学を卒業するライバルよりもレベルの高い教育(学歴と経験)を受ける必要があります。


留学先は、圧倒的に欧米諸国が人気です。学費は決して安いものではありませんが、その先にある留学エリートの称号こそ彼らの成功のパスポートですから、欧米への留学希望者は後を絶ちません。

(昨年度の中国の留学生の排出は記録的な人数に上っています)


先日、アジアの大学ランキングでは東京大学が1位に輝きました。では、東大を筆頭に今後日本への留学生は激増するでしょうか?もしそうであれば、留学生だけでも「秋入学」の体制を整えることが急務です。


しかし、僕が中国の方と触れ合って感じたことは、(全てではないが)日本への留学はその先にある欧米留学のためのステップに過ぎないということです…。恐らく、日本語教育機関や大学関係者はずいぶん以前から感じていることだと思います。

現に「欧米への進学ルート」をセールスポイントにして、留学生の獲得に成功している地方大学もあると聞いています。


では、日本は留学先として魅力がないのか?というと、決してそうではありません。「日本=技術」という印象が強いように、専門学校の教育については高い評価を得ています。


ただ、欧米の大学への留学のように日本の専門学校に希望者が続出しているかというと、そうではないのが実情ではないでしょうか。中国という国家レベルでは、よりレベルの高い技術者の増加はとても望まれていることです。


問題は、保護者や学生にとってのニーズです。

実はここに「格差」が存在します。分かりやすく説明するために、あえて「格差」という言葉を使用します。


欧米の大学への留学が「エリートの称号、成功へのパスポート」であるのに対し、日本の専門学校への留学は「技術労働者への道」となります。しかも、留学にかかる学費等は同等です。(ただ、日本への留学の場合は日本語教育を必要とする学生が多いですから、ほとんどの場合は日本への留学の方が費用は高くなるでしょう)


つまり、留学費用を用意できる層の保護者や学生自身の、どちらに学費をかけるか?留学後にどちらの人生を歩か?という選択になっています。


そうなると、言わずもがな…ですね。


ですから、留学費用のねん出が困難である労働者層に関してはレベルの高い教育環境が整わず、一向に国内の技術者育成は進まないというわけです。


もちろん、労働者層も技術を身につけてより高い給料を得たいと考えている。しかし留学するだけの費用がない。

(しかも!仮に費用があったとしら専門学校ではなく大学へ進みたい!)



ニーズが存在するならチャンスがあるはずです。

そこで、技術教育に関係する、中国政府、労働者層のニーズに、対応していけば解決策は見えてくるのではないかと思います。



日本側・中国側のニーズは何か?

日本側のニーズ

単純に考えると…

日本政府…若い外国人労働力の確保
専門学校…留学生獲得

となりますが、実際はそれだけではないと思います。

さらに…

日本政府…中国に対して、日本製品(自動車や家電)の売り込みにつながる中国人技術者の育成(大義名分のような気もするが)のための予算確保
専門学校…政府の支援(補助金)

ではないでしょうか?



中国側のニーズ

中国政府…技術者の育成(技術教育のコピー)
労働者層…就職・給料増


であると、僕は考えています。
もし、そうであるとすれば


選択肢は「専門学校の輸出」しかありません。


その際、もし政府の予算で動くのであれば、シラバスの中に日本語教育と、半年程度の日本への留学を組み込み、そこで肝心な部分を教育するようにしなければならないと思います。


日本語教育に関してはEラーニングなどを採用するのが効率的ではないでしょうか。また、教員の派遣なども含めて、専門学校には新しいビジネスチャンスとなること間違いなしです。


僕の考える理想的な流れは以下の通り


1:中国に姉妹校を建設、そこのカリキュラムは本校(日本の専門学校)とカリキュラムを共通にする。
 (同時に指導者の育成も行える体制も整える)

2:中国語で授業をできる指導者の派遣。
 (年間1,000~2,000万円)

3:日本語教育の提供。
 (Eラーニングなどのシステムを販売)

4:最重要部分を日本留学で単位を取得する最上級コースを設ける。
 (6ヵ月程度)

5:卒業を日本で迎える形にして、両国の卒業証書を授与する。

6:日本で国家資格等、受験可能なものを受験させる。

7:希望者は日本での就職の機会を与える。
 (インターンでも良い)

8:学生は帰国後、専門技術を活かした環境へ就職。


その他、日本への就職を前提とした学生には、日本留学にかかる費用については、日本企業からの奨学金(卒業後就職すれば返済は半額(不要)などの特別条件)、また中国側からも同様の奨学金で、現地校への学生を募集するのが良いと思います。


僕は、これらのことを迅速に進めなければ、専門学校界は大変な局面を迎えると考えています。また、上記の(4)~(7)を徹底すべきだと考えます。


留学には、その先の出口がなければならないからです。


日本への留学に際しては、日本の生活に慣れるための時間と日本語教育の仕上げとして日本語学校にも通わせるのが良いでしょう。


日本語学校は、従来の大学進学希望者以外に、短期間かも知れませんが新たな学生を迎えることになります。日本への留学中は、昼は専門学校…夕方からは日本語学校で日本語の補修、住まいは日本語学校の学生寮などのを活用します。


政府の支援があれば十分に可能だと思います。ポイントは専門学校を必要とする提携先(市省県郡、大学、企業)とのパイプ(人脈)です。


プロジェクトの形だけを作って、予算を消化するだけでは何の進展にもなりません。


先日、僕のところには新しい業種からの専門学校との提携希望の打診がありました。自動車整備・修理の技術教育については2年以上前から打診があります。


これらの動きが加速することを願っています。