「先に生まれただけの僕」第6話のペップトーク解説 | 映画でペップトークとアファメーション(Pep Talk & Affirmation)

映画でペップトークとアファメーション(Pep Talk & Affirmation)

ペップトーク(Pep Talk)とは人を元気にする短いスピーチで、コーチングの最後のスキルとも言われているそうです。映画に出てくるペップトークを通して、みなさんにもペップトークを知っていただければ幸いです。

前回に引き続き・・・

 

日テレのドラマ「先に生まれただけの僕」に出てくるペップトークの解説です。

 

前回の第5話は、全編がペップトークをテーマにした展開でしたが、今回はストーリーの中に隠されているペップトークの要因を探って解説してみたいと思います。

 

 

 

【あらすじ】

 

前回のオープンキャンパスに成功した京明館高校は、次のハードルである学校説明会に臨む。

 

今までは、第一志望の公立高校に落ちた子供たちをいかに拾うかが、偏差値の低いこの学校の課題でした。

 

それでは物足りない校長と、校長の理想は理解しつつも、現実はそんなに甘くないと感じている先生たちの間に意識の差があります。

 

そんな中で開催された学校説明会において、来校した受験生とその父兄に対して、学校の理念を語る校長。

 

「そこまで言って大丈夫?」

 

と冷や汗をかきながら見守る先生たち。

 

そこに、すでにこの学校に子供を通わせた経験のある父兄からの強烈な質問。

 

 

「今まで低レベルだったのに、レベルを上げるには先生の入れ替えが必要なのではないか?」

 

もしかしたら、リストラされてしまうのかもしれないと怯える先生もいる中、校長のペップトーカー的なスピーチ。

 

 

41’21”~

 

実は、僕が就任して間もない頃、一人の先生にやめてもらっています。

 

それは、教え方が下手だったからではなく、生徒と真剣に向き合ってくれなかったからです。

 

今ここに残っている先生方は、そういう人間は一人もいないと僕は信じています。

 

京明館高校の成長は生徒の成長であり、教師の成長です。

 

今ここにいる先生方が、京明館高校の教師であることを、誇りに思ってもらえるようになるまで、僕は一人もリストラしません。

 

まだまだお尋ねになりたいことがあると思います。

 

次に予定されている個別相談で先生方にお尋ねください。

 

 

 

 

【ペップトークの解説】

 

①イメージのパラダイムシフト

 

ペップトークの目的であり、大きな効果のひとつに「ネガティブなイメージを払拭し、ポジティブなイメージに転換する」ということがあります。

 

ここでは、今まで低レベルだったこの学校がそんなに簡単に受験校に生まれ変われるわけがない・・・という父兄の否定的な心理と、学校の改善のために自分が辞めさせられるのではないかという先生の不安との二つのネガティブな側面があります。

 

それを校長先生はひとつのスピーチで一挙に両方とも解決したのです。

 

②ペップトークのシナリオの法則

 

このスピーチには、ネガティブなイメージをポジティブに変換して、さらにやる気のスイッチを入れるためのステップが内在しています。

 

詳しくは「心に響くコミュニケーション ペップトーク」をご参照ください。

 

 

③ペップトークのパフォーマンスの法則

 

それまで檀上から父兄の質問に答えていた校長は、このスピーチのときにはステージから降りて、先生たちが座っている椅子席の前に立って父兄にスピーチをします。

 

これは父兄と同じ高さの目線に立つことで、上から目線ではなく、一緒にこの学校を築いていきましょうという共感と、先生の前に立って話すことで、先生たちの信頼を得るという二つの効果を実現しています。

 

 

 

ドラマとはいえ、このスピーチのあと、多くの受験生がこの学校に入りたいと思い、校長とその理念に不信感のあった先生たちがやる気になったのですから、まさにペップトークです。



現実の社会でも、このようにひとつのスピーチで聴衆のネガティブな印象を180度転換することができます。

 

 

 

それが「言葉の力」だと思います。