患者会を「NPO法人」にするということ | 大切なもの

大切なもの

私自身の体調のこと、地域ネコのことなど

これから患者会をNPO法人化したいと思っている方のために
NPO法人をやめた今、
少し書き留めておこうと思いました。

何かの参考になればいいなと思います。


なぜNPO法人にしたかったかというと
住んでいる東京都ではNPO法人はコンビニの数と同じぐらいあると言われていました。
何か取り組みたいことがある時、
NPO法人でないとなかなか受け入れられない場面も多そうだなと感じていました。
どこかの教育機関、医療機関、行政機関などへ要望したいことがあったとき
法人格というのがあるほうが話を聞いてもらいやすいというのが東京都にはあるような気がしていました。

当時は「どのくらいの患者さんがいますか?」
と人数を聞かれることも多かったので
会員数が多いほうが話を聞いてももらいやすい印象でした。
(今はそういうこともないと思っています。)

NPO法人を設立するためにセンターに相談すると
「患者会が一番運営を継続しにくいです」
というお話を伺いました。
理由としては
・体調の悪い方が活動することの難しさ
・体調の悪い方が家族にいる状態での活動することの難しさ

・参加されている方の目的意識の違い

・活動の対象が幅広いこと
・他の機関の影響が強いため法人の思う方向へ活動を進められないことが多いこと
など。

 

一般的な他のNPO法人の活動内容は
・子育てに関してのこと(子ども食堂、遊び場、学童など)
・高齢者に関してのこと(デイケア、入浴サービス、送迎サービスなど)
・環境問題に関してのこと(清掃活動、川をきれいにする活動、など)
他には災害、人権、国際などの分野があります。
比較的対象が限られていて、多くの方に理解を求めやすく、一般的に参加しやすい活動であることが多いようです。

そういう意味では
患者会というのはその疾患に関わる方が活動されるイメージで
幅広い方々に関係のあることではないので資金も集まりにくいというお話でした。
その時はそれでもやったほうがいいと思っていましたが
はじめるとすぐに思い知らされました。



はじめは、疾患を持った方とその家族たちで集まって
皆が「治りたい」という気持ちを共有していたと思います。


家族に体調の良くない者がいるのに活動をするのは余暇で活動するわけではないので
家庭の生活も余裕がなくなってきます。
仕事を抱えながらの活動は大変で、
個人的な支出も多くなります。


毎年、会員の総会開催と議決の取りまとめ、
毎年、都庁への提出物も7種類ほどあります。
それ以外にも法務局への定期的な提出書類。
必要なことではあるけれど
人員が足りない患者会は皆さんご苦労されています。

代表理事が万が一活動を続けられないとなったときは
他の理事が代表理事にならなければならない場合が多く、
初めからそのような万が一のことを想定して始める必要があったと感じます。

純粋に活動に費やしたい時間をこれらの事務手続きに取られてしまって
結果、限られた労力では活動へ支障がありました。

また、一言で「治りたい」と言っても
実際は皆さん要望が違うことも多く
・新しい治療法を求める方

・新しい診断方法を求める方

・新しい薬を求める方
・現在の状態を職場や学校に理解を求めたい方
・就学・就労支援を求める方

・新しい社会制度を求めたい方
・同じような立場の方と情報を共有したい方
など
10年単位で考えなければならないことから数か月で解決したいことまで幅が広いです。

どうしても早い結果を望むため
数年がかりの取り組みは受け入れられることは少ないです。
疾患によっては短期的な活動もいいのかもしれません。
その場合は情報も古くなっていくので更新していく必要があると感じます。


誰でも知っているような疾患の患者会の場合は
全国に支部があって
診断方法、治療法も確率されているので
主に情報の共有が活動内容になっているようです。

 

周知されていなくて、治療法を模索している疾患の患者会は大変そうです。

私自身も他のNPO法人のいくつかの患者会の会員になっていますが、
運営は大変そうです。




これから、患者会をNPO法人にしたいと考えている方は
十分に話し合って準備をしっかりされてから設立されることをお勧めします。

定款の作り方によっては継続しにくくなり、解散もしにくくなります。
会員と連絡が取れなくなってしまう患者会も多く、
総会が上手く機能しないなど活動そのものに支障をきたすようになっているところもあります。

設立当初から代表理事の交代、理事の交代を打診しておくことも活動に専念できます。

NPO法人制度ができてから24年ほどになります。
少しずつ柔軟な制度になってきています。
 

きちんとビジョンを共有し、制度を上手につかっていけば
有意義な活動になり、多くの方の助けとなるでしょう。
 

 

何か行動しようという時、
効率よく行動できるように
柔軟に対応できる組織がいいですね。