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両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

生殖医療専門医の立場から不妊治療、体外受精、腹腔鏡手術について説明します。また最新の生殖医療の話題や情報を、文献を元に提供します。銀座のレストランやハワイ情報も書いてます。

夕方に時間が取れたので久しぶりに打ちっぱなしにきました。

天気も良くとても気持ちが良い気候でした。

3年くらいはラウンドしていませんが、

結構意図した球が打てコースを回ってもそこそこのスコアが出せそうです。

若い時に狂ってるくらい練習したので体が覚えているものですね。

 

現在定期的に筋トレをしていますが、

マッスルメモリーというのがあることを知りました。

一度筋肉をトレーニングして発達させた後、一時的にトレーニングを中断して筋肉量や筋力が低下しても、再びトレーニングをはじめた際に筋肉が元の状態に戻る過程を指しているそうです。

体の状態を遺伝子レベルで記憶しているそうです。

顕微授精を選ぶケースが多くなっており問題視されています。特に男性因子がないにも関わらず高齢だから、不安だからと顕微授精を選ぶことは根拠がないと多数指摘されています。

今月号の論文ではまさにそこを調べており大規模なデータのため参考になると思われます。

 

男性因子が無い場合体外受精と顕微授精のPGT-Aの結果と出産率を調べています。

男性因子が無い場合のPGTを受けた30,446のサイクルが調査され、その中で4,867がIVF、25,579がICSIでした。

正常胚の割合においてIVFとICSI間で有意な差は認めらませんでした(それぞれ41.6%対42.5%)。

出産率も同様に差はありませんでした(それぞれ50.1%対50.8%)

 

結論:男性因子が無い場合、IVFとICSIの間で正常胚の割合や出産率に有意な差は認められませんでした。

この論文の言いたいこと

男性因子が無い不妊において、PGTを行う体外受精と顕微授精の間で、移植に適した胚の割合や出産率に有意差がないということです。つまり通常のふりかけと顕微授精のどちらを選択しても妊娠に至る成績に大きな違いはないということを示しています。

結論として男性不妊がない場合顕微授精を選ぶメリットは全然無く、費用の無駄であり、迷わずふりかけを選ぶべきと言えます。

 

Fertility and Sterility® Vol. 121, No. 5, May 2024 

Comparison of outcomes between intracytoplasmic sperm injection and in vitro fertilization inseminations with preimplantation genetic testing for aneuploidy, analysis of Society for Assisted Reproductive Technology Clinic Outcome Reporting System data

東京都からの助成金が開始され多くの方が希望されていると報道されています。

当院でも分かりやすく説明する様にしております。

遠方の方や忙しい方が多いため毎回オンラインでセミナーを開催しております。

 

どこのクリニックも同じなのだろうか?

他との違いは?

私に合う施設は?

採卵は痛くないのかな

ピルはやめたら採卵すぐできるか?

 

この様な質問に対しても全て答えております。

興味がある方はぜひご参加ください。

私が毎回説明しております。参加費は無料です。

お申し込みはこちらから(所要1分)

 

 

なおピルに関してはやめて来た最初の生理から採卵が可能です。

特に間を空ける必要はありません。

妊活していますがカフェインとかも含め何に気をつけたら良いかわかりません。色々とネットには書かれていますが成功体験というか本当にそうなのかという話も多くあります。エビデンスを載せているものはまずありません。この辺りを教えてください。

 

この様なご質問がありましたのでお答えします。

 

この様な質問は実に多く受けます。

過去の説明会の動画に妊娠に良い食生活というタイトルで作成したのでぜひご覧ください。

 

 

今日の午後は少し時間が取れたのでクリニックから日本橋まで歩きました。

途中京橋に新しいお店が出来ていたり、また以前からあるお店を久しぶりに覗いてみたりと結構新鮮でした。

明治屋の本店も見てみましたが他の明治屋には無い珍しい商品も多く驚きました。

近くにいて中々行かない京橋や日本橋ですが高層ビルも建設しており今後ますます盛況になりそうで楽しみです。

また丁度京橋の警察博物館で演奏が始まっており通りすがりですが聞けたのも新鮮でした。

 

この八重洲、日本橋、京橋をYaesu、Nihonbashi、Kyobashiの頭文字をとってYNK=インクと呼ばれているようで今後かなり再開発が見込まれております。

40階くらいの高層ビルがここ数年で10件以上できるようです。

 

 

不妊の原因がわからない原因不明不妊が多く認められます。

原因がわからないので治療法が選びにくい反面様子を見るケースもあり授かりにくくなります。

その一方すぐに治療を開始することが過剰ではとの指摘もあります。

今回の論文ではその辺りを調べ指摘しています。

 

原因不明不妊のカップルに対して、自然妊娠の可能性を予測するモデルを使うことで、どのカップルが治療を始めるべきか、またはしばらく様子を見るべきかを判断できると述べています。

 

この予測モデルは、特にハウノルトのモデルに基づいており、自然妊娠の可能性が高いカップルには即座に治療を始める必要がないことを示しています。

 

一方で、自然妊娠の可能性が低いカップルには、より積極的な治療方法(例えばIUIや体外受精)をすぐに始めることが推奨されます。

これにより不必要な治療を避けカップルにとって最も効果的な治療法を選択することができると述べています。

 

 

Fertil Steril® Vol. 121, No. 5, May 2024

Evaluating prognosis in unexplained infertility

アメリカからの報告です。アメリカには100万個以上の凍結胚があると推定されています。

そして1.5%程度胚の提供で産まれていると推定されています。

子供が産まれて余剰胚を破棄することは宗教的倫理的道徳的に問題視されており回避したいと願う夫婦もいて胚の提供が行われています。ただ生まれる子供へのメンタルへの影響、親との関係などはよくわかっていません。

今回胚の提供を受けて生まれた子供のその後の精神的な部分、親との関係性などを調べている論文がありましたので紹介します。

 

胚の提供を受け生まれた親子関係と子どもたちの心理社会的な適応について良好な結果が得られていることを示しています。

親たちは子どもたちとの関係を肯定的に感じており、子どもたちも感情的、行動的、社会的な側面で問題が少ないと報告されています。

ただし、今回の研究は時間を通じての変化を捉えることができない、そしてサンプルサイズが小さい、参加者の選択にバイアスがある可能性があるなどの限界もあります。

それでも胚の提供という比較的研究が少ない分野においてこれまでの研究に比べて多くのデータを出しており、子どもたちの年齢範囲も広いことから貴重な結果だと言えます。

 

Human Reproduction, 2024, 39(4), 779–783

Psychosocial outcomes of children born via embryo donation

ゴールデンウィーク何か予定が入っていますか?と聞かれますが

hawaiiに行きますと言いたいところですが

特に何も入っていません。

どこにも行く予定は無く通常通りです。

 

強いて言えば普段より時間があるので

普段読めない論文を読んだり

筋トレをしたり

そして今ハマっている料理を作ろうかと思います。

あと時間があれば美味しいコーヒーでも飲みに行きたいなと思います。

5回移植して流産を2回しています。正直どうしたら良いか、心身ともに限界です。先生はPGT-Aに関して余り勧めないと書かれていたかと思いますがどういう時に行うほうが良いと考えていますか?

 

この様なご質問がありましたのでお答えします。

 

PGT-Aはまだ世界的に議論がなされており、今回の保険診療にも認められなかったことが示している通り国も学会も厚労省も自信を持って勧められないというスタンスであり、まだ確固たるエビデンスが出ていない状況です。

その理由としてバイオプシーによる胚へのダメージ、偽陰性、偽陽性、胚の自己修復、モザイク、長期的な予後が不明など問題が多数あるからです。

生殖医療に関する一流の雑誌でも真っ向から賛成派と反対派で議論がされておりいまだに結論が出ていません。

このThe new england journal of medicineの論文でも累積での成績は変わらないとしています。

 

PGT-Aは胚が正常か異常かを見抜く技術であり正常胚を作る技術ではありません。やるべきことは正常胚ができるための治療法を行うことです。刺激、受精、培養を再度見直し施設側が最大限努力することが正常胚を作る王道です。胚のせいにするのは簡単ですがその胚を作っているのは誰なのか、そこをよく考え自分達にできることを最大限努力することが専門家のすべきことだと思います。

 

私の個人的な意見として、流産の経験がない方に対してはPGT-Aは積極的にお勧めしません。誰にでも将来的にお子さんに何か病気が出る可能性はあります。

そして子供に何かあった場合、PGT-Aと関係なくてもPGT-Aをしたからではと考えてしまうのが親だと思います。

なるべく不要な技術は使わないほうが良いというのが生殖医療の大原則だと私は思っています。

ただ流産を繰り返して心身ともに限界という場合にはPGT-Aを強くお勧めします

我が子をこの手に抱くという夢を叶えるため今ある技術を使うべきときだと思います。