それでも僕はまた君に恋をする6 | 1年だけ先輩。(基本お山)

1年だけ先輩。(基本お山)

やま。いちご。そうぶせん。

理解した方だけしか読まないでください(笑)
ごにんに心奪われ続け、眠る身体も起き出す状態です。

脳内妄想を吐き出す場として利用しようかなと思ってます。
ご気分害されたらごめんなさい。
※主軸は21です!

※妄想のお話です。


今日は1日出かけてたのに携帯忘れて

絶対間に合わないと思ったil||li_| ̄|○ il||li


あとまだ会報届いてません。泣
















あれは大正時代。

 

俺は関東大震災で祖父母も両親も亡くし、1人医者をしていた。

 

「はい次の方~」

 

あの時代にしては生活に余裕はあった方だったと思う。

 

仕事も20代半ばにしてはかなり順調だった。

 

そりゃ時代背景的に色んな事が目まぐるしく変わってきた時だったから土地の買収とかで周りに少しずつ被害者は増えていってたし、


それこそ震災がいつ起こるかっていう恐怖もあって生活に不安がなかったとは言わないけど。


だけど天涯孤独の俺には希望があったから。

 

いつか患者としてきっと彼が来る。


もしくは薬師として?


とにかく、どこかできっと出会うはず。


それは恐らく病院だろう。

 

そう思って毎日ドキドキ過ごしてた。

 


だから、彼との出会いはだいぶ予想外だった。

 


「…え…っ?」

 

夜の雨の中、猫のように

 

 

俺の家の前に、彼は捨てられていた。

 

 

顔は見えなくて。

 

恐る恐る近寄り肩をたたくと、ずるりと身体が落ち、ばちゃりと水たまりが音を立てた。

 

男は血まみれで虫の息だった。


身体は大粒の雨に晒されたのか原因か否か、ゾッとする程冷たく感じた。

 

慌てて家に入り救急道具を用意した。

 

救急車なんてものは当時なかったから、緊急性が高いのであれば家で救急処置する他ない。

 

家の布団に泥と血にまみれた男を寝かせてようやく気が付いた。

 

彼だ、と。

 

また会えた、という安堵と、反して死が迫っているという瀬戸際の現状。

 


そこからは必死だった。

 

急所は外していたが腹を刺されていた。

 

とにかく命をつなぎ留めたい。

 

まだ『俺ら』は始まってなかったのに、そんな終わりなんて絶対に嫌だ。

 

そう

 

文字通り死ぬ気で看病した。

 


丸5日。

 

彼は目を覚まさなかったが、どうにか助かった。

 

 


 

「俺…組を抜けたんだ。」

 

意識を取り戻した数日後、よく知る優しい声で彼はつぶやいた。

 

幼少期から拾われた暴 力団で育てられていたらしい。

 

だけど彼は組を抜けてまっとうに生きる道を選んだ。

 

それがこの仕打ちか。

 

彼がどういう理由で組を抜けたのかは教えてくれなかったけど

 

俺はどれだけ危険が生じたって絶対に匿うことを決めていた。

 

彼は迷惑はかけられないから出ていくと言い張っていたけど、俺の果てない説得の末ようやく折れてくれた。

 

 

かくして彼との二人での奇妙な生活が幕を開けた。

 

これまで彼と二人で暮らしたことはなかったから、

 

俺はめちゃくちゃ幸せを感じていた。

 

雑用を自主的に多くしていたらしい、彼の作る飯は何でも美味くて

 

「…!これ、物凄く美味いっ…!」

 

「大袈裟な奴。んなもんただの肉じゃがだろ。」

 

「いや!そんなことない!これは奇跡の肉じゃが!!天皇陛下に献上できる出来だって!!」

 

「んふふっ、お前医者なのに馬鹿だな(笑)」

 

「いやいや。あなたが暴力団のくせに器用すぎるんだって。本当、天才だと思うよ。野菜がたくさん入ってるのもいいけど、味付けが絶妙で…隠し味かな、甘みが…」

 

「何だそれ(笑)ただの蜂蜜だよ。」

 

「ほらやっぱり!隠し味じゃん!!やっぱりな~深いと思ったんだよな~。」

 

「…何でお前が偉そうにしてんだ?(笑)」

 

その中でも当時はとりわけ肉じゃががめちゃくちゃ味が良くて、何度も作ってもらった。

(その時はカレーはあまり一般市民には出回ってはいなかったしね。)

 

 

家事が苦手な俺の代わりに彼は家のことを何でもしてくれた。

 

その分俺は医者として外で稼いできて、本当に夫婦のようだった。

 

身体を重ねるようなことは決してしなかったし大事なことは口にしなかったけど、

 

俺らは多分、…いや。

 

確実に同じ想いだった。

 

俺には前世の記憶がある。

 

だからどうなってしまうかも何となくわかってた。

 

だけど今世の、小さくて奇跡的な幸せを、どうにか守りたくて、少しでも続けたくて…。

 

見たくないものに蓋をするようにして互いに詳しいことは話さず、ゆっくりと着実に同じ時を過ごしていた。

 

 

2年後、彼のことを追ってきた奴らに見つかるまでは。

 

 

 

帰宅したらそこは惨状で

 

 

血がたくさん飛び散っていて


連れていかれた後なのか、彼の姿はどこにもなくて


扉を破られる前に走り書きをしたのだろうか、



『逃げろ  愛し』と残された紙を部屋の隅で見つけた。



最後まで書いてなかったけど


ああ、もうそれだけで十分だって思えて


やっぱりこうなったんだってただ納得して



俺はその場で、近くにあった縄で──。


 

 

 

 

「…うくん?翔くん!」

 

ハッと意識が戻ると、そうだ、松本さんと雅紀と商談中だった。

 

「あっ…すみません、俺本当にセンスなくて…こういう話疎くて…。」

 

「くふふ、そうなんだよー聞いてよ松潤!この前なんてさ~軍人さんみたいな…」


まっ…松潤だぁぁ!!?

 

「お前!!何そんな砕けた話し方してんだよ!!」

 

クライアント様だろうがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!

 

「俺がいいって言ったんだよ、聞いてなかったの?そっちのが失礼じゃね?(笑)」

 

「ね~(笑)スミマセンうちの先輩が~!」

 

「…すみません…。」

 

うぅ、疎外感半端ねぇ…。


 

 

と。いうことで。

 

「松潤、よろしくお願いします♪」

 

「よろしくね、相葉くん!翔くん!」

 

「よろしくどうぞ…。」

 

いつの間にか、翌々月からtortuga×雅紀の連載がスタートという形で話がまとまっていた。

 

 

俺これから、雅紀のこと相葉先輩って呼ぶべきかもしれない…。