3巡入場最前列随喜の涙からの半年音沙汰無しの後、やっと届いた返事は例の悪文でありました。
以下の公演の抽選からはもれてしまいまいましたが、
「キャンセル待ち」となります
クソ番だろどうせ。
と思いきや何と一桁。本日めでたく繰り上げ当選が決まりました。ぱちぱち。
呼ばれたのは村山彩希さんプロデュース「レッツゴー研究生!」公演。
前回のお呼ばれも研究生公演だった。
そのあと「よすす公演」をオンデマで見てヨコちゃんにぶちのめされて、かなり無理して応募をしたんだけど「よすす公演」これが全く当たらず。やっぱお前研究生ちゃんと見ろよ、という上層部(雲の上関係)の思し召しなんだろ。
あれ16期ってあらかた昇格したんじゃねえのと思ったら発表だけだったのね。そんなことも知らないくらい、AKB縁遠くなっていた。フレモン辞めちゃうし。アベマは台北行っちゃうし。
みんな昨日まで知らなかった。
16期研究生と言えば、初見で
…何かこう、しっくりこないというか、「研究生」らしさというか、初々しさというか、そういう成分がちょいと足りない、というか。
慣れてる、と言ってしまったら言いすぎなんだが、「下手くそながらガンバリました」とはちょっと違う感じがした。
なーんてナマイキな印象を書いちゃったと思いきや、それが後半のダークサイドでアヤシイ花が咲いてひっくり返るという、研究生にあるまじき展開だった。
で、今度の「レッツゴー研究生!」公演。
セトリを見るとまあ初心者ぽかーんのヲタ選曲だ。そりゃそうだ、おそらく日本一の現役公演ヲタが選んだセトリだもの。
かろうじて「High School Days」はあるものの、「LOVE修行」も「黄金センター」も「強い花」も「蕾たち」もない。
あたしたち研究生をよろしく、なんて愛嬌など全くないのがむしろすがすがしい。
極めつけは「孤独なランナー」。
目の前に/続いてる/希望への渋滞
ライバルは/全力で
競って/道を進む
ユニット開けの1曲目。
オリジナルはSDN唯一の公演「誘惑のガーター」EN1。
不確かな栄光を目指して、息が苦しくなるサバイバルゲームをライバルと競う歌。「黄金センター」も似たようなテーマだったが、あっちには、あっけらかんとした諧謔と根拠のない希望があった。でもここにはそんな余裕は微塵もない。
これほど研究生に似つかわしくない歌もなかろうに。
最初にこの曲について触れたのは2011年、震災の余塵さめやらぬ10月だった。
もう7年近く前。
「希望への渋滞」という余りにもつらい現実は、SDNという酸いも甘いもかみ分けたお姉様たちだけにしか歌えないフレーズだと思っていた。その時は。
SDNそのものが「なかったこと」にされることが決まった時のことだった。
シングルにすらなっていないこの曲が、リクアワ2012で第3位に選ばれた。
まだ「奇跡」が起こせることを、メンバーもヲタも信じていられた時代。
その曲が今、年端もいかない研究生たちによって歌われている。
この曲を選んだ「シアターの神」彩希さん。
「AKBと言えば誰?」と尋ねられたとき、AKBを深く知れば知る人ほど彼女の名前を挙げるだろう。
彩希さんとはつまるところ、
「テレビやグラビアにはほとんど出ないけど、シアターに行けば会える、いつでも全力で頑張っている人」だ。
うん。確かにAKBそのものだ。
その彩希さんがこれからのAKBを支えるであろう研究生にこの歌を歌わせる。
その意味をじっくり噛みしめている。
7年前、AKBのメンバーは少なくとも表向きは「仲間」だった。
「ライバルではあるが、支え合う仲間」という擬制がその頃はまだ生きていた。
「つらくはあっても、孤独ではない」という物語に僕らは酔ったふりをしていた。
それが今や。
Teamとは名ばかり。いつメンバーが入れ替わるかわからない仮初めの間柄だ。
その名を冠した公演で欠員が出ても、チームの中で埋めることはない(それどころかTeamのメンバーだけで公演を成立させることすらできない)。
それでも組織が上げ潮の時だったら苦にもなるまい。先輩や同僚がつぎつぎに新しいステージに上がっていくのを見ていれば、苦しいことも耐えられるだろう。でもそこに導いてくれるべき人は、坂道ばかり見上げているようにみえる。もう古いオモチャに飽きちゃったかのように。
私は走り出す/最後のチャンスだ
ここで抜け出さなければ/敗者になるよ
それでも走って抜け出さなきゃ進めない。
研究生に最初から「最後のチャンス」を突きつけなければならないのが今のAKBの現状、ということなのだろうか。
そしてそれを誰よりも強く実感しているのが、シアターのステージに立ち続ける彩希さんというわけだ。
16期研究生は現在18人いる。以前見た「16期研究生公演」は、18人全員がステージに上がることができた。
だが彩希さんはこの「レッツゴー研究生!」公演を、16人構成の本寸法にしつらえた。すこし工夫すれば18人編成だって組めたろうに。その結果公演に出られないメンバーが必ず出ることになる。
しかも初日、
「できない子をできないままステージに立たせるのは16期のためにならない」と16人で予定していた公演をまさかの15人でスタートさせた。
と来たもんだ。
おいおい、こんなの他の大人の仕事だろ本当は。
まあ、「他の大人」が仕事をしてないから仕方ないのだろう。
いや、むしろもうAKBへの愛が失われた大人には、指一本触らせるべきではないのかもしれない。
僕らには(ってずいぶん僕もご無沙汰なんだけどさ)、彩希さんがいる。
公演の掉尾を飾るのはなんと「家出の夜」。
大人を起こさないように/足音を殺した
大人は黙って寝ててくれ、ってことなんでしょ、ゆいりー。
うん、僕らには確かに彩希さんがいるし、シアターは今でもそこにある。