※BL妄想書庫です
苦手な方はお気を付けください
七夕まであと数日
「よし、やっぱこれかなっ」
横2センチ、縦5センチの小さな短冊に、ペン先が極細のボールペンで願い事を書く
一枚目は家内安全
二枚目には大野さんとずっと一緒にいられ…
「くわーっ惜しーっ書けねぇーっ」
文字を極小にしたけど、やはり書ききれない
紙のスペースと想いが伝わるギリギリの文字数を考えて
「二人、ずっと、一緒、よぉーし、完璧」
鼻息で飛ばさないように指で摘まみ上げる
「あはっ、ちっさー」
小さな短冊に願い事を書いているのは、それを吊るす笹が小さいから
土台を含めて20センチあるかないか
これをキッチンの調味料が並んでいる横に飾る予定
小さな笹の小さな枝葉に小さな短冊を糸で結んだ
「うん、いいかんじっ」
適度に忙しい俺と、桁違いに忙しい大野さん
一緒にイベントを楽しむ時間は滅多に作れない
仕方がないと分かっているけど、それが続くと少しだけ、寂しい
でも無理矢理押し付けるのはお互いにとってよろしくない
そこで考案したのがこちら
季節の節目とかイベントに狙いを定めて、なるべく小さな飾りを探して、その時々で場所を変えてこっそりと置く
ここで重要なのは、主張し過ぎないこと
目障りだったり、邪魔だったり、一緒に過ごせないことを重荷に感じさせてしまったり、そういうことがあってはならない
今年の短冊は自分用に二枚、大野さん用に二枚用意した
大野さんの分はまだ白紙
気付いてもらえたら、この極細ボールペンを差し出そう
「なんて書くかなぁ?」
手先が器用な大野さんは、長い願い事も難なく書き込むかもしれない
想像して、顔が緩んだ
七夕の夜
「あっ、かわいいっ」
夕食の片付けをしている時、大野さんが気付いてくれた
「わー、願い事も書いてあるー」
小さな短冊に顔を寄せて、寄り目になりながら読んでいる
今回の何気なく一緒に季節を感じよう作戦、成功の模様です
「書きますか?」
「うんっ」
笹の側にスタンバイさせていたボールペンを差し出す
大野さんのことだから願い事じゃなくて『ニノ大好き』とか書いちゃうかもしれない
それを俺が笹に吊るす
えへへ、嬉し恥ずかしですねっ
つづく