第11話「生明のチョットHな大冒険」その1 | にゃんすけのオモチャ箱

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オレの名前は天釈(あましゃく)義正。

今日は親友の田原シン(偽名らしい)から、お昼ご飯を食べに家に来いと誘われた。


最初は遠慮したのだが…

なんとなく押し切られるように来てしまった。


しかし…これは本当に…

「奥さん、これ美味しいです!」

オレはシンの奥さんが作った料理に、心から感動した。


「あら、イヤだわ。本当のことを。オーホホホホホ」(生明)


「あほ、お世辞だよ。分かれよ、ギャハハ」(シン)


「分かってるって」


「ホントですって!いやー、シン、羨ましいよ!」 


「本当にそう思うなら、お前も嫁っ子探せよ。お前なら良いパパになるぜ?」


「いやー、オレはそういうの興味ないからさ」


「そーいや言ってたな。命をかけてまで大切にしたいモノがあるって」


そうなのだ。

オレには命に替えてでも、守りたい大切なものがあるのだ。


「なんていうか、自分の事よりも人の事ばっかり気にしちゃうからな、テンちゃんは」


仕事では天釈と名字で呼ぶが、プライベートでは俺のことをあだ名で呼ぶ。

まぁ、テンちゃんなんて、コイツくらいにしか呼ばれないのだが。


一見明るそうに見えるシンだが、ヤツには以前、姿を消してしまった奥さんがいたらしい。

それを聞いていたので、彼の子供達のことも含め心配していたが、再婚できたと聞いてオレは心から安心したのだった。


シンは、オレの親友だ。

オレが唯一信頼できる男である。 


コイツには死ぬまで幸せを感じてほしい、そう思わせるものがある。


コイツの第一印象は、チャラくて苦手だった。

その明るいキャラを活かして…飲み会の余興で田原俊彦のモノマネをし、ストライク世代を笑わせて注目を集めると、そこからの仕事の活躍が凄まじかった。


ヤツの印象が変わったのは、そこからだった。


次々とヤツはN国の工作員を捕獲し、成果を上げていった。

捕獲された工作員達は、N国へ彼の人着の情報を送れずにいた為、どんな人間かも知られずに居たのだ。


こうなるともう、何もかもが彼の味方になっているような感じすらした。


しかしシンは、そんな凄腕諜報員となっても、あいも変わらず、誰からも愛されるヤツだった。


その上、こんなに素敵な家族まで手に入れて…。


オレはヤツが羨ましい…とすら思えないほど、ヤツが眩しく見えた…


「ごちそうさま。本当に美味しかったです。今日はこれでお暇(いとま)しますね。次に合う時は、僕がごちそうしますよ」


「そんな!気にしないで下さいな」(生明)


「ん。でもまぁ、ごちそうは無理するな。色々大変なんだろ?それよりまたメシ食いに来いよ」(シン)


「ありがとう。いつも気にかけてくれて、嬉しいよ」


「何を今更!ガハハ」 とシンが豪快に笑った。


「じゃ。また」


「お!お疲れさん!」


「またな!」


こうしてオレは、ただご飯を食べにシンの家に行ったのだった。


シン、本当に幸せそうだったな…

オレはしみじみとそう、感じたのだった。


(その2へつづく)