地球連邦軍モビルスーツ(ジム)に取り囲まれたN国(サウサリコ)の参謀長、ジェロ・アンタレス。
このまま確保された方が、帰国するより命の安全が保障されると踏んだジェロは、大人しくなった。
地球連邦軍モビルスーツ隊隊長は、手を上げて降参の意を表しているジェロを確保すべく合図した。
しかし、そこへN国のガンビット(ガンヴォルヴァ)隊が来襲してきた!
その数おびただしく、一気に地球連邦軍モビルスーツが次々と大破していく。
その爆破を避けながらも、何とか逃げようと試みたジェロの先には、N国の将軍専用ジェットが待機していた…
ジェロは、絶望した…
そのジェットから、マァル将軍自らタラップを降りてジェロを出迎えんとしていた。
「ジェロ、ご苦労であった…さ、一緒に我が国へと帰ろうぞ…」
ジェロは抵抗することも出来ず、そのままマァル将軍と一緒にジェットに乗り込んだ…
「ジェロ・アンタレス参謀長?あの緑色のゴツいモビルスーツに乗っていたの、そんな名前なんだー」
その頃、生明は格之進からジェロの情報を聞き出していた。
「でも、あのままだと連邦軍に逮捕されちゃうよねー」
「ママ、なんかその人、逃げられたみたいよ?さっきニュースでやってた」と、アラタが生明に説明した。
「え?そうなの?うーん、それはアブないわねぇ。でもそれならN国も黙ってないんじゃないの?取り返すわね、あの人達なら」
「実際、ガンヴォルヴァ…あ、N国の無人モビルスーツのことね…いっぱいやってきて連邦軍モビルスーツ部隊、あっという間に全滅したらしいし」(格之進)
「あの人、相当優秀なパイロットだったしね。あのヒトいなくなるだけでも、かなりの戦力ダウンになるんじゃないかな?」(生明)
「それがさ…たぶんN国に戻ったら、ジェロ参謀長の命はないと思う」(格之進)
「え?なんで?!」
「任務失敗なんて、どんなに優秀だろうと死刑にするのがマァル将軍の怖いところなんだよ。みんな、それが怖いから任務の失敗を恐れて常にミッション成功のみに努めるんだ。ある意味、そんな精神面だけで戦力を強化してきたのが大きいと言える」
「なるほどねぇ…それであんな狂ったように必至に攻めてきたのか…」
「ねぇ、生明さん…僕、リリーサとともに地球連邦軍に匿ってもらえないかな?」
「へ?なんで?」
「僕たちがいることで、君ら家族にこれ以上迷惑をかけられないよ!N国の怖さ…やはり侮ってはいけなかった…君たちまで危険な目に遭わせては…」
と言った所で、生明は格之進の頭に笑顔で軽くゲンコツをした。
「…え?」
「さっき、地球連邦軍のモビルスーツ隊が一瞬でやられたって聞いたら、あたしがあなたらを放り出せるわけないじゃないの。地球連邦軍より、あたしたちの方が安心よ」
「でも…たった3人で…無理だよ!しかも君もジェロ参謀長に最初は苦戦していたじゃないか。将軍はもっと手ごわい…流石の君でも、無理だよ…」
「うーん…あたし、あのジェロ・アンタレス参謀長って人(←こいつの名前は一発で覚えたんかい!)とのバトル、そんなに危なっかしかった?あれでもあたし、半分も本気出してなかったんだけどな」
「そんな…本当に?」
「その、ナントカ将軍(←やっぱり覚える気ない)が、どんだけ強いのか知らないけど…あたし、分かってない事、分からないまま逃げ出したくないんだよね。それにあたし、負けたって自分が思わなきゃ、勝てるって思ってるから!」
「いやまぁ、その心意気は立派だけど…君は自分が負けたら子供たちのことは、心配じゃないのかい?」
「この子はシンさんの息子だよ。あたしがいなくなっつでも、大丈夫」
「ず、ずいぶん信頼してるんだね…でもまだ3歳なんだろ?」
「え?うーん、言いにくいけど今のところ、カクさんより戦力になってるわよ?工作員が何人束になっても、あの子達に敵わなかったじゃないの」
「うぐ…た、たしかに」
「でしょ?それならそんな不安にならなくても、いいんじゃない」
と、生明は格之進に微笑んだ。
それを見た格之進は、妙に安心感を覚えたのだった…
(その4につづく)