部屋をあけると、そこは、普通のツインルーム。
外の景色は、さっき見たのと階は違えど同じもの。
美しい夜景が広がっていた。
ユノさんは何も話さず、窓際に立つ。
僕もその横に並んだ。
「綺麗だな。」
「はい。」
「今日、これと同じ感情をおまえを見て感じた。」
「え、あ、はい。」
女装のことをいっているだと思い、どう答えていいかとまどう。
「人への感情は、夜景をみるときのように簡単にはいかない。」
「はい。」
僕はここではっきりとふられるのだろうとユノさんの厳しい表情から察した。
「綺麗だ。可愛い。好きだの言葉では収まりきらないものがある。」
「はい、、、。」
「わかっているのに、今、この手を離せない。おまえから、離してくれないか?」
「嫌です。」
自分でも驚くほど早く答えた。
「ソジュさんとユノさんが離れられなくても、僕がユノさんを好きでいては、いけませんか?」
ユノさんは相変わらず僕を見ずに、景色を見ていた。
「ああ。俺はソジュとの関係を簡単に切ることができない。」
「それでもいいです。」
「おまえが傷つくだけだ。」
「平気です。僕はユノさんが思っている以上に強い。だから、、、」
ユノさんが僕の手を強く握る。
「お願いだ。俺を困らせないでくれ。」
「ユノさん、、、。」
「おまえのことを考えると苦しくてたまらない。胸のあたりがつぶされるようで、、、。」
「ユノさん?」
「わかってる。この気持ちが何かって。わかってるから、、、だから、、、おまえから、俺は離してくれ。」
苦しそうなユノさんの顔。
「嫌です。」
僕はユノさんの唇に自分の唇をそっと押し当てた。
「好きになるのに理由なんてない。そこにあなたの唇があれば、触れたくなるし、そのあなたの腕があれば、抱き締めてほしくなる。そこに、あなたの思いがあるのなら、ひとつになりたい。」