ネット上で凄まじいバッシングを受けていた記事がある。
「ちょい悪ジジになるには、美術館へ行き、牛肉の部位を知れ」
というもので、対象年齢60代くらい?のジジに対して、若い女性をナンパする方法を指南した記事。
残念ながら元記事は消えているようである。
それはもうすがすがしいほどの炎上で、逆にスカッとした。
擁護派がまったくいなかった。
GGという定年後も枯れることなく女性にモテたい「ちょい悪ジジ」に向けての雑誌創刊企画だったらしい。
↑の文章を読むだけで、なんか脱力するのは悲しいところ。
簡単に説明すると、
「女性をナンパするには、あらかじめ知識を詰め込んで、美術館へ行き、来ている女性にガイドのように知識を披露。感心されて仲良くなったところで、ランチに誘う。
さらに夕食に誘い、牛肉の部位を教えるついでにお尻をツンツンする」
ざっくり言うとこんな感じ。
女性の対象年齢は、若いとみている。
「美術館には、おじさん好きの知的女子や不思議ちゃん系女子がたくさんいる」という文言から、
20代~30代前半?
婚活でも一番人気のある世代じゃねーか(脱力)
おじさん好きの知的女子ってどこにいるんだ。
香川照之とか大森南といった年配の俳優さんが好きな女子ならたまに見るけど、30以上年取ってる男性を恋愛対象として見る女子知らんぞ。
こんなのひっかかる女性がいないだろー!
と思っていたのだが……いないこともない。
若いころのジーンだ。
私の数少ない友人のジーンは、私と仲良くできることからわかるようにすごく自己犠牲の強い女。
相手を悲しませるくらいなら、いくらでも我慢するって性格。
その相手がたとえ嫌いな人でも。
だから、もし、この記事を真に受けたジジが、美術館で若いころのジーンをナンパしたとしたら多分こうなる。
ジーン:(ふう、最近忙しかったし、今日は一人で美術館に行って、好きな絵でも眺めてリフレッシュしよっと)
ジジ:「おや、お嬢さん、この絵がお好きですか? この作家には不遇の時代があってですね、うんたらかんたら」
ジーン:「へえ、そうなんですか? 知りませんでした!」
(なんだろうこのおじいさん、でも教えてくれてるのに、嫌な顔したら悪いよね。そのうちいなくなってくれるだろうし)
ジジ:「そうだ、このあとランチでもいかがですか?」
(ふふふ、よし、感心してる感心してる。いい感触だ)
ジーン:「え……え、あ、でも……じゃあ……」
(どうしようもう帰りたいけど、断ったら悪いよね)
ジジ:「牛肉の部位はですね、うんたらかんたら。イチボはここですよ」→ジーンのお尻をツンツン。
(ふふふ、自然にボディタッチできた)
ジーン:「へえ、そうなんですか? よく知ってますね」
(やだー! なに、このおじいさん! 気持ち悪い! 早く帰りたい!)
ジジ:「ぜひまた会いましょう」
(よし、もう俺にメロメロだな。俺もまだまだイケてるぜ)
ジーン:「はい、ありがとうございました」
(はあ、やっと解放された)
いや、ほんとだって!
ジーンなら絶対こうなる。
結果、あたらしい被害者を生むことになるのである。
「断ったら悪い」じゃねーよ!
(勝手に想像して勝手にジーンにキレるひどい友人のクララ)
クララなら「断ったら悪い」とは思っても、すぐ顔にでるし、具合が悪くなるし、続かないことがわかっているので、はっきり断ることはできなくても、無視するので、このパターンにはならない。
(あ、でも、20代の頃、障害者を自称する男性に何時間も連れまわされて、あちこち触られたことがある……人のこと言えない?)
恐ろしいのは、この心の声をまったく見せることなく、完璧な笑顔で乗り切る能力を持った女が一定数いるということ。
すっげえめんどくさい男の話を何時間も「心底楽しい」って顔と受け答えで聞いておいて、
傍から見てても楽しんでいるようにしか見えないのに、
あとから聞いてみると「苦痛だった」と答えるからびっくりする。
自慢話(俺昔悪かった自慢や、寝てない自慢など)と薀蓄はめんどくさいってこんなに巷で言われているのに、
この能力の高い女たちによって、
「自分だけは違う。話せば話すほどモテる」と思っている男が一定数育まれているんではないかと思うと恐ろしい。
なにが言いたいかというと
「断ると悪い」って理由で、つまんない話を笑顔で聞く女子ホントにやめてください。
ついでに、私のように、嫌なとき嫌な顔をしてしまう女を「女子力低い」とか言わないでください。
(自己弁護)
話は変わるが、
その雑誌GGは、60代くらいの男性と20代の女性とのツーショットが表紙になっている。
そうだよね、男性って本音ではいくつになっても20代の女がいいよね(  ̄っ ̄)
実際、結婚相談所に登録する50代男性のほとんどが相手の希望年齢を「20代~」と回答するらしい。
これは私の感覚だけど、恥ずかしながら婚活をしていた時代、サイトに登録している男性のプロフィールに恐ろしいほどの高確率で書かれていたのが「見た目は若く見られます」という文言だった。
(これもまた女子力高い系女子の社交辞令の弊害だと私は思っている)
自分だけは、30も年下の女性と釣り合うと思っている男性のおそろしさときたら。
ただ、これは50代までなんじゃないかなーと思う。
今の50代男性は年功序列、終身雇用が崩壊するスレスレの勝ち逃げ組であり、
たとえ仕事ができなくても会社ではそれなりの地位を与えられ、ダメ出ししてくれる人もおらず、
部下にペコペコされる人も多い。
(クララの会社調べ)
「俺、仕事できる。金も持ってる」って自信が「20代の女でもイケる」って勘違いにつながっているんではないかと。
でも、それが定年後になるとまた違ってくるんだろうな~と。
60代、70代になって、多分それでも、20代の女性が好きなのは変わらないと思う。
でも、60代以上の男性が20代の女性と恋に落ちる可能性ってまあないよね。
20代の頃の自分がどんなことがあれば60代の男性を好きになったかと想像しても、本当に思いつかない。
(こういうこと言うと加藤茶とかまれなケースを持ち出す人がいるけど、何にでも例外はあるもので、例外があるからといってどうなるものでもない。発達障害の特性を生かして社会的に成功した人間がいるからと言って、その他の発達障害者がみんなそうできるわけではないのと同じ)
好きになることは、たとえ70代と20代でも悪いことではないと思う。
なにも引け目に感じることではない。
けど、悲しいけど受け入れてはもらえないってことを「受け入れる」ってことも大事なんじゃないかと思う。
かくいう私も、若くて美しい男性にばかり心惹かれる自分に、ほとほと困り果てている。
こんなこと言ってもしかたないが、心はまったく成長しないのである。
心は、思春期の中学生のまま。
恋愛を年相応に経験してこなかったのも影響しているかもしれない。
心はそのままなのに、体だけ「オバサン」になっていく「老い」って本当に悲しいけど、
せめてちゃんと「受け入れる」そんなオバサンでありたいと思う。
てなことを考えていたら、小説を書き始めてしまった。
21歳の女性に恋した70歳の男性の話。
書き始めたまま止まってます。