「やめた?会社を?」
「ああ。」
「あんなに憧れてた会社じゃないか!それに仕事人間って回りから言われるくらい仕事好きだったろ?」
ブラウニーのときからみてたから、よく知ってるな。
「そうだよ。前の彼女と別れたのもそれだし。今までもよく言われてきたよ。仕事と私どちらが大事って。思わず、比べるものじゃないと言いそうになりながらも、君だよとはいってきたけど。」
「嘘が下手だから、ばれちゃうだろう?」
そこもわかってるね。
「ああ、鼻がピクピクしてるって。でも、人と仕事比べるなんて、女はわかんねえなって思ってた。
でも、今回初めて比べたよ。どちらが俺には大切かって。答えはすぐでてきた。
仕事ならあとでいくらでもできる。
今は、少しでもおまえといたい。」
「辞めたら、同じとこには入れないよ。」
「そうだな。でも、別な仕事がある。」
「でも……。」
「もう、何も言うな。決めてきたことだ。」
おまえは、二度と帰らないのなら、お前以外の何を選ぶって言うんだ。
入院せずにできる治療とここでの生活。
チャンミンが、期限付きといってたが、怖くてその期限を聞くことはできない。
ただ、ただ、一緒にそばに居たかった。
チャンミンがベランダにでて外の風にあたる。
「あの木、さくらだよね。」
「うん。あの川沿いが、春には満開になってすごく綺麗なんだ。」
「見たいなぁ。」
胸が痛む。それは……残りの時間をさすのだろうか?
思わず、チャンミンを後ろから抱き締めた。
「どうした?」
「いいや、何でもない。」
頼むから、俺の前から消えないでくれ。
「大丈夫。」
なぜ、おまえがそのときそう言ったかはわからないが、不安で不安で……怖くてたまらなくて……息を吸うのも苦しく感じてた。
「ずっとそばにいるよ。」
※頭のなかでサクラミチが流れてて、一人センチになってるおばかなチョコです。