こんばんは。神谷です。
「このての本は、電車の中では読んではいけない」何度も自分のブログで書いているのですが、懲りもせず電車の中で読んで後悔します。
「涙」は「笑い」よりもストレスを解消します。
だから、心が疲れたら、泣ける小説や、映画をおススメします。
という事で、『99のなみだ 花』 から、「二年後の遥へ」という短編小説を紹介します。
遥は二歳年上の姉・恵の病室にいた。
恵は交通事故に遭い、もう絶望視されていた。
そんな恵が奇跡的に意識を回復。
そして、遥に「”未来ポスト”を病室に持ってきてほしい」とお願いをした。
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”未来ポスト”とは、遥が小学生の頃タイムマシンの存在を信じて、未来のの自分に宛てて書いた手紙を入れる箱の事。
遥は、姉の恵にからかわれながらも、未来ポストに手紙を入れ続けた。
ある日の事、「二年後の遥」から返事が返ってきた。
しかし、ほどなく、「二年後の遥」の手紙は姉・恵が書いていることを知ってしまう。
そして、遥と姉・恵との不思議な文通が始まった。
ある時は励まされ、ある時はいろいろなことを「二年後の遥」から学んだ。
姉・恵は死が目の前に迫っていることを知っている。
遥はこう思った。
お姉ちゃんは、きっとわらにもすがる気持ちで、このポストに未来の自分にあてた手紙を入れるに違いない。
うそだと分かっていても、未来の自分からの「生きている」の一言が聞きたくて、本当は不安で不安でたまらないはずだ。
遥は、姉・恵を励ます、短い手紙を書いたが、恵は未来ポストに手紙を出せないまま、こん睡状態に陥り、帰らぬ人になった。
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時は、恵の三周忌。
遥は、何気なく”未来ポスト”のふたを開けた。
当然中には何も入っていなかった・・・・・・と思ったとき、ふたの裏に封筒が張り付けられていた事に気が付く。
封筒を開けると、「二年後の遥へ」と言う手紙が恵から届けられていた。
二年後の遥へ
初めて私が、二年後の遥に手紙を書きます。未来ポストとソータイセー理論を信じて。
楽しかったな、遥との文通。
私だと分かってからも何でも相談してくれることが嬉しくて、いつの間にか、このポストを開くのが楽しみになってた。
たった二年しか先輩じゃないのに、偉そうなことをたくさん書いたよね。
読み返したらきっと恥ずかしいだろうな。
悔しいけど、これから私は、遥の前を歩くことができなくなってしまいそうです。
たった、二年。
それが今の私には、めまいがするほど遠い。
だけど私にはわかります。
遥は今日も明日も、二年後も、五十年後も、ずっと笑顔で幸せです。
だから、私を追い越して歩いていくことも恐れないで。
私の分まで生きて。
応援しているよ。
今を生きる恵より
恵はこん睡状態に陥る前に、妹・遥の未来に向かって手紙を書いたのでした。
最後の恵の手紙を読むと胸が詰まるものがあります。
死を目前にして、最期の力を振り絞って、愛している人に向かってメッセージを綴る。
死への不安や恐怖を乗り越えた先に到達する場所なのでしょうか。
わかりません・・・・
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