追いかけてくれると思っていた。
何度も振り返ったが、そこにチャンミンの姿はいなかった。
その日、ドンヒョンさんと話したことがなければ、チャンミンの家に行くこともなかった。
そして、あんなことに出くわすこともなかった。
ドアの外から、嫌がってるチャンミンの声を聞き、慌てて中に入り、あの状況みた時は、頭に血が上りすぎて、どうしたかの記憶も曖昧だ。
気がついたときには、先輩に馬乗りになっている俺をチャンミンが止めていた。
嫌がってると思ったのは、俺の勘違いなのか?
先輩とはもうそういう関係なのか?
なあ、チャンミン。
追っかけてきてくれなきゃ、考えたくないことしか、浮かばないだろう?
なんて、一日なんだ。
その日の昼、ドンヒョンさんに呼び出され、病室にいくと、
「ユノ、新しい治療法にかけてみたい。」
病状が一進一退の毎日に疲れきっていたドンヒョンさんが、口にした一言。
「その治療はこの国じゃだめなんだ。一緒についてきてくれないか?」
新しい治療法があるのは、本当に喜ばしい。
このままでは、ドンヒョンさんの体力にも限界があるだろう。
なのに、なのに、喜べない最低な俺がいた。
チャンミンのそばから、離れたくなかったのだ。
足は自然にチャンミンの家へと向かう。
そして….…。
一体、どうしたらいいんだ。
チャンミン、俺を掴まえてくれ。
行くなって、言ってくれ。