「リュウさんもわかってるんでしょ? 僕とアキラくんは相手の気をそらすために動くだけで 危険はないって」
「・・・・・だと思うな。じゃないと あの用心深いタキグチさんがあんなガキを作戦に入れるはずねぇしな。でも・・・一応 マオくんは持ってろよ。グロッグとベレッタ、どっちが良かったんだっけか?」
「・・・・前はベレッタだったけど グロッグ。僕も・・・もう「みんな」と同じだからね。自分の身を守るためだけじゃなく撃てる」
「・・・・・・そっか・・・」
前の戦いで はじめて人を撃ったマオは はじめて見たときよりもしなやかに強く美しくなっていた。
そういうふうに『組織』に育てられていながら 綾人に守られ 汚れを知らなかった青年は 結局は運命からは逃れることができなかったのだろう、と リュウは思った。
「じゃ、これ・・・。ちょいと銃身を軽く改造してるから いつもより3センチ低く狙って。できるよな?」
「・・・・・もちろん」