メガネとなで肩と神楽坂 vol.25 | sakurabaでいっぱい 〜SA妄想小説〜

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赤さんと緑くんによるソフトな萌キュンイチャコラですが、激しめなものも書いておりますので未成年の方、男性の方はご遠慮下さい。

コメントは基本的に未承認にしております。

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。。。。。


あれから、数週間、コオ先生とは進展も後転もないまま日々が過ぎていった。

さくらを預けるだけにしても毎日のように会っているのに、特に甘いムードになるわけではなく。

まぁ楽しそうなコオ先生を見ているのは嬉しいんだけど。


「まだウジウジしてなにも進んでないんですね。ホントにヘタレですね、櫻井さん」

「ヘタレってなぁにぃ~?」

トキワさんは俺が病院に行くたびに隙あらばそんなことを言ってくる。

その横でダイチが不思議そうな顔をしてるのもいつものこと。


「トキワさん……何言ってんですか、俺とコオ先生は別になにも……」

「あ、そんなこと言っちゃっていいんですか?
櫻井さん、ライバル多いんですよー」


そんなこと、わかってるけど……


俺は診察中のコオ先生をチラッと横目で見る。

あのデートから、俺たちは休日と言ってもお互い時間がなく、たまにこの病院でおしゃべりをするくらい。

病院にいてても別にそんな雰囲気になるわけでもなくいたって仲のいい友達のようで。

そもそもコオ先生は日頃から診察時間を問わず忙しい。

それに、日中はトキワさんやダイチがいるし、夜はスズメが差し入れと称してジャマをしに来るし、その後はナクラさんがコオ先生を連れて行ってしまうし……。


ゆっくりとふたりの時間なんて取れるわけがない。


なのでいつまでもウジウジと行動に出せないまま、トキワさんにからかわれる毎日なのだった。


「翔ちゃん!お疲れさま~」

最後の診察が終わってコオ先生が俺のいる休憩場所に戻ってきた。

「あ、コオ先生もお疲れさま」

俺がそう言うと、「ふー」と息を吐きながらちょこんと俺の隣のイスに腰掛けるコオ先生。


「ちょっと疲れてる?」

コオ先生の顔を下から覗き見る。


帽子もマスクも取ったコオ先生の顔は少し疲れが見える。


「うん……最後のシッポがね、ちょっとタイヘンだったかな。でもね、重篤ってわけじゃなくてホントに良かった~」


嬉しそうにそう言って背もたれにもたれかかるコオ先生。


ホントに動物が好きなんだな……

獣医と飼い主と言う関係だけど、コオ先生のこの仕事に少しでも関わらせてもらって俺も嬉しく思う。

もちろん、それ以上に『友達』と言う座もキープできてるし、がんばってそれ以上の関係に進みたいと言う気持ちはあるけど……。

優しい気持ちでコオ先生を見ていると、不意に視線を感じて目をやるとトキワさんがカーテンの隙間から上半身を覗かせて『がんばって!!』と言うようにガッツポーズをしている。


イヤ、そんな焚き付けないで下さいよ……。


なんだか変なプレッシャーを感じてしまって逆に自然にコオ先生に話しかけられなくなってしまった。

「ん?翔ちゃん、どうしたの?」

「え?あ、イヤ、なんでもないよ!」


俺は慌てて取り繕う。


「コオ先生。タシロ先生からお電話ですよ」

診察室の方からホリカワくんがコオ先生を呼びに来た。


「え?あ、ありがとう。
翔ちゃん、ちょっとごめんね?」

「ううん、全然大丈夫」


そう言いながらも、電話をかけてきた相手がタシロ先生だと思うと心中は穏やかではない。

コオ先生は立ち上がると診察室の奥のデスクの方へ歩いて行った。


「ホリカワくん、助手、お疲れさまでした」


俺の対面の席に座ったホリカワくんに声をかける。


「あ、櫻井さん、こんばんは」

「えっと……」


電話の相手のタシロ先生のことが聞きたいけど、うまく話出せない。


「ん?なんか言いました?櫻井さん」


ホリカワくんはテーブルの上の急須でお茶を入れながら顔を上げる。


「えっと、あの……」

「ん?なんですかー?」

「あの……タシロ先生、から、よく電話なんか……かかってくるの?
イヤっ、だってほら、同じ獣医とは言え違う病院だし、」


後ろめたいのか、言い訳じみた言い方をしてしまって余計に焦る。


「あー、タシロ先生」

「う、うん……」

「タシロ先生、もうすぐアメリカに行っちゃうんですよね」

「え?そうなの?なんで?」

「アメリカにある大きな獣医大からお呼びがかかってるんです。
で、コオ先生も一緒にって話しが出てて」

「えっ……ええっ!!」


コオ先生が……アメリカに?


「アメリカに……行くの?コオ先生……」

「イヤ、まだ正式に返事はしてないみたいですけど。でも断る理由がないですよね。アメリカの獣医大と言えば日本より最先端だし。そりゃナルタウンもこの辺りでは超一流で最先端ですけどやっぱりアメリカに比べればね。タシロ先生も今よりもっと腕を上げるためにと意欲満々ですしね。コオ先生も腕は一流だし丁寧に患畜を診るし、完璧な獣医師ですが、やはりここの医療器具は古くて治療にも限界がありますしね。最先端のアメリカならコオ先生にとってもう向かう所敵なしって感じではないでしょうか」

いつもの如くホリカワくんが長々としゃべってるけど……

俺は半分も頭の中に入ってなかった。


そんな……

コオ先生が、アメリカに、行く……?

もうすぐ……ここからいなくなる?


せっかく仲良くなれたのに……


俺はフラフラ~と立ち上がるとそのまま病院を後にした。


俺とすれ違いで電話を終えて戻ってきたコオ先生に「翔ちゃん?」と呼ばれた気がしたけど俺の耳には入ってなかった。


つづく……

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おはようございます。
調子に乗って間を置かずに出てきてしまいました(笑)
だってねー、私のこんな拙いおはなし読んで「元気をもらった」、とか「あんまり催促したらプレッシャーになると思いながらも読みたいです!」とか言ってもらっちゃったらそりゃ調子にも乗るでしょ(笑)
単純と書いて「バカ」とも読むし「ぱっち」とも読むくらい単純なんです(笑)
ぶっちゃけ「読みたいです」とか「待ってます」って言ってもらえるとめちゃくちゃ嬉しいし、書く意欲が湧いてきます。
プレッシャーは感じないです。ま、書けない時はなにしても書けないからね(笑)
こんな僻地に足繁く見に来て頂いていつもありがとうございます。
今日はお休み。ラーメン食べに行きたいなぁ。