T地区にN国の無人機モビルスーツ…正確にはガンビットというらしい…が、現れたという情報を元に、我々諜報部員も現場へ急行することになった。
「しかしよー、最近アイツらクドくね?あのガンビット、そこまで強くねぇし、いつもオレサマにやられてんじゃん」
コイツ…田原シン(偽名)は、何だかウルトラマンみたいなヒーローに変身することができる。
先日、初めて巨大化して倒したことで、ヤツは更なる成果を挙げた。
ただ、EPSには変身出来る事は秘密にしているので、名を挙げているわけではない。
しかし、本人は成果を目的にはしていないから別にいい、とのことだった。
「いくらあのガンビット達を倒したからと言って、気を抜くなよ。お前の事、研究する為とか何か仕組んでるかもしれないしさ」
「それでも、オレは守りたいものを守らなきゃいけねーからな。オレのチカラは無限大になるぜ」
「なにそれ、根拠あんの?」
思わず苦笑して訪ねてしまった。
どんな時も、脳天気な程に前向きだからだ。
またいつものが出た、という感じだ。
「崖っぷちに立たされたら、みんな火事場のクソ力、出るじゃん?!お前もいつもさ、命に代えてでも守りたいものがあるって、いつも言ってんじゃん?それが何か知らんけど」
「あ、あぁ…」
「その時、自分のチカラ、信じられねーの?んなことねぇっしょ!ガハハ」と笑った。
「オレは…お前ともっと早く知り合いたかったよ…」
「あ?急にどした?」
「お前は何気ない会話で、色んなことを気づかせてくれる。オレはその度、なんでこんなことしてるんだろ?って思うよ…」
「真面目か!てか、そのマイナス思考、やめれ」
「…」
オレは思わず黙ってしまった。
シンはそのまま言葉を続けた。
「おめーの命かけてまで守りたいとまで思わせたそれ、そういうのがあるのは幸せだと思うぜ?人それぞれ、何にそう思えるものが違ってもいいじゃん。オレに早く会えたとしても、おめーの人生にそんな大きな影響、与えねーよ。ウケケ」
「そうかな、そんなもんかね」
「まぁ、誰にも正解なんざ、分りゃしねーかんな。お、もうそろそろ現場到着ぅ〜…ま、頑張ってくらぁ」
シンは何かを空に向けてかざし、ヒーローへと変身したのだった…
(その4につづく)