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毎日暑いね・・・忙しいね・・・雅紀に会いたいね・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・髪いつ切るんだろね・・・
早くなんらかの発表くれ・・・・・・・・・
。。。。。
コオ先生と顔を合わせることなく病院から帰った翌日。
土曜日と言うこともあり、俺は病院に行く理由もなく家でダラダラとたまった洗濯をしていた。
足元ではさくらがじゃれついているが、あいにく相手をしてやる気持ちの余裕もない。
「腹立つくらいにいい天気だな……」
ベランダで洗濯物を干しながら、突き抜けるような青空に文句を垂れる。
目が覚めるまで寝ていたから、すっかり太陽が真上に上がっている。
今日もコオ先生は病院にいるはず。
土日は俺の仕事がないから別に預ける必要はないんだけど、最近は土曜日は病院を手伝うと言う名目で頻繁にさくらを連れて病院へ行っていた。
それを思えば、俺はコオ先生に出会ってからほぼ毎日のように顔を合わせていたんだ。
こんな、なにも予定のない日に会わない、なんてことなかった。
すっかり俺の心の中だけでなく、日常までも住み着いてしまったコオ先生。
ホントに……アメリカに行ってしまうのだろうか。
そりゃお世辞にも坂の上動物病院は設備が整っているとは言えない。
腕は超一流なのにもったいないと思う気持ちもある。
日本より医療の進んでるアメリカに行けば、コオ先生の腕ももっともっと上がるだろう。
なにより多くの動物の命を救うことができるはず。
コオ先生にとってみれば、断る理由なんてない。
俺は……笑顔で背中を押してやることしかできない。
でも……
まだ俺の思いもなにも伝えてないまま離れるのなんて、嫌だ。
コオ先生に、会いたい。
洗濯物を手にしたままベランダで立ち尽くしていると、またさくらが足元にじゃれついてくる。
「どうした?遊んで欲しいのか?」
さくらはしきりに俺のズボンの裾を引っ張っている。
「おい、そんなに引っ張ったら破れるってば」
俺は洗濯物を干し終えてさくらと共に部屋に戻る。
するとタタッとさくらが玄関先に走って行った。
「さくらー?」
戻ってきたさくらは自分のリードを口にくわえている。
「なに?散歩に行きたいの?」
でも……いつも病院までの往復や、夕方にダイチが連れていってくれる散歩以外、散歩らしい散歩もしたことがない。
「もしかして……病院に行きたいのか?」
俺がおずおずとさくらに問いかけると元気よく「ワンッ!!」と鳴くさくら。
「病院に……行くの?」
もう一度聞くもまた「ワンッ!」と鳴く。
そしてまたリードをくわえて俺の足元まで来ておすわりをして待っている。
「そうだな……こんなとこでウジウジと考えててもしょうがない。
どうせ離れるなら、当たって砕けろ、だ」
さくら、ちょっと待っててと言って俺は部屋着から着替える。
「さくら、おまたせ。行こっか」
飛び跳ねながらしっぽをブンブンと振るさくらにリードを付けて、俺は病院へと向かった。
つづく……