※妄想のお話です。
先日大雨の日に幼稚園に迎えに行った時の話です。(突然どうした)
あまりの大雨に音楽が聴こえず音量を結構上げていて、
車の電源を落とし(電気自動車)園へお迎えへ。
けど息子、トイレ行ったり忘れものがあったり…
先生との雑談も長引いて、戻るころにはすっかり雨足も弱まっておりました。
車に戻りピッと電源を入れたところ、ママ友さんが通りかかりました。
「あ!久しぶりxx君ママ!あのさぁ~」
「久しぶり~!どうしました~?」
がちゃ。
ドアを開けた瞬間、時間差で起動した車の音楽が鳴り響きました。
♪今夜イケそうなFeeling~♪Angel♪
まさかさ?
そんな意味わからんとこから音楽始まると思わんやん?
奇跡的な歌詞が死ぬほど恥ずかしかったってハナシです。
どうもタカです、お久しぶりです。(入りが独特過ぎる)
えーと、お待たせしましたっ。
新しい話書きます!(ごめんねずっと書きたくてうずうずしてたの許して)
ただしご注意を。
死にます。何度も。(は?)
まぁこれ読んだら何度も死ぬって意味が分かると思います。
苦手な方はお気を付けください。
だいじょぶです、ちゃんと山のハッピーエンドだから!(毎回言う信用ならんやつ)
けど、私は現状の二宮さんを受け入れられない方に読んで欲しいと思って書いてる(???)
苗字に関しては、わざとだよ~ん🌸
いつだってそうだ。
必ずあなたは俺を置いていく。
深い悲しみと絶望を味わうのは俺の方で
それを引きずって生きるのも俺ばっかりで
そして必ず俺があなたを先に見つけて
恋に落ちてしまう。
その恋がどんな終わりかわかっているっていうのに。
──初めまして
あなたはいつだってそう優しく花の咲いたような笑顔を見せる。
だから俺は
──初めまして
そう、何度も同じ言葉であなたに笑い返すんだ。
運命に逆らいたいのに
もう、悲しみたくなんてないのに
俺はいつも
あなたという運命から逃れられないんだ。
-Rolling days-
Side S
「輪廻転生ぇ?」
「そーそー。たっくんはぁ、生まれ変わったら何になりたいぃ?」
「ばっかお前、またお前を探して見つけてやるよッ✨」
「いや~んかぁ~っこいい~♡」
「お前以外を愛することは来世も来来世もないね!きっと前世も俺らは夫婦とかだったかもよ?」
「え~絶対そうじゃん!♡うちらきっと超お似合いだったよね~♡」
そんな戯言を電車内という公共の場でできゃっきゃと盛り上がる若い男女に
「必ず見つけるとか馬鹿げてますね。」
…と言葉の冷水をぶっかけたのは、
カップルの隣に座っていてず~~~っとイライラしてたサラリーマンでも、
斜め前に座っていて声の大きさにうんざりしていた俺でもない。
俺の隣にいる柴犬のような若い青年だった。
見た目は少年なんだけど瞳の奥には深い闇というか絶望みたいなものが感じられて…大人びて見えるから、年齢不詳。
ガタタン、ガタタンと軋む音を上げる車窓で舞う赤や黄に染まった紅葉とは対照的な、どこかモノトーンを彷彿させる落ち着いた印象を受ける。
「はぁ?うちらのこと?喧嘩売ってんのかよっ!」
「何だてめぇ?」
当然こちらに向かってくる。
そりゃそうだ。そう仕掛けたのは隣のこいつなんだから。
俺は柴犬青年と距離をとるべく尻を少しズラす。
「あのさ。輪廻転生があったとしてね?仮によ?それでよく人間に生まれ変われるとか思ってますよね。
転生先がゴキブリだったら?逆にアンタんちの冷蔵庫の裏でカサカサ人目を気にして生きてる奴がアンタの前世の恋人、もしくは子どもだったらとか思わないわけ?
それでもアンタは来世見つけてやれんのそのカノジョ?すごいね~愛だね~(笑)」
「はぁ?!アタシがゴキブリになるとか言ってんのかよテメェ!?ふざっけんな!!」
「そもそもわかんないでしょ。そういうものじゃん。出来もしない約束を信じる方が意味わかんないよ、俺には。」
淡々とド正論を吐く男に、向かいに座るイライラしていたサラリーマンの顔はキラキラ輝きだした。
何なら小さく拍手している。
「テメェ、こ ろされてぇのか。」
こ…!?
ちょ、怖いんだけど。
この場は逃げよ…
と席を立とうとしたら、斜め下がぐいっと引っかかった。
否、正確には柴犬青年がきゅるんとした瞳で俺の裾を引っ張っている。
「あのさ、この人。俺の兄貴。いいの?弁護士だけど。そういうのって言葉にするだけでも脅迫罪になるんじゃない?ねぇ兄さん?」
え、俺?兄さん??
俺に言ってるよねどう見ても???
じっ…と射貫かれるその瞳こそ脅迫罪が適用になる気がするんですけど。
「あ、えーと、はい。殺人予告、立派な脅迫罪ですね。」
脅迫罪に立派もくそもあってたまるか。と心の中で付け足す。
同時に浅い知識を念のためフル活動しながら、これ以上つっこまないでくれ、と願う。
「あぁ?最初につっかかってきたのはどう見ても…!」
「車内で大きな声出して話してる時点で迷惑行為。それを注意しがてら話の論点のズレを指摘した。
それなのにこれ、俺が一方的に悪い感じ?
それよりアンタらさ、煙草のにおいぷんぷんしてるけど…ま~ぁさか、未成年じゃないよねぇ?
1900年に未成年者喫煙禁止法って決まったはずなんだけど、知らない?
生まれる前だから知らないとかって逃げらんないからね、言っとくけど。」
「っ…!」
わかりやすく後ずさりする不良少年とその女。
「そういや話変わるけど嵐山高校とかって知ってる?ミヤムラ先生と俺知り合いなんだけど。
あははどうしたの顔真っ青だけど?記念にアンタらの写真撮ってもいい?ちょうどカメラがあるんで(笑)
ね?たーっくん?いや…拓郎くん、かな?」
よく見たら確かに柴犬氏クンの首から黒いカメラがぶらさがっている。
詳しくはないけど、多分高いやつ。
「な、何で名前…!つーかふざけんな!写真なんて~え~とちょさくけん?の侵害だろ!!もういい!!!車両移るぞユウコ!!」
「たっくん待ってよ~~~!!!」
慌てて隣の車両へ移動する二人を見送り、ほっと胸をなでおろす。
「著作権て。肖像権だろ。あいつら誰かの作品なの?だとしたらすごい失敗作だよね。」
失笑しながら青年が誰に言うでもなく呟く。
いや、多分俺に言ってんだろうけど。
「いや~スカッとした(笑)ありがとう。君達すごいね?」
例のサラリーマンが嬉しそうに声をかけてきた。
うお、近くで見ると顔濃いな?!
つーか君達、って。
俺は無関係なのに。
「ああいうの、俺嫌いなんだよね。出来もしない約束守る奴とか。」
しれっと言ってのける男は巻き込んだ俺に礼の一つもありゃしない。
「つーか急に何なんですか、あれ。兄貴とか弁護士とか。」
とりあえず文句はぶつけてみる。
「アンタ逃げようとすんだもん。いいでしょ別に。そんな迷惑かけた?」
「いや…それはまぁ…。」
「え、知り合いじゃなかったの(笑)」
サラリーマンが笑いながら柴犬クンの隣に腰を下ろす。
つまり、俺、柴犬、顔の濃ゆい男。って並び。
柴犬青年は挟まれて若干嫌そうな顔をしてるけど、サラリーマンは気にしているそぶりはない。
「つかさ、君何で名前とか高校とかわかったの?」
「ああそれ、俺も気になってた!」
拓郎は勿論、嵐山高校と言った途端顔色が変わった。
「TAKUROってぶらさがってたじゃん。ネックレス。だっせぇの。」
「そんなん見えてたの?すごいな…でも学校は?」
「アイツら話してたのよ。来週が創立記念日って。」
え、そうなの?全然聞いてなかった。
「幼馴染…っつーかダチがその高校の出身でさ。創立記念日同じだな~と思ったから、怖ぇっつってた生徒指導のセンコーの名前出してみたってわけ。結構前だけどまだいてくれて助かったわ。」
「は~お前めちゃくちゃおもしれ~な!(笑)観察眼鋭いし頭きれるし最高じゃん!」
笑いながらサラリーマンがサラリーマンらしく名刺を取り出す。
「俺松本潤。二人は?」
受け取ると…代表取締役!?
服飾系の会社で…『tortuga』(トルトゥーガ)。
そういえば学生が起業した斬新なスタイルのブランドがどうとか新聞に載ってたような…。
この人だったんだ。
トルトゥーガって確か、カリブの海賊の舞台になった島の名前だ。
…確かに海賊っぽい顔をしてる…←?
いや、他にも意味は色々あるんだろう。きっと。
「二宮和也。22ッス。」
22!?
てっきり10代かと!
「あ、俺と同い年じゃん。」
22!?
てっきり年上かと!!!!!←
「…あっ、俺は桜井翔です。24です。」
な、情けねぇ…一番年上だなんて。
一応名刺を差し出す。
「翔ってかっこいい名前っすね。…へぇ~山風出版!小説とかやってるんですか?」
「ありがとうございます。いや、雑誌の方。最近売れなくて…若手社員集めてそれぞれコラム書いたりなんかして藻掻いてるところです。今日も色々取材予定で。」
「そっか。お互い大変だね~。今日折角いい天気なのに。」
松本さんが笑いながら窓の外を見上げる。
見事な秋晴れだ。
スカッと突き抜けた綺麗な青空が四角いフレームの向こう側に広がっている。
「二宮くんは?仕事?」
「俺はカメラマンのアシスタント、クビんなったんで絶賛就職活動中。」
「え、マジ?」
「色彩に納得いかなくて。メインのカメラマンにちょーっと意見言ったら、はいサイナラ~。やってらんねぇよマジで。けどカメラは好きだから続けたいんだ。」
無感情に見えていた彼の目がカメラに向いた瞬間キラリと輝く。
へぇ、本当に好きなんだ。
「好きなこと仕事に出来るって幸せだよね。」
「俺もそう思う。」
「俺も。」
雑誌業界は今海外からの参入や趣味の世界などいろんな分野が進出してきて、賑わいを見せている。
だからこそうちの雑誌みたいな古株は今が正念場。
俺が何とかしてやる~!!って社員一同無駄に足搔いて燃えてるこの雰囲気も嫌いじゃない。
結果が出なくてもいいとは言わないけど、仲間と踏ん張って壁を乗り越える感じは何よりも充足感を満たしてくれる。
「けどさ~嫌ンなるよなぁ、出勤前あんな浮かれた鬱陶しいのに出くわすと。
俺んち寺でさぁ。恋愛とかあんま縁がなかったんだよね。」
寺…似合わねぇ…。←さっきからずっと失礼
けど、それは同感。
能天気に周りに迷惑かけながら惚気ている人間程鬱陶しいものはない。
…自分の恋愛がうまくいかない時ほどそう思ってしまうものだ。悲しいことに。
「輪廻転生ね~…。最近流行ってんのかな?そういう約束事。」
松本さんが笑うと、二宮がハッと失笑する。
「バカだよね。前世だとか来世だとか。そんなん気にしてないで今世を気にしろっつうんだよ。相手が何に生まれ変わるか、時代がどうかもわかんないのにさ。」
「へ~。ニノは生まれ変わりは否定しないんだな?」
「…あ、ニノって俺?よね、普通に。」
松本さん、急にあだ名。距離の縮め方すごいなこの男…と感心する。
二宮くんも動揺しつつも笑って受け入れている。
「まぁ…そうだね。あるとは思ってる。神様もさ、面倒でしょ?新しい人格作って、終わって、また作ってって。
だったら魂の再利用、て言うの?すればいいと思うから。
とは言え神様だって何に魂入れてるかはわかんないよね。人間とは限らないじゃん。だからああいう約束は馬鹿げてるって思うよ。」
「はは、それめちゃくちゃ面白い考え方だな(笑)まぁ、人間とは限らないってのは一理あるかもしれない。
俺ん家の宗派は輪廻を前提としてるから輪廻転生自体は信じてるけど。
…桜井さんは?信じる?ていうか賛成?来世でも会おうね~みたいなの。」
松本さんの問いに、視線を膝の上の手元に落とす。
「…俺は…。信じるけど。ただ辛いだけかなって。」
「辛い?」
不思議そうに松本さんが俯く俺を覗き込む。
「うん。だって、両方が覚えているとは限らないでしょう。」
鞄から小説を取り出そうとしていた二宮くんの手が、ぴたりと止まる。
「…どういうこと?」
興味を持ってくれたのだろう、柴犬特融の目をくりっと向けてくる。
いや柴犬ではないんだけど。
「片方が覚えてて、片方は気付けないかもしれない。そこで万が一その恋がまた成就しても…それは覚えてる側からしたら、ただの悲劇なんじゃないかなって。」
「…なるほどね。」
そう呟いた二宮くんだったけど、でも、と続けた。
「それでもさ…勝ちなんじゃない?どっちかが覚えてた上で出会ってる時点で。前世の約束は果たせてるわけでしょ?来世も会おうね、なんてめちゃくちゃあやふやで曖昧なやつ。」
「…まぁ…そう、なのかな…。」
曖昧、か。
確かに、そうなんだろう。
…本来なら。
だけどどうしたってすれ違いを経験する位なら、出会わなければいいのにと思ってしまう。
「じゃぁさ桜井さん、もし会えなかったらって想像してみてよ?」
「え?」
「その、前世の約束、みたいな記憶があって、なのにその人に会えなかったら。
それが続くの。何度も何度も、数えきれないほど。会えない人生繰り返し続けたら…。
そんな約束しなきゃよかったって後悔しながら何度も死んでくんでしょ。ああまた会えなかった、って。
それのが辛くない?会えて失恋する方がマシって思うけどね俺は。」
「……。」
確かに、それはそうだ。
来世必ず会えるという保証はどこにある?
誰かがそう決めた契約書があるわけでもあるまいし。
だけど俺は──。
言い淀んでいると、車内に到着を知らせる音声が流れる。
「…あ、俺次だ。」
「そっか。俺はもうちょい先だわ。ニノは?」
「俺終点よ。」
「じゃぁ俺らはもうちょい一緒だな!」
「………そうね。」
あ、二宮くんうんざりしてる(笑)
「それじゃぁ。」
「じゃぁね。またどこかで会えたら!」
「うん。さいなら。」
二人に手を振り、改札に降り立つ。
…またどこかで会えたら、か。
それが普通だよな。
駅舎の門をくぐると、どこまでも青空が広がっている。
まるで人生みたいだ。
一瞬同じ時を過ごしても、結局はそれぞれの人生がある。
それぞれが歩むべき、道が。
その道は幾千通りもあるだろう。
迷いながら、藻掻きながら、選んで、時には後悔して、それでも進んでいく。
だけど。
俺の道は、決まっている。
必ずあなたの元へと繋がっていく。
それは
絶対なんだ。
二宮くんと松本さんと出会って、半年後。
「この辺かな…?」
キョロキョロと見渡すのは待ち合わせに指定された大きな桜の木の下。
それらしき人はいないけど。
見上げるとピンクの花弁が風に吹かれてちらほらと舞っている。
ロマンチックな女性なんだろうか。
Sakuraという名前と、ここいらで一番大きな桜の木の下で待ち合わせなんて。
誰が言ったか。
春は出会いの季節。
「…あっすみません!」
「いえ、こちらこそ!」
見上げていたからか、ぶつかってしまった。
慌てて落としてしまった相手の荷物を拾う。
絵画のキット…もしかして、この人が約束してた人か…?
と思うが先か否か。
ふわり。
桜とは違う、鼻を掠める甘い匂い。
──あ…。
ドクン、と心臓が鳴る。
ゆっくりと顔を上げると、目の前には何度も何度も恋焦がれた顔があるわけで。
「ありがとう。」
優しく微笑むそれは、幾度となく恋に落ちた優しい顔。
そりゃ少しずつ違うけど、いつだって眉が下がりがちで。
目尻は長くて眠たそうな瞳で。
だけど絶対に曲がらない信念みたいなものが目の奥に光ってて。
そしてこの甘く優しい香り。
間違えるわけがない。
俺が、あなたのことを。
「あ…いえ…。」
動揺しつつもとにかく声を絞り出す。
何度も経験してるのに、『初めて出会う瞬間』は慣れない。
「あれ?…ええと、もしかして山風出版の?」
「ええ。…え…?あなたが…『Sakura』先生ですか?」
…名前と文章や絵のタッチから、勝手に女性だと思ってたけど。
「はい!あ…初めまして。おいら、Sakura…大野智っていいます。イラストレーター兼物書き、やってます。」
嗚呼、また出会ったね。
また始まるんだね。
「…『初めまして』。俺は、山風出版の桜井翔です。これからコラム、よろしくお願いします。」
俺らの、抗えぬ
『絶対に叶わない恋』が。