彼と彼の梅雨明け・18 | 黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

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仕事?

 

確かに、重責をしっかり果たさないとって思ってたけど、無理してるつもりは無かった

 

ニノが側に居てくれるから、なんでも頑張れると思ってた

 

自覚は無かったんだよ、それなのに、まさか、大切なニノの大切な誕生日を忘れるなんて…

 

うん、分かってる、そんなことでニノが怒るわけないってことは、ほんとに分かってるんだ

 

でも、すごく驚いた、はっきり覚えてる

 

ニノに申し訳無いと思って、ニノのことを最優先にして動けない現状に嫌悪して、それが言い訳として頭に浮かんだ自分のことを軽蔑した

 

そうだね、治しなさいねって言われてたいつものネガティブが出ちゃったのかも

 

で、それが自分が思うよりも大きな形で、急速に押し寄せてきて、あっという間に一面曇り空に覆われちゃったみたいな…

 

その時、あの音を聞いたんだ

 

あぁ、音っていうのは、ニノを前にして理性が切れるような歓喜の音とは全く違う音でさ、知らない間に張り詰めていた神経の糸が切れる音っていうのかな

 

プツリって、冷えた音が頭の中心で鳴ったかんじ

 

その後は、ニノだけが居る世界はどこなんだろう…とか、そんなことを考えていた気がする

 

これって完全に現実逃避だよね

 

ニノの言いたいことは分かる、逃避は悪いことじゃない、したいならすればいいと思う

 

だけど、ニノのことまで見えなくなるなんて思わなかった

 

逃避してる時もニノのことだけは見えてるって思ってたくらいだし

 

悲しい想いさせて、ごめんね

 

うん、分かってる、謝って欲しいんじゃないってことは分かってる

 

え?あぁ、そうだね、時間が経ったらまた思い出すこともあるかもしれない

 

今?無理してないよ

 

あはは、思い込みじゃないよ、ありがとう

 

 

 

大野さんは、ぼんやりしていた時の話を聞かせてくれた

 

そうなった理由も、二人の推測を混ぜて、結論を出して、納得した

 

 

「…大野さん」

 

「うん?」

 

「…ごめんなさい」

 

「なんでニノが謝るの」

 

「こんなふうに…無理矢理こっちに向かせるんじゃなくて、もっと違う方法があったかな…って思って」

 

「ないよ」

 

「でも…」

 

「俺がおかしくなったら、それを治せるのはニノしか居ないし、ニノがこうやって頑張ってくれなかったら俺は永遠にぼんやりしたままだったよ」

 

「そう…かなぁ」

 

「そうだよ」

 

「そっか…」

 

「ニノ」

 

「はい」

 

「ありがとう」

 

「…うん」

 

 

 

大野さんが戻ってきた

 

きっかけは何だったんだろう

 

身体への刺激か、脳への刺激か

 

いや、俺があれこれと考えて行動したことは全部無意味で、大野さんは大野さんの力だけで自然に元に戻ったのかもしれない

 

それでもいい

 

俺は嬉しい

 

大野さんが俺を見てくれることが、とても嬉しい

 

 

 

話を終えた後、俺は強烈な眠気に襲われた

 

大野さんもまぶたがすごく重そうで、二人でふわぁ~と大きなあくびをした

 

 

「なんだろう…なんかすっごく眠いです」

 

「俺も眠い…」

 

「やりたいこと…いっぱいあった気がするんですけど…まずは寝ますか」

 

「うん、寝よう…ニノのこと離さないから、安心してね」

 

「俺も大野さんから離れませんので、安心して寝てください」

 

「ありがと…おやすみ」

 

「おやすみなさい…」

 

 

そして、久し振りに肌をしっかりと密着させて、溶け合うように二人で眠った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく