彼と彼の梅雨明け・13 | 黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

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※BL妄想書庫です

 

苦手な方はお気を付けください

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ニノ」

 

「な、なに」

 

「なんで動いちゃダメなの」

 

「なんでって…俺がダメって言ったから」

 

「そう、分かった」

 

 

ぼすん

 

大野さんが上体を後ろに倒した

 

 

今は視線が天井の一点に固定されているけど、さっき、確かに、俺を見ていた

 

肩を押さなくても、自分の意思で仰向けになった

 

言葉も、曖昧さが無くなっていた気がする

 

大野さんの中で、何かが起こっている…?

 

なんだろう

 

知りたい

 

 

「智」

 

「なに」

 

「肩、ごめんね」

 

「……」

 

 

会話が成立していそうで、していない?

 

これにはどういう意味がある?

 

判断が難しい

 

 

「ニノ」

 

「はい」

 

「動いていいの」

 

「それは…ダメ、かな」

 

 

多少の変化が見られたからといって、油断しては駄目だ

 

やろうと決めたことを中途半端な形で終わらせるのも駄目だ

 

 

「いや、ダメかなじゃなかった、ダメ、俺がいいって言うまで動いちゃダメ」

 

「分かった」

 

 

いい方向へ進んでいる

 

大野さんを信じて、自分を信じて、進もう、頑張ろう

 

 

 

ベッド脇に置いてあるペットボトルの水を飲む

 

緊張と慣れない行為とで渇いていた喉から水分が吸収されると、大野さんの味がゆっくりと消えていった

 

 

「智も飲んで」

 

 

ペットボトルを差し出す

 

夜は長い

 

一度水分補給をしてほしい

 

 

「ニノがやって」

 

「俺が?」

 

 

確かに、動くなと命じているのは俺だ

 

筋を通すなら、俺が飲ませるべきだ

 

 

「分かった、口開けて」

 

 

言われた通りに大野さんが口を開く

 

顔にペットボトルを近付けて、離す

 

うん、無理だ

 

仰向けで寝ている人にペットボトルで水を飲ませるのは無理だった

 

 

「えーっと…」

 

 

コップでも同じく無理だし、ストローを用意しても自発的に吸ってくれる気がしないし

 

ううむ

 

あ、口移しは?

 

そういえば大野さんって、俺に飲ませるのも食べさせるのも好きだった

 

コーヒーもシャンパンも苺も、その他にも色んなものを大野さんの唇から体内へ入れた記憶がある

 

よし、やってみよう

 

楽しかった想い出が甦って、それがまた変化へのきっかけに繋がるかもしれない

 

 

ひと口分の水を口に含んで、顔を近付ける

 

結んだ唇を、少し開いた唇に当てる

 

一度にたくさん落とすと苦しいはず

 

慎重に、少しずつ移していく

 

 

喉がこくんと動いたことを確認して、唇を離す

 

ふぅ、任務完了

 

 

「もっと」

 

 

もっと?

 

完了じゃなかった、慌ててもうひと口分を移す

 

 

「もっと」

 

 

もっと??

 

大野さんも喉がカラカラに渇いていたのかもしれない

 

急いでもうひと口分を移す時、気付いた

 

唇と唇を合わせてる

 

これって…

 

 

久し振りの、キスだぁ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく