再び相談2 | オバはパチンカス

オバはパチンカス

「何もかも犠牲にしても良い」と思うほど魅力的な遊戯なんですか?

「ギャンブルに熱中している人は、ほんと不思議なくらいに嘘が上手いんですよね…あれは、ホント驚きます。'ちゃんと生活しているのにお金がどうしても足りなくて借金をしてしまった。生活に余裕がないので、借金を返済することができない'と以前、窓口に借金相談に来た人がいたんです。話を進めるうちに'あれ…?なんかおかしいぞ'辻褄が合わなくなってくるんですよね。聞いてみると、ギャンブルなんですね。言葉巧みで、それはそれは上手です。」

ギャンブルなどの嗜癖をごまかすためなのか、依存症の人間は嘘が'熟練'する。借金相談でなければ相談員でも騙されているかもしれないくらい饒舌だという。

そして、オバと祖母との関係の話になった。

「ギャンブルにのめり込んでいる人というのは、精神障害に近いんです。親子が似ていると、それが増悪します。話を聞いていると、どうも、お母さんと妹さんがとても似ていらっしゃる気がするんですけど、お母さんは、ギャンブルは?」
 

「してました。でも、今は自分では行くことができないので、全くしていません。」

昔、祖母は、商店街の店先で店主と怒鳴りあいの大喧嘩をしたことがあったという。
当時、私達に怒鳴ることは一度もなく、パチンコを熱心にする人がキレやすくなることなど母は知らなかったため、その話を聞き相手が悪いことをしたのか、祖母が体調が悪かったのだと思い込んでいた。

祖母の家に行くたび、景品と思われる同じチョコレートが山ほどあったっけ…。

パチンコに嵌まっていたと自分で自覚がある祖母は、オバが、母にキレ…私に八つ当たりをし…祖母を恫喝。トラブルを起こすたび、

「パチンコをしたくてウズウズしたり、イライラする気持ちが私にもわかる。ばあちゃんにも、そんな経験がある。負けて、まわりの人に八つ当たりをして、怒鳴る○○(オバ)の気持ちがよくわかる。」

オバの気持ちを代弁するように、私たちに話していた。

「お母さん(祖母)は、パチンコをし過ぎることを悪いことだと思ってはいないんです。妹さん(オバ)が自分の代わりに行って、パチンコを打ってくれてるくらいの思いなんじゃないですかね。」

この相談員の言葉には、正直なところ疑問を持った。

夢中でパチンコをし、お金を無くして帰ってくるオバをみて、


「パチンコなんてなくなればいいのに」

「パチンコさえなければ」


と言っていた祖母が、そんな精神状態にあるなど信じられなかったからだ。自分の代わりにパチンコ…意味がわからない。

しかし、相談員の話を聞いているうちに、ある過去の出来事を思い出した。

「同僚とごはん食べてお茶してダベってた。全部、代金は私持ち」

「食事に行った同僚全員に夕飯をおごって、お金をすごく使った

「○○(同僚)と食事して、だべってた。めっちゃ食べて、すごいお金使った。

「私の奢りで、ごはん食べてから○○まで、○○(同僚)車で送ってきたから遅くなった」

と言い、毎日夜中に帰宅するオバが、数日の食事代だけでお金を使いきると信じていた母と私に、何故かイライラした祖母は言いにくそうに打ち明けた。

「あれは、頻繁にパチンコにいっている」

「実は、パチンコで全部のお金を無くしてる」

ストレスのたまった祖母は、私たちの目の前でオバに電話し


「そんなことばっかりしないで、早く帰ってきてよ!」


怒鳴ったり泣きそうになってお願いしたりしていた。そのため、祖母は、オバをそういう状態にさせるパチンコを嫌っていると思っていた。

祖母に、オバの状況を聞いた後、パチンコ店でオバの姿を探した。毎日、友達と食事をしているはずのオバは、いつも一人でパチンコ店にいた。


その姿は、明らかに度を越していた。オバが言い逃れが出来ないように、パチンコを打つオバを、毎日見に行くようになった。初めは腐敗臭かと思うほど異様に感じたパチンコ店の臭い。知らないうちに慣れてしまっていた。

時々は、パチンコに行っていることを祖母に打ち明けていたオバは、徐々にいた場所を偽る頻度が増していき、深夜帰宅の理由が友人との食事ではなく「残業」になっていった。

家のほぼすべての仕事をしていた私と母は、毎日のパチンコ通いを知り、

「これは、住んでいる人じゃないとわからないから、○○(オバ)にさせてくれる?」

と言い、ゴミの分別や、特殊なゴミ出し(曜日や時間が決められているもの)など、住人の最低限の仕事を拒否するようになっていった。

「ずっと、○○(オバ)は残業で、休みも1日もない。昨日も帰りは夜中で、夜も寝られずにずっとビデオ見て、朝方少しだけ寝てから会社に行ってるのよ!睡眠も取れてないのに、毎日、夜中まで働かされて、グッタリしていまにも死にそうなのに!あれ(オバ)は、本当に可哀想!○○くらい、あんたたちがしてよ!!!!!」

祖母は、パチンコ通いの秘密を母と私3人で共有したからなのか、夜中に帰るオバにストレスを感じなくなっていた。日々、私たちが傍にいることで生活に困らない祖母は、オバの「残業」を信じるようになり、母と私を怒るようになっていた。


高齢の祖母が、毎日を機嫌よく過ごすために、日頃は話題にも出さなかったオバのパチンコ通い。しかし、理不尽な怒りには、どうしても我慢できず


「あんた達がやれば良いじゃないの!!!!あれ(オバ)はクッタクタになって毎日夜中に帰って来るのに!!!!」


と祖母が怒る度に、理解してくれるかと、

「昨日も、○時にはパチンコ屋にいたよ。」

パチンコ通いの事実を祖母に伝えた。すると、祖母は、オバが嘘をついていたことに落ち込むわけでもなく、さっきまで怒っていたのを忘れたかのように興奮がスッと収まり、

「勝ってた?」

「(玉)出してた?」


決まって同じ質問をした。さっきまで私たちに怒っていたはずの祖母は、


「ぜんぜん出てなかった」


という言葉に沈み、


「凄く出してた」


という言葉に、


「勝ってたんだ♪」


ニコニコしていた。祖母の気持ちが全く理解できなかった。

母や私を怒ってしまい、気まずかったため誤魔化したのか・・・と考えてみたが、祖母の表情を見ているとそうではなかった。

なぜ、気分が一気に切り替わるのか。
なぜ、勝っていたか負けていたかが重要なのか。

相談員の「代わりに打ってくれている…」これがその心理なのかもしれない・・・過去を思いだし、やっと理解できた気がした。祖母は、共依存症だけではなく、未だ依存症なのかもしれない。

パチンコ依存症や共依存症の心理は常人に理解できないほど病巣は根深い。

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悩んでいる方は、公共の相談窓口へ。


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