゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆天王洲銀河劇場゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆




【キャスト】 





筧 利夫 … アーノルド少佐(連合軍の米軍少佐)


福田沙紀 … エンミ・シュトラウベ (アーノルドの助手のドイツ人女性)


 


小島 聖 … タマ-ラ・ザックス(ユダヤ人ピアニストの妻 ユダヤ人ではない)


小林 隆 … ヘルムート・ローデ(ベルリンフィルの第二ヴァイオリニスト ユダヤ人ではない)


鈴木亮平 … デイビット・ウィルス(アーノルドの部下の米軍中尉 ユダヤ人)





平 幹二朗 … ヴィルヘルム・フルトヴェングラー 





(敬称略)




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《ストーリー》




1946年、終戦後のドイツ。


敗戦国ドイツは連合軍によって占領されていて、徹底的な「非ナチ化審理」が行われていた。


ナチス党員だったのか?ナチスに協力したのか?反ユダヤ主義発言をしたのか?等々、厳しい審問が行われる。




音楽史に残る名指揮者、フルトヴェングラーもまた、審問を受ける1人。




始めから敵対心をあらわにしているアーノルド、審問をする側なのにフルトヴェングラーを擁護するかのようなデイビット、ヒトラー暗殺計画に加わったために処刑された父を持つエンミ。




彼の「無実」を証明しようとするタマ-ラにローデ。




審問で得た結論は一体?




アーノルドのたたみ掛ける尋問によって、何が正しい立場なのか揺れていくデイビッドにエンミ。


一体どっちの側になればいいのか―




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以下、ネタバレありごめんなさいの感想です。


舞台セットの転換はなく、審問部屋が中央に。




部屋の入口ドアの上には、鷲のシルエット。というより痕跡。


かつてこの部屋の中では高々と入口に取りつけられていた紋章が壁から剥がされたような、シンボルである鷲の跡がくっきり。印象的です。






部屋の外(という設定)、石ころ道と寒そうな外壁が作られてます。


前半、建物の前でずっと老婆(に見える)が腰かけてるのがちょっと気になってました。


あとで出てきますけど。




キーワード、というほどではないけど、何度も「1933年のあのとき」「1934年に」と年号が出てくるのですが、ナチスが政権を握った年、とかなのでおそらくドイツ人だったらピンと来るのでしょうね。


(私はパンフ読まないと分からなかったです。←無知)




なぜか和暦の方で覚えてるものと西暦で覚えてるものが混在してる私の日本近代史です。


終戦は昭和20年で、開戦は昭和14年で、とか。


でも日露戦争は1904年、とか。あれ1905年だっけ、(←駄目 




いえそーじゃなくて、たとえば「昭和20年」といったら、日本人なら即「終戦の年」って思いますよね。


それと同様に、ドイツではきっと「1934年」とか、刻印のように刻み込まれた年なんでしょうね。




2幕冒頭では、実際の映像が出てきます、かなりショッキングな映像です。


アーノルドの毎晩見る悪夢です。彼が目にした事実そのものなんですが、あまりに酷すぎるユダヤ人迫害の実態の映像です。


ブルドーザーで片付けられる無数の死体、人間の形はしていても瓦礫のように扱われている。


これがアーノルドの見たナチスのしたこと。だからこそ、戦時中に特権を享受していたフルトヴェングラーなど、目先の数人のユダヤ人を救ったからといって許せるわけなどない、という意識があるのでしょう。




チューリップピンク http://www.youtube.com/watch?v=PFjXvyo3Pf8&NR=1&feature=endscreen
(←製作発表動画)


 


  平さんのとこだけ熱心に見てたんですけど<m(__)m>、皆さんのこの作品への意気込み、うんうん確かに舞台に現れてたなーとうなづきながら改めて見直しました、しかしね、鈴木亮平さんは生の方がずっとカッコイイですよーこの動画あんまり写りがよくないなあ。(そこ?)




1幕は部屋に暖房が入ってないので皆さんコート姿。エンミのマフラー&帽子が可愛いの。


2幕ではやっと暖房が入ったからエンミは可愛いワンピース、平さんはコートではなくスーツで、また品があって大物の風格が素敵~にこー








チューリップピンク アーノルド少佐の筧さん、すっごいセリフ量です、体力使うだろうな(違)、あまりにも機関銃のようにしゃべりまくるので、会社帰りとしては集中力がないのでついてくの大変、聞き逃したセリフも多いだろうなあ。残念。


それに張り切って取ったチケットは前方の席なので、かえって音響が悪く筧さんが後ろ向いちゃうとセリフが聞き取れなくて。


この作品には銀河劇場、広過ぎる・・・ 






チューリップピンク タマ-ラの小島聖さん、舞台では初めて拝見しましたが、こんないい俳優さんだったのですね!冒頭から舞台の隅っこ(建物の外という設定)に座ってるんです。


「台本には、浮浪者のような格好で座ってる」ってあるそうで。




老婆ではなく、まだ30歳前後のタマ-ラですが髪も白くなって、そして少し精神がおかしくなっているのでしょう、時折不安定な状態になって興奮する可哀そうなタマ-ラ、小島さん凄く上手い。




夫はユダヤ人ピアニストで、昔フルトヴェングラーに便宜を図って助けてもらったことがあり、その事実を一生懸命説明して、そして「あの方に聞きたい、ワルター・ザックスを覚えているか。彼が確かに生きていたことを。」と。


その説明の中で、何度か「私はユダヤ人じゃありません。私の旧姓はミュラーです。」って言うんだけど、これはあえて何か強調してるのかなあ。




1幕しか出てこないのが残念。




チューリップピンク ローデの小林さん、さすがです!第2ヴァイオリンだった自分を自虐的に笑い、フルトヴェングラーがいかに立派に振る舞いナチスに平伏しなかったかを必死で説明するローデ、ですがナチ党員だった過去を指摘された後の卑屈さ、ほとんどの人間がこのローデなんだろうなあ。弱い立場ですぐに圧力に屈する彼、憎めないです。







チューリップピンク デイビットの鈴木亮平さん、エンミの福田沙紀さん


またまた初めて拝見したお二人、キレイなお二人でした~!って、別にカップルの設定じゃないけど。




っていうか、鈴木さんのカッコよさにはビックリしたー!何ですか足長いですよ!半端ないですよ!背高いですよ!カッコいいですよ、ありえない、突然こんな超イケメンが現れるなんて(違)


しかもものすっごく真っ直ぐで誠実な演技なので(超上から<m(__)m>)嬉しい驚き。


また注目の役者さんが増えました音譜 


筧さんアーノルドに「ユダヤ人だろ?」とさらっときかれて「…はい」 この間が絶妙!台本の「…」が見えた(いや見えるわけないけど)…気がした(笑) 




アーノルドの時には行き過ぎるようなフルトヴェングラーへの審問に耐えかねて止めようとしたり、ですが審問が進むにつれ迷いとまどう、その雰囲気が(カッコイイだけに)見とれた~po*


平さん筧さんの存在感に消されてないんです。(カッコいいから。←余計)




チューリップピンク フルトヴェングラーの平幹二朗さん





1幕の後半になってからの登場です、それまではアーノルドに意地悪されて待合室に待たされてるんで登場せず。


大物中の大物、フルトヴェングラーをあえてそのように扱うアーノルドと、「もっと敬意を払うべき」と言い、音楽を愛し、彼の指揮がいかに素晴らしいものかを理解してるデイビットとエンミ。




部屋の外にいる彼を見つけたローデの興奮した声、「マエストロ!」、ここがまたハッとするの。


更にタマ-ラがマエストロを見てまた興奮して手にキスをしようと襲いかかる(ように他人には見えたらしいのです。←説明セリフで分かる)、




と、出ないうちから存在を意識してしまうんだけど、実際にやっと登場した時は緊張したー!(私が)




平さんのあの存在感、あの雰囲気、やはり名優は違うのです、一瞬で舞台が彼中心になる。




筧アーノルドとの掛け合いというよりは、平さんに一方的にまくしたてる筧アーノルドっつーか、崩せるのかこの筧さんで?と思わせるようなフルトヴェングラーの風格。




彼がほほ笑むのは、デイビットが「10歳のときにあなたの舞台を見て人生が変わった」と言われたときと、エンミにドイツ語で「フロイライン(お嬢さん)、※○☆ホニャララ?」と話しかけるとき。


ここがまた素敵です~ラブ フルトヴェングラーはかなりの艶聞家だったそう。


平さんがエンミにドイツ語で話して、エンミが恥らってるし~(って見えたの)、もぅ平さんたら。(/ω\)


「ヴェニスの商人」のシャイロックでも、娘のジェシカに挨拶のデコChu がすごくサマになってたけど、


こーいう方は御年を召されてもカッコいいものなのですね~?*




それから「あなたに襲いかかった人がいたでしょう」と言われ、「彼女は襲って来たのではなく、私の手にキスをしようとしてた」と言ったとき。




多くの人を魅了し、崇拝者に囲まれた栄光の日々もこのように悠然とした笑顔だったろうなーと思わせるような平さん。


とにかく平さんが素晴らしかった!(唐突)




ラストの彼の慟哭、「1934年にドイツを離れればよかった・・・!!!」


こんな葛藤まで引きずり出すなんて、筧アーノルドの意地悪ー!バカー!バカー!バカー!




…と思ったのだけど、カテコでの爽やかな平さんと筧さんのハグ(宣材の写真と同じ)を見てすっかり機嫌を直した私なのでした。




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深く深く考えさせられる作品でした。またじっくりと見てみたいです。


東京公演の後、全国を回るそうです。




四季で平さんが出演される「シラノ」のはその後、ですよね。シャイロックもまだまだ見足りないんだけど、シラノも楽しみですキラ

「この生命誰のもの」 自由劇場

 

【キャスト】

 

 

早田 健(患者) : 味方隆司
シスター朝田(病棟婦長) : 大橋伸予

 

 

里村恵子(看護学生) : 服部ゆう
田原洋介(看護助手) : 谷部央年

北原真弓(担当医 研修医) : 野村玲子
江間隆司(集中治療部長 主治医) : 志村 要

権堂令子(医療ケース・ワーカー) : 中野今日子

森山敬二(早田健の弁護士) : 斎藤 譲

土屋 弘(精神科医) : 吉谷昭雄
川路彰彦(早田健の弁護士) : 勅使瓦武志

 

馬場 晃(精神科医 院外) : 星野元信
安藤一郎(病院の弁護士) : 志村史人

三村判事(裁判長) : 山口嘉三

 

(敬称略) 

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《ストーリー》

 

交通事故で脊髄を損傷し、首から下が麻痺して動かせなくなってしまった主人公。

回復の見込みはない。

彼が望んだのは、いわゆる「安楽死」。

 

弁護士を雇い、「病院からの解放」=死ぬ権利を請求する彼。

 

対する病院側は「治療する権利」があるという。

異例の病室での審判が行われる。下された判決はー?

 

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以下、ネタバレありの感想です。

 

 

 

彼を世話する婦長と看護学生、看護助手、研修医に主治医、

 

 

そして双方の弁護士、見ごたえ(というか、聞きごたえかも)ありの舞台です。

 

頭がはっきりしてるのに、指先さえ自分で動かすことはできず、排泄も何もかもすべて人の世話にならざるをえない状態は、彼にとっては「人間の尊厳」が壊されている状態とも言えるかもしれません。って、なんだか回りくどくしか言えない。

 

ズバッと言ってしまうことができないんですよね。

彼の望み通りに死なせて上げたい気持ちはある、でもそれは「見殺し」ではないかという葛藤が全員にあるような結末。

 

裁判でケリがついたはずなのに、勝った方の弁護士も、誰も彼もが辛い表情で。

 

 

ただ、救いようのない結末、というわけじゃないですね。最後の主治医の決断に救われた気がします。

 

おそらくは主人公もそうじゃないかなあ。という願望ですが。

決定には従う、だが最期まで患者の傍にいるという決意、あの場面は忘れられない。

 

まとまりない感想ですみません。

 

 

印象的だったのはやはり志村さん。

 

もともと好きな役者さんですが、この医者役、素晴らしい!

 

勅使河原さんの弁護士もまたまた深い役で、弁護士バッジも似合うし(違)。

 

 

野村さんの研修医は細いおみ足が美しくてね~(違)

 

彼を笑わせる谷部さん演じる看護助手と、看護見習いの服部ゆうちゃん。

谷部さんの猛烈アタック(古語(^_^;))で、最初は相手にしてなかったゆうちゃんがいつの間にか「洋介ったら~にこー」ってラブラブになってるとこは思わず笑っちゃった。

 

ハッとした場面は、野村さんの研修医と志村さん主治医のやり取り。

 

研修医 「命は彼のものですわ」

主治医 「責任はこちらにある」

 

それから、

 

バカばっかり言ってる谷部さんが部屋のドアを見つめ、「・・・可哀そうなおっさんだ」と。

 

安楽死(というより、尊厳死でしょうか)、これは誰にも正しい答えが分からない重い問題です。

 

 

ところで、「死ぬ権利」とはまったく逆、命を奪う「死刑執行」について。

 

 

10年近く前ですが、南野(のうの)知恵子さんという看護師出身の方が法務大臣になり、死刑を執行したんです。

 

ご存じの通り、死刑が執行されるかどうかは、そのときの法務大臣が執行命令書に判を押すかどうかにかかってます。

南野さんは法務大臣としては全くの素人で、答弁もロクに出来ない、いわゆる「タダのオバちゃん」(当時のマスコミ記事の表現ですよー)で、官僚も持て余したのか、「一つくらいは汚れ仕事をやってもらう」と、判を押させたとかなんとか・・・。当時の新聞だかで読んだ記憶あります。

皮肉なものだな―と思いました、人の命を救うための仕事をしていた方が執行命令を出すのって。

 

と、話はズレてすいません。

 

 

深く考えさせられる作品でした。台本で読んでみたいです。法律論のとことか、難しそうだけど、どちらの考え方も一理あるんですよね、(セリフで聞いてもすぐ忘れちゃうし。(^_^;)

 

 

去年のJCS楽以来の自由劇場でした。きらきら