午前中、病棟でカルテを書いていると、看護師長がもったいぶった表情で近づいてきました。
櫻井くんが主演した『神様のカルテ』に出てきた看護師長にそっくりな、当院の急性期病棟師長です。
「どうしました?」
「先生、人は、悲しい時、シクシクと泣くでしょ?」
「は?──はい……」
突然、どうしたのでしょうか?
「シクシクだから、4×9=36(シク36)!」
へ?──
いきなり、シャ、シャレっすかぁ?
看護師長、オヤジギャグにはあんまり縁のない方だったはずですが……。
でも、自分で言って、照れていちゃダメですよね!
お笑いでは生きていけません!(生きないか(笑))
でも、看護師長も少し吹き出しながら言ってました。
まだまだ甘いですな!
「そう、ですね……?」
「でね!人は楽しい時、ハッハ、と笑うでしょ?」
「ええ……」
「8×8=64(ハッパ64)ですね!」
僕の口元がムズムズしています。
なんて返事したらいいのでしょうか?
「でね!でね! 人生、悲しいことは36%!楽しいことは64%!なんですよ!」
「はあ……」
「先生! 足して100%になるんですよ、これが!」
おおお!
一時はどうなることかと固唾を飲んで見守っていた病棟事務さんも、他の看護師さんたちも、最後の締めの言葉に、感嘆の声を上げました。
~人生の方程式~
人は楽しい時、シクシクと泣く
4×9=36
人は悲しい時、ハッハと笑う
8×8=64
人生、悲しい時が36%
楽しい時が64%
そうなるように
人生はできている
4×9=36
人は悲しい時、ハッハと笑う
8×8=64
人生、悲しい時が36%
楽しい時が64%
そうなるように
人生はできている
というような文面だったようです(細かいとこは違うかも)。
「私がネットで見つけたんですよ!」
と病棟クラークさん。
「ねえ? 先生!人生悲しみ36%、でも楽しみ64%なんですよ!」
と、看護師長は1人でうんうんうなずいています。
患者さんの悲喜こもごもを見続けてきた、ベテラン看護師長さん。
どこか、心の琴線に触れるものがあったんでしょうね。
「あ!それ聞いたことある!」
という若い看護師さんもいました。
単なる言葉と数字のお遊びかもしれませんが。
でも、悲しい時があっても、人生の6割以上楽しいことがあるんだから、頑張って生きていこうよ!──
というニュアンスに受け止めれば、どこか深い言葉のような気もするのです。
悲しみの中でも。
必ずめぐってくる喜びを信じられる人生──
それならば、人生、生きていく価値があるよなあ!
そんな風にも思えます。
なんとなく、あいだみつを風。
まあ、よく足して100%になってること、見つけたもんですねえ。
考えた方は、エラい!──