創作◆あなたと始める物語は。24★《ダーリンは芸能人》二次創作 | 二次元のカレに逃避中♪

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主に、SNSアプリの乙女ゲームについてのレポ、および携帯恋愛ゲーム《ダーリンは芸能人》(LoveDuetを除く)をベースとした妄想2次小説を書いてます。※PC推奨です
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注意 当、二次創作小説(シナリオ)を初めて読まれる方は先にこちらをごらんください。




 あなたと始める物語は。24

〜 next stage ~

《ダーリンは芸能人》二次創作





それから短いけれど楽しい時間を過ごした。

22時を過ぎる頃、一磨くんと亮太くんは「実はこれから仕事」と言って出掛けて行き、翔くんと義人くんは翌日4時からの仕事が入ってるからとそれぞれ部屋に戻った。

わざわざこのために時間を割いてくれたのだと思うと感謝するしかない。

みんなちゃんと後片付けまでしてくれて、私がすることといえば来られなかった京介くんの分をしまうことだけだった。

彼も一緒だったらどんな風になったのかなと考えていたとき、"ポン"とLIVENETの通知音が聞こえた。


「?」

『しごおわ』

「…京介くん!」


LIVENETのメッセージは彼からだった。

また"ポン"と音が鳴って次のメッセージが現れて、私たちは文字で会話する。


『ピザパ終わっちゃった?』

『うん。 翔くんと義人くんは部屋に戻ったよ。 一磨くんと亮太くんはこれから仕事だって』

『そっか』

『もう帰ってくる? それなら京介くんの分のピザとチキン、温めておくよ』

『今はいいや。
 それより、出てこれる?』


出てこれる?とは??

ふと時計を見ると、時刻は23時40分。

もうお風呂にも入ったし寝ようかと思っていたのだけれど。


『クリスマスツリー、見に行こ』


見に行くのはいいけれど、こんな時間でもまだ人はいるわけで………と考えていたら。


『10分後に並木通りの交差点で』


と、続けざまに来た。

………どうして彼らは私が行くことが前提で話をすすめるのだろう?

出かけるならちゃんとメイクしたいのに。

あまりにも時間がなさすぎる。

まぁ、夜中だし誰か他の人に会うわけでもなし、このご時世、マスクで顔を覆っても誰も気にしないだろうと言うことで。

乾燥対策に保湿効果のあるオールインワンクリームとリップを塗り、フリースのハイネックプルオーバーとフェルト生地のロングスカートにウールのコートという暖かい格好をして家を出た。

マンションエントランスを出て道路までのアプローチを抜け、3分ほど歩けば並木通りの交差点に着く。

そこで待ちあわせをするということは、近くの教会の前にある大きなクリスマス・ツリーを見に行くのかな?

そんなことを考えながら歩いていくと、交差点の直ぐ側にある石柱のところに黒のロングコートを着て、顔の半分を覆うようにマフラーをした彼が寒そうにして立っていた。

周りにチラホラと人はいるけれど、それが京介くんであるとは誰も気付かなくて。

然るべき場所では華やかなオーラを纏い、誰よりも目が惹きつけられるけど、状況によってこんな風にどこにでもいる一般人にもなる。

それが、彼が彼たる所以なのだろうか。

でも名前を呼ぶことがちょっと憚れて、彼のそばに行ってから声を掛ける。


「お兄さん、お一人ですか?」


こちらに顔を向けた彼は柔らかく笑って答えた。


「愛優香って人を待ってるんだけど」

「まぁ、偶然。 私も愛優香っていうの」

「―――ぷはっ。 何してるの」

「おまたせ」

「ううん。 行こ?」

「うん」


それから私たちは拳一つ分の距離を空けて歩いた。

これから向かうと思われる教会の前には樅の木が1本あって、この時期には様々な装飾が為され、控え目ではあるが大きなクリスマスツリーとなる。

多くの人が訪れるほど有名ではなく、ほとんど地域の人にしか知られていない。

あのマンションに住んで4年以上経つけれど私が見に来たのは1回だけだ。

二人とも無言のまま歩いていくと目的のクリスマスツリーが眼の前に現れた。


「うわぁ…」


前に見たときと同じように控えめで、煌々と輝いて観光地化したクリスマスツリーとは違う雰囲気だ。

教会の屋根の高さを超すほどの樅の木には一つ一つの柔らかい淡香色の光が、そして様々なオーナメントが飾られていた。


「……私は、これくらい控えめなほうが好きだわ」

「偶然。 オレも」


きらびやかな世界で、そして一般の人よりも体力的にも精神的にも疲弊する世界で生きてる京介くんにとってはこういうのが落ち着くのだろうか。

それなら私は彼にとってそういう存在でありたいと―――。

(んん? そういう存在って????)

自分で自分が考えたフレーズにツッコミを入れた。


「愛優香?」

「えっ!
 あっ、なっ、なんでもないっっっ!」


心の奥深くで芽生えようとしている感情に気付かないまま、私は京介くんの隣でクリスマスツリーを見上げるのだった。


〜 to be continued 〜